涼葉の後悔
最近とても多くの方にこの作品を見ていただいてとてもうれしく思います。
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私は一君の手を取らずに逃げ出してしまった。
正直あの時の一君はすごく怖かった。
いつも温厚でやさしい一君ではない、とても恐ろしい何かに見えてしまった。
「私、最低だ。」
一君は自分が危ない目に合うかもしれないのにそんなことを顧みずに私を助けようとしてく れたのに、私は逃げ出してしまったのだ。
私はすごく後悔していた。
家に帰った私は柚木に電話を掛ける。
三回ほどコール音が鳴った後に柚木は通話に出た。
「どしたん?涼葉ちゃん」
そのあと私は柚木にこれまであったことを話した。
「それは不味いね~」
「一は、自己肯定感が絶望的に低くてあんまり人を信用できない性格でさ…………中学の時は私と隆介しか話せる人がいなかった。」
「だから、彼は今多分だけど涼葉ちゃんに嫌われたと思ってると思うよ。」
「それともっとよくなかったのが、一が涼葉ちゃんを助けたときの口調がさ、完全に我を失ってる時のものだったの。」
「で、一は我を失ってる時の自分が一番嫌いなの。」
その話を聞いたとき私は自分の過ちに気づいた。
彼は自分が一番嫌っている状態を私に見せるくらい本気で助けてくれたのに私はそんな彼を拒絶したんだ…………
「柚木ちゃん、私どうすればいいかな?」
「しっかりと向き合って一に本心をぶつけるのが一番いいと思うよ。そのほうが彼は君のことを信用できると思うから。」
「わかった。ありがとう。明日にでも謝ってみるよ。」
「うん。頑張ってね!涼葉ちゃん!」
そういって私は柚木との通話を切った。
次の日
彼は学校に来ていなかった…………
次の日も、そのまた次の日も彼は学校に来なかった。
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