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転生者の贖罪  作者: 七篠
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相談に乗ってもらった

 結局本契約は先延ばしになった次の日、どうしたもんかな~っと考えていると桃華が現れた。


「どうしたんです?悩んでいるようですけど」

「……う~ん。桃華に相談し辛い内容でさ、ちょっと話せない」

「それなら私は?相談料なしでいいわよ」


 なんかカエラも出てきた。

 でも内容が内容だけに女子に相談するのもどうかと思う。

 理事長には本契約の事があるから正直に言ったけど。


「……やっぱなしで。内容酷いから」

「何よ、勿体ぶるわね」

「内容が酷いと言っていましたがどのような内容ですか?」


 ……まぁ二人とも本契約の重要性に関してはよく知っているだろう。

 カエラは悪魔として、桃華も大神家として重要性を知っているはず。

 だから本契約に関して相談する相手としては間違っていると頭ごなしにも言えない。

 でもな……契約の仕方で問題が起きてる訳だからな……


「あ~分かった分かった。それじゃ放課後何かジャンク系奢るから、女性視点での契約内容に関して教えてくれ」

「あら、ありがとう。奢ってくれて」

「え、でも悪いんじゃ……」

「ちなみに今日の気分はケンタ」

「行く!!」


 裏桃華が一瞬出てきてすぐに桃華が「すみません」っと恥ずかしそうに言った。

 こうして放課後はカエラと桃華に相談してもらう事になった。


 ――


 放課後、学校近くのケンタで二人に奢りながら今回の騒動について話した。


「――ってな訳で本契約しようとしたら理事長に怒られた」


 内容をリルとの本契約に関して話すと二人は呆れ返っていた。


「いやそれ普通に嫉妬でしょ。理事長があなたにね……」

「いや、理事長にそんな気は――」

「ある。柊がそれを隠そうとするのも分かるし、隠して当然の内容。とんでもないスキャンダルよ」

「……やっぱバレる?」

「バレバレ。でもまぁ今回は奢ってくれたから黙っておいてあげる」

「わ、私も黙っておきますね。お父さんにも」


 カエラは契約の仕方に関して特に気にしていないというよりは理事長の感情について理解し、桃華は契約の仕方に顔を真っ赤にしていた。

 続けてカエラは俺に聞いてくる。


「ちなみにだけどその契?っていう奴の他に簡単な契約はないの?悪魔だったら特別な羊皮紙に契約内容を書いてサインするだけで済むのに」

「そういう形でも本契約は出来るけど俺の場合、合体魔法とかもあるから出来るだけ高等な方法でやりたいんだよ。でもそうなると色々金がかかるし、準備にも時間がかかる。それに契って言ってもこれでもかなり簡略化している方なんだぞ。あくまでも作法だけは則ってるって感じ」

「そ、そうですね。契は日本で最も古い儀式の一つです。元々人間同士などではなく、神に身を捧げる巫女のための儀式でしたが、それが少しずつ変化していって現在の形になったと聞いています」

「流石大神家の令嬢、その通り。もし大昔の方法そのまんまでやったら何百万って金が吹き飛ぶか分からん。だから簡略化した奴でやろうとしたわけ」

「でもそんな重要な契約方法なら簡略化じゃ大した効果がなさそうだけど?」

「そこが契の最も大きなメリットです。契はその、肉体的に相手の魂に接触し、そのまま互いの魂に繋がりを得るための儀式です。そしてデメリットは、その、互いに心を開いていないと効果が現れない点です」

「魂と魂を繋げる行為はかなり高度なのは分かってるだろ。さっきカエラが言った羊皮紙による契約書のような魂と魂を繋げる道のような物を用意する、これが最も面倒だ。言い方を変えればそれができれば嫌がる相手と強制的に契約する事だってできる。でも契はそう言った道を繋げる媒体がない代わりに既に互いに身や心を預けられるような相手じゃないと絶対に失敗する。だからぶっちゃけ大昔の本格的な儀式って言うのはほぼ結婚式、あなたと添い遂げる事を誓います宣言だ」


