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転生者の贖罪  作者: 七篠
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飯食って帰ってきた

 美味い昼飯を食って帰ってこれた事に満足していた俺は理事長室に転移で帰ってきた。

 ベルゼブブの奴一体どこで本格的な料理を学んだんだろうな?

 また食える機会があったら食いたいな~。


「皆様お帰りなさいませ。食後の紅茶はいかがでしょう」


 帰ってきたらサマエルがお茶の準備をして待っていた。


「いただきます」


 食後のデザートはいただいたが飲み物は飲んでなかった。

 だから一服入れるという意味でもお茶はありがたいし、今後の話し合いについてもここで話すべきだろう。

 ちなみに契約や立食会に関しては理事長がサマエルに説明してくれたので色々楽できた。

 後は実際に契約を組む段階になったらカエラや理事長に確認してもらえればいいだろう、


「柊様。差し出がましいかと思いますが、呪いを一身に受けるというのは得策ではないと思われます。確かに柊様には呪いに対して強い耐性があるようですが、絶対とは言えません。もう少し様子を見るべきだったのではないでしょうか?」

「サマエルさんの意見も分かりますが、まぁ多分大丈夫でしょう。俺の魔力保有量はかなり広いから正気を保ててるみたいですし、なんとなくまだ呪われても大丈夫な感じがするので」

「だとしてもあまり危険な事をしないでください。私も大人として子供を守る義務がありますから」


 そう言って優しく微笑むサマエル。

 こいつ本当に俺のこと覚えてないんだよな?


「心配してくれてありがとうございます。でもまぁここから先は契約書が出来るまで待機だな。あとカエラ、これ報酬」


 そう言いながら100万円の束をカエラの前に投げると戸惑った表情をする。


「なんだ足りなかったか?それなら200万で……」

「逆。多すぎ。いつもこんな感じで報酬払ってるの?もう少し考えなさいよ……」

「少ないよりは多い方が良いだろ?いきなり魔王に合わせた迷惑料込だ。受け取っておけ」

「……こういうので貸し借りの感覚が出来るからできる限り多すぎる報酬は受け取りたくないのよね……」

「次からは適正報酬にしておくから」


 今回は無理やり連れてきたという観点も見ての100万だ。

 流石に毎回100万出すほどの財力はない。


「それにしても悪魔世界も大変だな。呪い付きの薬物が流行してるなんてさ」

「それ悪魔社会にも問題あると思うよ、基本的に貴族が圧倒的優位な立ち位置に居るし」


 そう言うのはリーパ。

 まだお茶が熱いからか少し口をつけては離すを繰り返している。


「だって悪魔の貴族って家によってかなり環境変わるでしょ。グレモリーとか各魔王の領地経営は領民の事を考えてるけど、そうでない悪魔の方が圧倒的に多いんだったよね?」

「まぁ確かに」

「だからその領主の悪魔が薬の流通を許可している限りずっとそのまんまなんじゃない?薬の力で領民が強くなるんなら~みたいな感じで」

「それはないですよ」


 リーパの予想に対して理事長がカップを置きながら言う。


「実際それを期待して放置していた貴族が居たみたいですが、その領民が必要以上の呪いを摂取して領主には向かったという事件が各地で勃発しています。なので魔王から表向きはそういった領民の反乱を防ぐために呪われたドラックに関しては回収し、流通しないよう呼びかけています。それでも眷属や護衛に対して薬物効果のない呪われた錠剤を摂取して能力の向上を図っているようですが」


 そう呆れながら言った。

 やっぱ楽に強くなれる物があると分れば使うのが悪魔。

 後先考えず今もドーピング剤という面しか見ていない愚か者達が懐にしまっているんだろう。

 そしてバレたとしてもこれから魔王さまに渡す予定でした、とでも言えば許されるんだろうか?


