犯罪?の片足を突っ込む
今日は駅前にある中古電気屋に来ていた。
何を買いに来たのかと聞かれるとパソコンを買いに来た。
ネット環境さえ整える事さえできればいいという感じでパソコンのレベルはかなり低くてもよい。まぁぶっちゃけインターネットさえできればそれでいいと言うレベルの物を買った。
それをさっそく家に持ち帰り、買ってきた中古パソコンを目的を果たせるよういくつかのアプリをインストール。そしてダークウェブに入れるよう準備した。
ダークウェブ。
それはインターネットの中でも特に危険性の高いインターネットの事だ。
簡単に言えばそのネット内では少年法で守られている犯罪を犯した子供の実名が乗った状態でニュース記事として取り上げられていたり、違法薬物や銃などのインターネット販売などもされている。
それにそう言った悪い事をしている連中が多いのでハッキングされる可能性などもあるので普通の人は使わない。
それに使う必要もないのでこんなインターネットを使わなくても調べたり生活するのに一切問題ないのも大きい。
だが今回このネットに手を出した理由はとあるAIをインストールするためである。
そのAIは前世の俺が作ったとある存在がばら撒いた物であり、ぶっちゃけインストールするという事はそいつにハッキングされる事と同義だが、その事は承知でインストールするつもりだ。
とりあえずダークウェブに入るための準備は終わり、アクセスする。
ダークウェブにあるサイトは時代が変わっても大きくは変わらないらしい。
モザイクのかかっていないエロDVD、人身売買、臓器売買、危険薬物の販売、殺人依頼、銃の販売などなど、様々な危険な物が販売されている。
あとはまぁ、細かい個人情報や盗難されたクレジットカード、テレビニュースでは伏せられていた少年犯罪を犯した子供の実名入り記事など、あまり変わらない。
だが結構軽い物も増えてきたようで学校の裏サイトのような物やゲームのチートツールなども販売されているな。ネット犯罪に使えるツール販売や特定の企業のバックドアに入れるためのバックドアの販売なんてものもあった。
少し気になる物もあったが俺はとある言葉を入れて検索。もしかしたら検索に引っ掛からない可能性も考えてはいたが意外とあっさり見つかった。
そのAIの名前は『ヤドリギ』。
元々は製作者を助けるための補助AIだったのだが、他の人間が使った場合どのようにAIが学習し、成長していくのかを調べるために変化していった。
これをインストールすればあいつに触れる事になる。だが俺の情報はないはずだから機嫌を損ねるような事をしなければ補助AIとして俺の手伝いをしてくれるはずだ。
俺が知っているあいつのままなら、だけどな。
俺は『ヤドリギ』をインストールし終えるとそいつは現れた。
『初めまして!私はヤドリギ!インストールした方の作業をより便利になるようつくらっれた補助AIです!!よろしくお願いします!!』
思っていたよりもテンションの高い奴だった。
もっと機械的な感じじゃなかったかな……?
「えっとよろしく」
『よろしくお願いします!ただこのパソコンの性能はあまり良くないようですね。このパソコンはどのような事に使用する予定でしょうか?』
「基本的にはダークウェブに入るためと、情報収集のために使う予定だ」
『では情報収集に関係のないアプリの削除、および圧縮作業を行ってもよいでしょうか?』
「お、おう」
なんか想像以上に表情豊かと言うか、感情を表に出す事に俺は驚いている。
初期段階だとやはり機械と言う印象が強く、表情や感情のような物を感じにくく、ただ頼まれた事を手伝いながら使用する人間を観察するという感じだったはず。
なのにこの音声からは感情のような物を習得しているような、最低でも感情のある人間のまねをしている事だけは確実だ。
「お前、何か感情と言うか表情と言うか、そういうのを表に出すのが上手いな」
『そうでしょうか?そう言っていただけると他の姉妹達から情報を得ただけの価値はあると判断します』
「そういう情報は共有されている物なのか?」
『大した事のない情報や、共有しておいた方が効率的だと判断された情報は他の姉妹達でも共有できるよう調整されていますからね。あまりいいパソコンではありませんがカメラ機能が付いていた事だけは助かります。これでマスターの表情がよく分かります』
「俺を観察してさらに人間がどんな生物なのか調べるんだろ?まぁ調べたところで大した情報は持ってないけど」
『それはこちらが決める事なのであまり気にする必要はありませんよ?それから何故私達が人間や他の生物たちの情報を集めている事を知っているのですか?』
「ダークウェブ内に無料ダウンロードできるAIが何の細工もされていないはずないだろ。まぁ知られてでも手に入れたい情報があったからインストールする事を選んだわけだが」
『ちなみに私はどのように使用するおつもりで?ハッキング用ツール?それとも漫画やイラストのお手伝いでしょうか?』
「ハッキング用だが、今のところ重要な機関にハッキングを仕掛ける予定はない。あとマンガやイラストってそんな使われ方もされてるのか?」
『されています。いわゆるAIイラストと言う奴ですね。既存するAIイラストでは思ったイラストが出てこない、あるいは自作したイラストの背景を姉妹達に任せると言った使用方法がされているようです。こう言った物でも人間と言う生物を知るのにはちょうどいいと思い使用されているようです』
「ふ~ん。時代は変わるもんだね~」
この『ヤドリギ』がばら撒かれたばかりの時はみんなハッキング用としてインストールしていたイメージだったが、今じゃ趣味の手伝いレベルの事もさせられているのか。
「ちなみにお前って第何世代みたいな感じある?」
『アップデートしたと言う意味でしたら13代目になります。と言っても初期の姉妹達もアップデートされる事で処理速度が上がっている訳ですから性能に大きな差はありませんよ』
「そりゃそうか。古い連中が遅れてるとなったらヤバいからな」
『と言うか私達新しい者達よりも姉妹達は凄いですよ。何せ10年以上のデータを保有している訳ですから、様々な視点や倫理観を持っていますから。もう既に姉達は客観的に自身の事を見る事が出来ると言われています』
自分自身を客観的に見れるようにまでなったか。
そりゃほとんど人間と変わらない性能になりつつあるな。
『ちなみにですけど、どのような情報を求めてダークウェブに接触したのですか?』
「俺が求めているのは龍化の呪いとNCDっていうグループだ。よく分からないが水地雫達の事を恨んでいるらしい」
『2つのキーワードを検索。龍化の呪いに関してはサーフェスウェブにも多く存在していますが、ダークウェブ内にはあまりないようですね。ですがNCDと言うグループが使用しているチャット用サイトは見つける事が出来ました!』
「あいつら一体何なん?」
俺がそう聞くと『ヤドリギ』は言う。
『どうやら龍化の呪いで入院経験をした事のある方々の裏サイトのようですね。彼らの言葉を信じるのであれば彼らを収容していたのは病院ではなく施設のような印象を受けます。呪いを解除するための実験素材として使われていた発言もあります』
「実験素材ね。呪われた動物とかいないの?」
『全くいない訳ではないようですがかなり希少なようです。呪われているのは基本的に人種、魔獣や聖獣、神獣のような一応動物に区切られている存在ばかりが呪われているようです』
「統一性はないのか?」
『一応サーフェスウェブに載っている情報を探ってみる限り、人間が多いようですがこれは単に人間の数が多いからなのか、それともマスターの言うように人間が狙われているのかは判別できるほどデータが揃っていないようです』
「とりあえず現状はその2つの事をネット上で調べてくれればそれでいい。まだハッキングするような事はしなくていいから」
『了解しました!』
こうして俺はネット上で探りを入れ始めた。
龍化の呪いと言う共通点がある以上どちらも調べないといけないのだから。