 あまりな言い方かもしれないが要約するとそんな感じ。

 と言ってもこれは本当に昔の本格的な儀式の仕方の説明であって絶対にそうしなければならない訳じゃない。

 だから簡略化と言う事が出来たし、簡略化しても効果が弱まる事はない。

 これが契のメリットだ。


「なるほどね~。悪魔の考え方じゃ思いつかない訳だ」


 カエラは納得しながらチキンを頬張る。


「でも本契約に関してはヒラとおばちゃんの問題だろ?蛇が怒っても関係なくないか?」


 なんか急に裏桃華が現れた。

 だがそれに関しては義理と言うかルールと言うか、お互いだけの問題では済まない。


「そう簡単な話しじゃねぇんだよ裏桃華。元々リルは理事長の所に居たんだ、護衛と言う形で今は俺の元に居る。つまり俺は理事長からリルを借りている状態なんだ。勝手に人の物を奪ったら相手から殺されても文句言えねぇだろ」

「あ~そういう感じか。でもヒラとおばちゃんは問題ないんだよな?」

「問題ない。その辺の契約方法に関してはお互いに納得しているし、そもそもダメだったら他の方法探すしかなかった。だから経費的にも契の方が色々助かるんだよな~」


 ぶっちゃけ経費だけではなくリル自身が俺とそういう事をシたがっているのでこれを口実にっと考えてもいる。

 あとは単に俺自身に責任を少しでも持つ事で昔の強さを手に入れたい。

 それが俺の気持ち。

 あとリーパの方はあとで勝手に本契約しよう。こっちはフリーだし。


「それ以前に理事長が嫌がってるって所が大変だけどね。もういっその事理事長も一緒に本契約しちゃったら?」


 …………カエラが投げやりになったのか意味不明な事を言い出した。


「何言ってんだカエラ?理事長と本契約なんて出来な――」

「出来なくはないでしょ。元々人間とそれ以外の特殊な存在と契約するための物なんだから先に理事長と契でも何でも契約して落ち着かせたら?」

「だとしても理事長が俺と契約するメリットが何もない!そんな落ち着かせる目的だけで本契約を結ぶとか理事長も望まないだろ!?」

「…………あれ?意外と良い手なんじゃないヒラ?」

「どこがだよ!何のメリットも提示できないし、あれ多分浮気って表現したから理事長と契約した場合リルとの契約はできないと考えるべきだ。それじゃ意味ないだろ」

「でも蛇がおばちゃんと契約を邪魔するのはおばちゃんとの契約が嫌なんじゃなくて、理事長と契約しないのが問題なんじゃないの?だったら蛇と先に契約した後におばちゃんと契約するしかないんじゃない?私達大神家は普通一人だけだけど」

「それはどこも同じだって。本契約のダブルブッキングは危険って言われてんだから」

「私達悪魔から見れば一夫多妻は貴族みたいな金も権力もあるところなら問題ないしね~。そりゃ日本では認められてないから無理だけど。でも今回はあくまでも契約。あくまでも結婚みたいな物であって結婚する訳じゃないんなら何人と本契約したって問題ないんじゃない?主体は柊なんでしょ?」

「それは……まぁ」


 そりゃ一応契約上俺が召喚する側、リル達が召喚される側と言う形にはなるがだからと言って上下関係を決める訳ではない。

 だから俺がどれだけ契約しても問題ないと言えばその通りだが、人間関係という問題に関しては今まで以上にこじれる事だろう。

 というか理事長の性格上ハーレムを認めるとは思えない。

 いや結婚する訳じゃないけど。


「それじゃまず理事長を口説き落としなさい。そうすればリルさんとも契約できるでしょうし、その後も契約する相手が増えても問題ないでしょ」

「あの……私もそれが最善ではないかと思います。理事長さんはその、拗ねているだけだと思いますので」


 カエラと桃華もそう言う。

 二人の意見が正しいとは思えないが、リルはどうだろうかと影に視線を向けてみると。


『それもいいんじゃない?』


 確証はないが可能性はあるという感じで困った顔を見せる。

 これマジで理事長と契約しないとダメなのかな~?

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