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転生者の贖罪  作者: 七篠
186/216

side 交渉

 日本の喫茶店で二人の男がコーヒーと紅茶を片手に仕事の話をしていた。

 片方の男はユダ、もう片方は眼鏡をかけたやり手の営業マンのような風貌の男だ。


「……それで、私を雇いたいとはどういう内容か」

「簡単な話しです。私達の護衛をお願いしたいのです」

「護衛……私の本職は悪魔祓い(エクソシスト)なのだが」

「それに関しては重々承知です。ですが今私達は悪魔を相手にしていますのであなたのような悪魔祓いがいてくれる事で安心できるのです」

「…………」

「もちろん報酬は弾みます。あなたが居ると分かるだけで魔王達もそう簡単に干渉する事は出来ないでしょう。それだけでも私達は非常に動きやすくなる」

「…………」

「どうかお願いできないでしょうか。報酬は金だけではありません。あなたなら使いこなす事ができるであろう魔道具もお渡しします」

「…………確認よろしいだろうか」

「どうぞ」

「君達は悪魔のはずだ。それなのに何故その天敵である悪魔祓い(わたし)を雇うという形をとったのかお聞きしたい」

「それは簡単です。私達はみな下級悪魔。貴族の本物の悪魔を名乗る彼らから見れば私達などどうなろうがかまわない存在なんですよ。精々使いつぶしのできる家畜と言ったところでしょうか、そんな現状を変えるために私は協力してもらえる者なら誰とでも手を組みますよ」

「……そうか」

「他のメンバーにもあなたを招き入れる事に対して懐疑的なところもありますが、概ね賛成の方向に固まっています。他にもメリットを提示してほしいのであれば納得いただけるまでご説明します」

「ではさらに聞かせてもらう。何故私を雇う。魔王への対抗手段だというのであれば力不足であるし、私ももう年だ。昔と比べると体の動きが鈍くなったし、体力も落ちた。それなのになぜ私を選ぶ。私のような落ちぶれたエクソシストなど山ほど居るだろう。それなのになぜ、私を選んだ」

「その理由に関しては見てもらった方が良いでしょう。どうぞこちらに」


 そう男は言って喫茶店で支払いをし転移で目的地に移動する。

 そこはまるで巨大な遺跡の発掘現場のようであり、地上から長い階段を下りてようやく到着した。

 洞窟の中は巨大なライトに照らされながら発掘している者達を眺めながらユダは驚きを交えながら言った。


「これは……」

「先日発見したゴーレムです。地中深くに埋められていましたがようやくここまで発掘する事ができました」

「……これを使えと?」

「いえ、発掘したばかり何がエネルギー源なのか不明ですし、そもそも動くのかどうかも分かりません。なのでこれはあくまでも今後使えるかもしれない代物です。使えればかなりの戦力になる事は間違いないと思います」

「確かにこれほどまでに巨大なゴーレムは見た事がない。これで魔王に立ち向かうつもりだと」

「それに関してはこれからエネルギー源の特定と共に解析していくつもりです。巨大なだけで戦闘用ではないっとは思いませんが」

「未知数の兵器と言う事か。エネルギー源に心当たりはあるのか」

「現在まで判明している事は熱を利用していると言う所までです。そもそもこれが自動操縦なのか、手動なのかも分かりません。現在はコックピットのような物がないか調べており、もしコックピットがあれば手動ではないかと予想していますが、見つからなかった場合は改めて遠隔で操作できるよう術式を組む予定です」

「…………これはいつごろ作られた調べはついているのか」

「それも現在調査中です。一応土を調べた際にごく最近の土が付着していたので古代の物ではないと予想しています。それでもこの兵器が何故最近埋められたのかは不明ですが」

「……本当に恐ろしい物を見つけたな」


 もし仮にこのゴーレムが正常に動いた場合、相当な被害になる事だろう。

 巨大と言うだけで人は恐怖感を植え付けられるし、重いというだけで抵抗する事ができない。

 しかもこれほどのゴーレムならただの金属を使っているとは思えない。

 伝説の武器にも使われている素材を使用している可能性だって否定しきれないだろう。

 しかしこれがごく最近に埋められたのなら何故誰も気づかなかったのか、そういった疑問は残るが彼の話を聞く。


「ええ。これで魔王に対抗できると思います。それからこちらはお渡しします」

「この2つの木箱は」

「中を開けてご覧ください」

「…………魔道具のカード」

「片方は黄道十二星座、もう片方はタロットカードをモチーフにした魔道具です。どちらも戦闘用ですが非常に取り扱いが難しく、護衛を引き受けていただけるのであればお渡ししようかと」

「………………」

「ご覧の通りそのカードにはそれぞれ伝承にちなんだ神、あるいは聖獣や魔獣の力が込められている物もあります。使いこなせそうですか」

「………………報酬は」

「そちらのカードと金でいかがですか」

「いいだろう。それからもう少し詳しい話を聞きたい」

「分かりました。ではこちらにどうぞ」


 木箱の中に入っていたカードの魔道具。

 これが一体どれだけの力を持ち、どれだけの力量が必要なのか、見ただけで分かる。

 これは以上としか言いようがない本当の強者でなければ扱いきれないほどの代物だ。

 雰囲気としては魔剣の類に近い。

 とにかく壊す事、殺す事を目的として作られ、この魔道具たちもそれに真面目に答えようとする。

 だからこそ兵器と変わらないほどの威力を生み出す。


 そしてこの超巨大ゴーレムは一体何なのか、気になるユダだった。

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