「効率重視に関しては何かを言うつもりはないが、あとから自分の首を絞める物かそうでないかくらいの判断はつかないんですかね?ちなみに魔王でも使用している人達っているんです?」

「魔王とその眷属に関しては研究用にアスモデウスが管理している分と、貴族から回収してそのまま放置されている物しか今はないそうです。その倍以上の数を貴族達が隠し持っているのは間違いありませんが」

「普通の悪魔が使用した形跡は?」

「あちこちに居ます。一部は呪われているという事で一度施設に収容されるみたいですが、そのほとんどが理性を保てているのですぐに解放されます。それにドラックタイプを使用しているならリハビリ施設に無理やり押し込む事も出来ますが、ただの錠剤タイプでは無理矢理施設に押し込む事は出来ません」

「やっぱりその辺は上手い事やるか。俺が使用した悪魔と戦わないと言ったから摘発組に入らないし、おとなしく錠剤の処理をしている方がリスクは少ないからいいが、そういう連中を全部倒せんのかね?領主たちは」

「それこそ眷属だか騎士達に任せっきりじゃない?悪魔の貴族は腐りきってる連中の方が圧倒的に多いから」


 リーパはそう言いながらようやく冷めた紅茶を飲む。


 カエラのように日本に住む悪魔なら日本の法律に則って禁止されるが、悪魔社会では各領地を治める貴族達の方が影響力が大きい。

 遠くの魔王の言葉より、近くに居る貴族の方が怖い。

 それこそ数千年と変わらない価値観のせいで領民は領主の奴隷、みたいな考え方をしている悪魔貴族の方が多い。

 あの立食会に居る貴族達もそう考える者の方が圧倒的に多いだろう。


 だからそれが嫌で他の領地や人間社会に逃げる悪魔達も存在する。

 まぁ大抵日本に逃げ込もうとするから日本人としては大変なんだけど。

 他の国じゃ悪魔は悪だ~って大騒ぎになるから。

 あと単に社会福祉が良いんだとさ。


「領民が逃げて税収が減って困るのは領主だろうに、その辺どう考えてんだろあいつら?」

「悪魔の貴族達は領民から搾り取れるだけ搾り取る、みたいな考え方が多いですから。その考え方を改めようと現魔王達も頑張ってはいるんですけどね……」

「そうなんですか?」


 あいつらならそう言う事も視野に入れそうだなっとは思うが本当に実行するとは少し意外だ。

 これに対して教えてくれるのはサマエルだった。


「実際グレモリー領は領民に優しく接しています。おかげで領民からの評価も上がりますし、税収も増しているので模範的な領地としてルシファーが支持しています。それを気に入らないと思う貴族も少なくないようですが、一部の貴族は真似し始めたとも聞きます」

「真似ね……支配して当然と考える貴族にできるのかどうか見ものですね」

「柊様は手厳しいですね」

「まぁ一応いい悪魔よりも悪魔らしい悪魔の方がよく知っているので」


 あいつらは自分の利益になるような事しか基本的に動かない。

 それ以外は無視だし、どうなろうが知ったこっちゃない。


 でもだからこそ大きな隙が生まれそこから瓦解させる事も出来る。

 もし悪魔社会が貴族政から民主主義に変わったら大問題だろうな。

 地球で起こった革命よりも大事間違いなし。


「それ以外なんだけど。私とすぐに契約しなかったからある程度知ってるとは思ってたけど、純粋な悪魔でもいたの?」

「流石に純粋な悪魔は居なかったけど、まぁ警戒しておいた方が良いってのは分かってたからそうしてただけ」


 まだカエラには前世の事云々言えないからな。

 正確に言うと前世の頃の経験だし。

 なんて思っているとカエラはふと気づいたように言う。


「そういえばあの場にサタン様がいなかったのは何で?」


 ん?あ~。

 何も知らない一般悪魔から見ればサタンがいないのは不思議か。


「サタンは政治とかには一切かかわってないぞ。あくまでも悪魔世界を築き上げるきっかけになったドラゴンってだけだから」

「その辺りは普通の悪魔でも知らない事は多いですね。貴族だと政治にかかわってくるので自然と覚えていきますが」

「サタン様は悪魔を生み出したドラゴンと言う立場なので政治経済にはかかわりません」

「へ~、そうだったんですか。そういう魔王様もいるんですね」


 相変わらずサタンの名は強いな。

 サタン様がそう言うのならそれでいいかと、悪魔はDNAレベルで刷り込まれてるんじゃないか?

 ちょっと不安になるレベルだけど。


 そういえば正式な契約書っていつ届けられるんだろう?

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