交わった後
……今更だが人の家でエロい事するのって非常識じゃね?
一夜明け起きた時に思った第一印象がそれだった。
いやだってさ、そりゃエロい事してる時は盛り上がったし、色々溜まってたもの発散できた事でハイテンションになっていた事も認めますよ。
でもさ、本当に今更だけど非常識にもほどがあるんじゃない??
色々避妊したりなんなりしたけどやっぱ異常だろ。普通最初って一対一じゃないの?何で最初から1対3??
そりゃ神薙一とかに促されたのもあるけど、だからって本当にするとは思ってなかったんじゃないの??
「お父さんたち起きてる?って臭っさ。うわ~なんか本当に色々臭いよ」
自己嫌悪に浸っていると涙がふすまを開けた。
俺以外の三人はまだ寝ているというか気絶しているというか、静かに寝息を立てている。
「あ~、なんかすまん涙。こんな感じで」
「そういう事をしているっていうのは最初から知ってるからいいけど、何でみんな服着てないの?」
「それは……ヤるだけヤって寝落ちしたというか気絶したというか……」
「とにかく酷い臭い。換気しないと」
そう言いながら涙は窓を開けて換気を行う。
あまりにも情けない姿に理事長には教えられないなっと思っていると琥珀もやってきた。
「何で琥珀が涙と一緒に居るんだ?」
「それじゃ聞くけど私以外の人達みんなが交尾しているのにその部屋で寝れると思う?」
「……なんかすまん」
全くもってその通りとしか言いようがない。
「とりあえずお父さん達みんなお風呂に入ってきたら?この部屋と同じように臭い」
「風呂……入れるかな?」
自分家ならともかくここ人の家だぞ。
そう都合よく――
「お風呂なら沸かしておいたからいつでも入れるわよ!」
何故か神薙凛音の声が扉の向こうから聞こえてきた……
「何で居るんですか」
「そりゃ焚きつけた側としてどうなったのか興味あるし、お掃除とか色々あるじゃない」
「ありがたいですが掃除は自分で――」
「これから学校に行かないといけないんだからそういうのは私達に任せなさい。朝ごはんもお風呂あがった後に食べれるよう用意しておくから好きに食べてね~」
「何から何までありがとうございます」
本格的に俺情けなさすぎない?
人の家汚しておいて風呂とか飯とかももらって全部やってもらうって……
でも本当にありがたい事も事実だ。
学校に行く前に風呂に入っておきたいし、掃除とかする時間なんてないからな……
お言葉に甘えさせてもらい風呂をもらい朝食をいただく。
理事長達は……置いて行くか。なんだか疲れ切ってまだ寝てるし。
「今日はありがとうございました。放課後にリル達を迎えに行きます」
「ええ、学校頑張ってきてね」
神薙凛音に礼を言って俺は走り出した。
少し走るとすぐに霧が俺を包み、それでもまっすぐ走り続けるといつの間にか見知った道に出た。
スマホの時計を見て十分間に合う時間である事を確認してから走りから歩きに切り替えた。
――
「ん。んん?」
「あ、おそよう雫ちゃん。もうお昼よ?」
水地雫が目を覚ましたのはお昼少し前くらいだった。
雫はスマホの時計を見て跳ね起きた。
「もう11時!?どうしよう!!今日も仕事が!!」
「それはサマエルちゃんがどうにかしてくれてるみたいだから大丈夫らしいわよ。こうなる事予想してたんじゃない」
「サ、サマエルが?」
「あの子本当に優秀よね。いったいどこの誰に振り回されてきたんだか。ふふふ」
「それよりその、柊君は……」
「彼はとっくに学校に行ったわよ。むしろこの状況を放置していくのをためらっていたけど」
「この状況?……ああ」
雫だけではなくリルとリーパもまだ寝ているところを見て雫は納得した。
そして本当に大きなやらかしをしたと頭を抱えてしまう。
「本当にごめんなさい……」
「別にいいわよ。こうなる事はある程度予想してたことだし、それにそれに。昨日はどんな感じだったのか聞きたいし」
そういう凛音に対して雫は顔を真っ赤にした。
「言える訳ないじゃないですか!」
「そりゃ言えないでしょうけど、幸せだった?」
「それは……まぁ当然というか、好きな人と一夜を過ごせたから想像通りと言うか、何と言うか……」
「良かったわね雫ちゃん。それはそれとして早くお風呂入ってきなさい。みんなと一緒に」
という事で流石に雫はリルとリーパを起こして風呂に行った。
リルは柊の護衛をすっかり忘れて寝落ちしていた事に落ち込みながらも自身が匂う事は分かっていたので素直に風呂に入る。
風呂嫌いのリーパもさすがに臭いと感じたのか大人しく風呂に直行した。
風呂で三人体を洗ってから湯船につかる。
「…………はぁ」
風呂に入った心地よさが三人を包み込むが、少し落ち着いた後顔を真っ赤にする。
それは風呂に入っているからではなく、昨夜の事でだ。
「まさか私達全員、リードされちゃうなんてね……」
『ちょっと情けなかったかも』
「仕方ないじゃない。私達だって全然経験なかったんだから。それに意外とご主人様、Sだったし」
「あれってSなの?自分で動くのが好きなだけじゃなくて?」
『でもSっ気はあったと思うよ。私達が悶えているのを見て喜んでるところ見たし』
「そ、そうなの?」
「気付いてなかったの?お互いに顔を合わせる体位の時滅茶苦茶獣みたいなギラギラした目線になってたじゃない。獣の私が言うのもなんだけど」
『その辺は雄の本能的な部分なんじゃない?あれ避妊してなかったら確実に孕ませるに全開だったように感じた』
「分かる分かる。やっぱり雄の本能なのか孕ませる事が前提で私達の事抱いてる雰囲気あった。精神年齢的には私達と変わらないみたいだから子供欲しいのかな?」
「子供……赤ちゃん……」
「何でウロボロスが一番その話題で顔を真っ赤にするのよ。この中で唯一子供を産んでるのに」
「だって!!産んでると言ってもやっぱり恥ずかしい行為だし、涙だってかなり年の離れた弟妹が生まれるわけだし……」
『ご主人様の赤ちゃんを産むことに抵抗はないんだね』
「それは!…………そういうこと前提と言うか、そういう事も望まれているのは……昨日はっきりと分かったし……」
「顔半分お風呂の中に居れてぶくぶくしない。でもあれで彼の枷は外れたわよね~。これから毎晩求められたらどうしよ」
「毎晩!?」
『あ、そういう可能性もあったね。元々私達がいるから満足に一人で発散できてない雰囲気あったし、私達の事を抱けるのに一人で発散するとは思えないし、昨日の事でご主人様の性欲かなり強い事も分かったし、もしかしたら本当に毎晩求められるかも?』
「ちょっと待って。その場合私は!?」
「一緒に住んでる訳じゃないんだから無理でしょ。私とフェンリルが対応するからしっかり休みなさい」
『私も……求められるのは嫌じゃないし、むしろ毎晩求められるのは嬉しいし……』
「ちょっとそれ何かズルくない!私だってその、嫌いじゃないんだから!!」
『でも雫にはお仕事あるでしょ?私達はご主人様の護衛だからあまり問題でないけど……』
「ウロボロスは無理ね」
「やっぱりズルい!!」




