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本日2回目のログイン。
まずはギルドへ向かう。お金をすぐ使ってしまうので何かいいやり方はないかと掲示板を眺めてたらクエストを受けるとお金が報酬でもらえることを知ったのだ。
ギルドへ行くと中は人で溢れていた。
おおー…これは凄い。
始まりの町ではほとんどの人がすぐこのウォーリアに来てしまったからかほどよい人口だったので油断していた。
人の波を抜けて掲示板から依頼書を片っ端に引きちぎって逃げるようにギルドを出る。
ホッと一息着いているといきなり後ろから声をかけられた。
「ねぇ、キミ一緒にレベルあげ行かない?」
振り替えると3人の男の人が立っていた。
話しかけてきた人はいい人そうに見えるが、後ろの2人はにやにやしていて感じが悪い。
「え?いや、私は…」
「さっき掲示板から依頼書とってたけど、片っ端からとってたしキミ初心者でしょ?俺らβからやってるし色々教えてあげるよ。キミの武器は…剣、かな?」
「いえ、私が使ってるのは魔法陣です」
これ刀だし、魔法陣使ってるのは本当だし。
「は?あの使えないクズスキルを?」
ちょっとクズスキルって酷くない?
かなり使い勝手いいと思うんだ…まぁ、高いけど。
「…本当だ、ホルダーしてるね。もしかして知らないかもしれないけど、そのスキル使えないって有名だよ?今ならまだ間に合うし取り直したたほうがいいって!!よし、一緒にスキルのレベルあげて他の取ろうよ。スキル選びとか手伝うし。あ、俺ユウって言うんだ!キミは?」
一人でしゃべりまくっている男のカーソルの横に名前が表示される。
え?なにこの人勝手に話進めてるの?気持ち悪いんだけど。
「いや、私は一人でやりたいので構わないで下さい」
なんか面倒なことになりそうだからさっさと振り切ろう。
無視して歩きだそうとすると手首を捕まれた。触られた感触はないけど、腕が抜けない。
は?なにこの人!?最悪だな!
「ちょ、放してよ!」
「そっちが無視するからだろ?」
気にさわったのか余裕の表情が崩れている。
あ、この人めんどくさい人だわ。
どうしよう…。
「おい、手離せよ。その子嫌がってるだろ?」
今度はなんだ!?
いきなり現れた男の人が気持ち悪い男の腕を捻りあげた。
捻られて苦しいのたもろう。呻いて必死に男の腕をはずそうとしている、がびくともしてない。
助けてくれたのはがっしりした体つきで大きな大剣を背中に背負った男前さんだった。
「なんだお前!?」
「ただの通りすがりだけど?」
「関係ないやつはすっこんでろよ!」
やっと男前さんに離してもらった気持ち悪い男は、自由になった瞬間わめきだした。
「いや~だって女の子の方嫌がってたし、そこは止めに入るだろ?」
「っな!?け、決闘だ!」
「はぁ…しゃ~ねぇな。俺が勝ったらこの子のこと諦めるんだな?」
「お前に出来たらな!」
え?何勝手に話進めてるんですか?決闘って何?
いつの間にか私達を中心に野次馬の輪ができていた。
逃げちゃダメですよね?
「俺はβテスターでトップにいたんだぜ?今なら謝れば許してやるぜ?」
「はいはい、形式は…1on1でいいよな?HP30%切ったら勝ちな」
慣れているのか男前さんがどんどん話を進めて行く。
動じない態度に気持ち悪い男は慌てている。
男前さんは何か操作していたみたいだが、それが終わると2人を中心にさた半円球の透明な壁に包まれた。
「そういや名乗ってなかったな。俺はジーンってんだ。よろしくな」
そう言って背中の大剣を軽々と鞘から抜き正眼に構える。
「ジ、ジーンって銀の翼のジーンか!?」
気持ち悪い男の連れが驚いている。気持ち悪い男も若干焦ってる気がする。
有名人かな?
「じゃぁいくぜ!」
二人の前に数字が表示されカウントダウンが始まる。
3
2
1
GO!
勝負は一瞬だった。
凄いスピードで二人がすれ違ったと思ったら気持ち悪い男が倒れた。一撃で男前さんはあの気持ち悪い男のHPを3割以下まで削ったのだ。エフェクトが出ていたから多分アーツを使ったんだと思うけど…なんと言う。
そうか、決闘ってPvPのことね。あるのは知ってたけどこういうのか。
半円球の壁は勝負がついた瞬間消えていった。
「これに懲りたら人の嫌がってることすんなよ~」
「「す、すいませんでしたー!」」
当の本人は放心状態で、連れの2人が引きずって人混みに消えていった。
勝負が終わったのを見届け野次馬も散っていった。
「あ、あのー…ありがとうございました」
助けてくれたんだもんね、お礼は言わないと。
「いいって。ああ言うやつはしつこいから気を付けろよ?」
「はい…」
どうやって気を付けよう。
「それに…あんたハナって名前じゃないか?」
「え!?な、なんで知って…」
この人も変な人!?助けて油断したとこを…でも何で名前を知ってるんだ?
「あぁ、わりぃ!そんな警戒すんなって!ニーナから話を聞いたことがあってな」
「ニーナさん?」
「そう。あいつが作った初めての刀を買ってくれた美人さんがいるって言ってたからな。それ以降刀は売ってないって言ってたし、刀持ってるならそうかなと思ってさ」
「そうだったんですか…あの、本当にありがとうございました!」
うぅ…一瞬でも疑ってすいませんでした。
「改めて俺はジーンっていうんだ。よろしくな」
「はい。私はご存知だと思いますがハナって言います。こっちは使い魔のまっちゃです」
「きゅ~」
「へぇ~使い魔か。…そういえばあのレアクエストの書き込みもハナって名前だったな」
そうなんです。このゲーム内の掲示板は書き込んだ人の名前が出てしまうのです。ゲーム内から繋げる掲示板はそこしかないし、ほとんどの人がそこを使っているので私はそこに書き込むしかなかったのです。
「えっと、はい、一応自分が書き込みました」
「いや、βの時には誰も見つけられなかったから凄いなって言ってたんだよ」
「はぁ…」
まぁ、普通は早く先に進みたいよね。
「ハナは面白いな。そうだ、フレンド登録しないか?」
「いいですよー」
ジーンとフレンド登録をする。
「今度一緒に狩り行こうぜ!刀使ってるの見せてくれよ」
「あ、はい、いいですけど…」
「あ、嫌なら嫌って言ってくれていいぜ?」
「いや、実は私魔法陣も使ってるので純粋に刀のスキルが見たいなら期待にそえないかなって」
「魔法陣?そりゃ金かかるなぁ…」
「まぁ…」
「でもそいつは更に興味深いな!!ぜひ臨時でいいからパーティー組んでくれよ!!」
「えっと…まっちゃがいてもいいですか?」
「あ、使い魔は一人分なんだったか?勿論構わないぜ」
ちょっとほっとする。
やっぱりこの人いい人だ。
「わかりました。じゃ、いつ行きます?」
「そうだな…今日の夜って時間あるか?あ、現実時間のな」
「大丈夫です。できれば20時以降が嬉しいです」
「じゃ、21時にこの町の時計台の下でどうだ?丁度朝になる時間だし区切りがいいしな」
「わかりました。じゃ、また今夜」
そこでジーンと別れる。男前の気のいい人だった。




