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死因:好奇心

 鏡に映る自分の袴姿を見て、もう二度と会うことの叶わなくなった幼馴染のことを思い出す。

 あのときのことはよく覚えている。幼少時代、彼は突然発狂した。原因も動機も目的も不明。何の前触れもなかったし、彼の深層にそこまでの歪みをもたらすような元凶は少なくとも傍から見ている分には一切なかった。当時は無論、今になってさえその事態を正確に描写する語彙を私は持たない。誰が見てもその事実に至るほどその行動は狂気的だったのだろう。彼はほどなく別の場所へ連れていかれ、その後彼が私の生活圏内に姿を現すことはなかった。

 しかし私が会いたいと願っているにもかかわらず会えなくなったのではない。私は彼にもう二度と会いたくないから会わないのだ。

 彼が丘の上の隔離病棟患者となってから、私は一度だけ彼に会ったことがある。あのときの行動の動機を一度訊いてみたいという好奇心を抑えることができなかったからだ。

「久しぶり、だね」

「やあ。元気かい」

 まるで普通の人間のようだと思った。

 そうして訊くと、彼は僅かに目を細めた。

「意味なんてないよ」

 そう語る彼の微笑みにどのような意味があったのか。私には理解できなかったが、またしたいとも思わなかった。

5つのお題でやってみましょうhttps://shindanmaker.com/a/186188からのお題。「袴姿/隔離病棟患者/幼少時代/発狂/会いたくない」。

ついでにお題ひねり出してみたhttps://shindanmaker.com/392860からのお題も。『意味なんてないよ』

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