表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者の贖罪  作者: 七篠
36/216

呪われた阿修羅の子

 まさか本当に神族の子供が呪いに侵されているとは思いもしなかった。

 しかも阿修羅と言ったら戦闘に関する神であり、マジ戦闘民族みたいなもんだ。それがドラゴンのオーラを纏ってさらに強化されているなんてチートにもほどがあるだろ。

 阿修羅の子供は他の子供達同様に、いや呪われた者達と同様に俺に向かって襲ってきた。

 子供と言っても阿修羅一族でドラゴンのオーラを纏っている奴を軽視することは出来ない。

 俺もドラゴンのオーラを全開にして戦闘を始める。


 阿修羅の拳は幼いながらも力のある拳で軽く受けただけでもまともに受けたら骨くらい簡単に折れる事は想像に難しくない。

 それがほぼ同時に3発。受けるだけでも俺の腕や足だけでは面積が足りない。

 左右の腕全てが別々の動きをする訳ではないのがまだ御の字と言う所。左右の3つの腕が同時に攻撃してくる分動きを読むのは難しくないが、その代わり攻撃力が高い。

 こちらが勝っているのはリーチの長さと理性がない事、そして術を使ってくる様子がない事くらいか。


 それにしてもドラゴンのオーラで頭も3つ分あるからアジ・ダハーカを相手にした時とよく似ている。あいつの腕は2本だったけど。


 そんな昔の事を思い出しながらオーラ越しでも十分に重いと感じる衝撃をさばきながら顎につま先を突き刺した。

 これで少しくらいダメージを負ってほしいと思うが、そんな様子はなく残りの2つの頭が冷静にこちらを捕らえている。

 だが今蹴ったので分かったがやはり子供の分体重も軽い、と言っても人間の子供ではないので体重差だけで勝てるほど甘い事もない。


 だが残った2つの頭が俺の肩に噛み付き捕まえられた。

 肩を咥えられているせいで腕を上げる事が出来ないので俺は蹴って攻撃するがやはりオーラで作られたところを蹴ったりしても特に意味はない。

 その状態で俺の腹に深く拳が突き刺さった。

 3本の腕が深々と俺の腹にほぼ同時に突き刺されば仕方がない。


 俺は阿修羅の顔に血を吐き出し、視界を覆ったが覆う事が出来たのは1つだけ。

 ぬぐう事もなく他の頭で俺の事を捉えているのだから当然なのかもしれない。それにまだ俺の肩は2つの頭に加えられている。

 だから左右の3本の腕を交互に殴り完全にサンドバック状態だ。


 壁に押さえつけられ、肩は咥えられている事で動かせない。これ以上ダメージを食らうのもごめんだ。

 一瞬オーラを解除して噛まれている隙間を作り出して素早く腕を引っ込めて再びオーラを纏う。

 着地した場所に阿修羅は容赦なく俺の顔面に拳を入れようとするがさすがそれは止めた。腕を伸ばしきった状態だったから1つの手を止めれば他の腕も届く事はない。

 止められたことが意外だったのかほんのわずかに阿修羅は表情を動かす。


 これだけ強ければ本気でやって五分くらいか。

 俺はそう判断して阿修羅に容赦なく殴った。


神滅しんめつ人技、あま殴り」


 神と言う存在にダメージを与えるための滅技の基礎。ぶっちゃけ人技は人間が使う事を前提としているのであまり強くはないが、自身の属性を神殺しの存在にするかなり難易度の高い技だ。

 と言うか滅技の基礎ってこればっかりなんだよね。自分自身の魔力やオーラを相手の不得意な属性に変えて攻撃する。これが本当に基礎中の基礎なので大した攻撃力がないのに技とされている。


 と言っても今の俺は呪われているからそれなりに攻撃力はある。

 現在は下級のドラゴンと同じくらいの戦闘能力はあるんじゃないか?確かめた事はないけど。経験上それくらいのエネルギーはあるだろう。

 だがそれでも神の力がある存在にはまだまだ心もとない。

 エネルギー量が足りないという事は力技は通じない。技術で倒すしかないと言うのは面倒くさい。

 この阿修羅を倒した後も他の呪われた人達がいるんだ。ここで全力を出すわけにはいかない。


 それに面倒な事に戦闘の気配を感じてか他の呪われた人達が俺に向かって突入しようとしている。

 面倒くさいな……でも利用はできるか。

 そう思ってから俺はすぐに行動に移す。


 阿修羅を蹴って距離を放した後、俺は逃げ出した。

 だって勝てない相手に喧嘩売る訳ないじゃん。面倒臭いしやりたくない。勝てない喧嘩を売るほど馬鹿じゃない。

 なので俺は勝てるように準備をしながら目的を達成する必要がある。

 そのために今は阿修羅は放っておく。それよりも先に他の呪われた人達から呪いを回収し、強化しながら阿修羅を倒せるようエネルギーを溜めるべきだ。


 だから阿修羅の事を無視してこちらに向かって来ている人達向かう。

 少し飛んだ後、阿修羅が俺に向かって走ってくる気配を感じた。

 無視して進んでいくと阿修羅から苛立ちのような物を感じる。あの状態でも感情だけはあるんだな。


 そう思いながら進んでいると、向こうから呪われた人達が襲ってきた。

 基本的には子供達の時と同様に弱い感じだったが、100人くらいは俺が戦ったように強い連中も混じっている。

 しかもそれぞれ種族が違うからか特徴も違う。


 ………………何か本当にアジ・ダハーカと喧嘩した時思い出すな。

 あいつ本当に面倒くさいし、神でもあるから耐久力高すぎるんだよな……何だよ神様だけじゃなくてドラゴンの属性もあるチート存在。


 とりあえずあのトラウマ級の戦闘は置いておいて、今は目の前の人達だ。

 全員触れて呪いをどんどん俺に移しながら避け続ける。すれ違いながら触れて確実に人数を減らす。

 ただ突っ込んでくる勢いのまま呪いを俺に移しているから呪いがなくなった人はそのまま勢いよくぶっ倒れた。顔面からぶっ倒れたけどあれ放っておいて大丈夫だよな?


 後ろから阿修羅が走ってきているので丁寧にやることは出来ない。

 だがそんなあまり力のない人達に混じって強い呪われた人達も俺を襲い始める。

 全て強力なドラゴンのオーラを纏い、理性をなくした瞳で俺を襲う。


「龍滅人技、崩鱗ほうりん!」


 本来はドラゴンの鱗を割りながらダメージを与える滅技。今回はオーラを砕きながら直接ダメージを与える事ができる結構使い勝手のいい技だ。

 彼らは現在呪いによって強制的にドラゴンと同じ属性になっているからこそ効率的にダメージを与える事ができる。

 普通のドラゴンだったら鱗の上にオーラを纏わせるから今回ほどうまくはいかないが、理性がない事と戦いに関しては素人である事が功をそうした。


 と言うか理性がないのに技を出せるほど体にしみこませている奴がいるとは思えない。

 それに俺だって何度か戦った連中から移った呪いが俺のエネルギーに変わっているのでエネルギー量的には阿修羅の次くらいにはエネルギーを保有している。

 そして弱い人達からも呪いを俺に移させているのだからさらにエネルギー量は現在進行形で上昇中。あくまでも最大値と言う意味だが、その最大値が低すぎるから阿修羅には勝てない。


 それにしてもこうして戦ってみると俺もそれなりには戦えるようになってきたな。

 俺の腹に大きな穴を上げたあの時の呪われた人と同じくらいの強さの人にもある程度余裕を持て戦う事が出来ている。

 踏み潰そうとしているドラゴンの腕を振り下ろしているがその動きははっきりと目で捕らえる事ができるし、耳や肌に触れる空気の感触でもはっきりと捉える事が出来た。

 だから目には見えない背中の方からの攻撃には尻尾を使って首に巻き付けて地面に叩き落としたり、翼を使って攻撃の軌道をずらす事にも成功できている。


 そしてこの乱闘で気が付いた事だが、必ず相手に致命傷を与える必要はないようだ。

 簡単に言えば力比べ。俺の方が強いと呪われた人に実力を示す事で大きなダメージを与える事なく呪いを俺の方に移す事が出来た。

 ぶっちゃけ何度もあの殺し合いをしたいとは思わないし、今は1人に気を使っていられる余裕もない。

 だったらできる限り一撃で負けを認めさせるような戦い方をするしかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