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拝啓、親父殿。幼馴染が怖いです。  作者: F1チェイサー
第1章 じゅんびきかん
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はぢめてのおかいもの

長すぎると携帯で見る人の負担になると思うんで、メモ帳で大体10kb位の文章で投稿してますが、長さ的にはどうなんでしょ?

ご意見いただければありがたいです。

 訓練やら宴会やらがあった翌日、一同は町の中心にある立派な石造りの広場に集まっていた。

 中央には大きな噴水があり、そこに二人の少女が腰かけている。


「……薬って便利よね……」

「……神術も十分便利だと思うのです……」


 そう話す赤髪と、三つ編みブロンドの少女。二人は遠い目で空を見上げ、ボーっとしている。

 二人は酷い二日酔いを、薬と神術による治療で何とか症状を抑えたところであった。


「おいコラそこな酒乱二人組。次もその薬があると思うんじゃねーぞ?」

「全くです! ああ、思い出しただけでもう……!」

「自身の恥を晒しおってからに……我を呼び出すのであればその程度の節度は保って欲しいものなのだがな?」


 その二人に対し、レオとユウナとアーリアルが冷たい視線と共に二人に声をかける。

 特にユウナなどはルーチェを鳶色の瞳で射殺さんばかりの鋭い視線を投げかけていた。

 なお、アーリアルはいつものようにレオの肩に陣取っている。


「ホント、申し訳ございませんでした!」

「本当に申しわけないのです!」


 その言葉を受け、リサとルーチェは綺麗な土下座を決め込む。


「朝もはよから何やってんだお前ら……」


 それを見て、ジンは朝もはよから大いに脱力するのだった。


「まあ彼らはさておき、これから何をするつもりなんだい? 僕はてっきり直接訓練所に向かうものだと思っていたのだけれど?」 


 ルネはうつむいているジンに下からのぞきこむようにして声をかける。

 ジンは背筋を伸ばし、全体に聞こえる様に質問に答えた。


「今日はまず買い物を済ませようと思ってな。まず何が足りないって装備が足りなすぎる。冒険者が比較的軽装だとしても、前衛の戦士の装備が布の服じゃあんまりだ。後衛にしたって、何かしら補助があったほうが良いに決まっているわけだし、最初にそれを済ませようかと」

「けどよお、少しでも早く行って練習時間を長く取ったほうが良いんでねーの? その後に買い物に行ったほうがよっぽど効率が良いと思うんだけどよ?」


 レオの質問に一斉にメンバーの視線がジンに向く。

 ジンもそのあたりの説明は必要だろうと思い、説明を始めた。


「そりゃ時間的にはそうだろうが、俺としちゃそうは思わん。武器や防具をそろえて、その重さに耐えられるように訓練しないといけないわけだからな。ほら、布の服と鉄の鎧が同じ重さなわけないだろ?」

「そういうことなら納得ですね。ところで、ジンの計画では誰に何を買うつもりなんですか?」

「まず、全員に防具一式。それからルネとレオとユウナに武器、リサとルーチェに補助のアクセサリー。そうだ、それとユウナには今のうちに渡しておこう、ほれ」


 ジンはそう言うと、ユウナに一振りの刀を手渡した。

 その刀は抜かれてもいないのに異様な雰囲気を放っていて、鍔には舞い散る桜の彫刻が施されていた。

 ユウナはキョトンとした表情でそれを眺める。


「刀……ですか?」

「そうだ、紅葉嵐の兄弟刀で『桜吹雪』。この刀と小太刀である紅葉嵐でセットなんだよ、そいつは。当然、中身はその名に恥じない名刀……ってここは訓練場じゃないんだから抜くな!」

「はうっ!?」


 ジンはその場で桜吹雪を抜こうとしたユウナを大慌てで止める。

 ユウナは抜こうとしていた手を止め、わたわたと元の状態に戻した。

 ジンは周囲を確認したのち、安心したように大きくため息をついた。


「はぁ……気をつけろよ、下手すると騎士団呼ばれて大騒ぎになるんだからな?」

「す、すみません……で、でも、何でこれまで私に?」

「まず、昨日の戦い方を見て思っていたんだが、お前本来ナイフだけを使っていたわけじゃないだろ?」

「え、ええ、そうです。昨日は少し無茶をしましたけど、本来牛みたいな大物を解体するときはもっと大きな包丁を……」

「……何故ユウナが料理を牛を解体するところから始めるのか知らんが、やっぱりそうか。これから先、大物を相手にすることも多くなるはずだ。その時に小太刀だけだといろいろ苦労すると思ったんだよ。だからユウナにこれを持っていて欲しくてな。……本当はもう一本小太刀があれば良かったんだけどな」


 それを聞くと、ユウナは花の様な笑みを浮かべた。


「あ、ありがとうございます! ……でも、何で私が長物を使えると?」


 ユウナは首をかしげながらジンに質問をする。

 すると、ジンはそれにすらすらと答える。


「左手だな」

「左手、ですか?」

「ユウナは本来は小太刀二刀がメインなんだろう? だが、あの雄牛を相手にしたとき二本目を持たず、おまけに一度左手を右手の後ろで握ろうとしたからな」


 それを聞いて、ユウナは前に流れてきた長く艶やかな黒髪を直しながら、感心したようにうなずいた。


「……よく見てましたね。でも、包丁とこの刀は違いますよ?」

「正直に言ってそれに関しては全く心配していない。穿った言い方をすれば、包丁も刀も斬るという点では一緒、使い方は変わらん。おまけに、お前は渡してすぐの武器でSSSランクのタイムレコード叩き出すような奴だしなぁ……という訳で、少なくともいきなり業物を渡す程度には期待してるぜ、ユウナ」


 ジンはそう言いながらユウナの肩をたたいた。


「そうですか……私、期待されているんですね……ふ……ふふふ……うふふふふふふふ♪」


 ユウナは桜吹雪を抱いたまま、妖しげに笑いだした。 

 ジンはそれに若干引きながら、レオに話しかけた。


「なあ……ユウナが軽くバッドトリップかましてくれてるんだがどうすりゃいいんだ?」

「あ~……笑えばいいと思うぜ」


 疲れ気味の声で尋ねられたその質問に、レオは苦笑いするしかなかった。


「おい、ジン? 我には何もないのか?」


 不意に、レオの頭の上から不満げな少女の声がした。

 その声にジンが顔を上げると、頬を膨らませたアーリアルの姿があった。


「テメェは何も必要ねえだろうが。第一、先陣切って戦うつもりなのかよ、おい」

「後ろで見てても詰まらぬではないか!」


 レオの言葉にドンッと手ごろな位置にあった銀色の物体にこぶしを落としながら反論するアーリアル。

 銀色の物体とはもちろんレオの頭である。


「イテェ!? おいコラ、人の頭をポカポカ叩くんじゃねえ! 下ろすぞ!」

「うっ……すまぬ、レオ! もう二度とせぬから下に下ろすのはやめてくれ!」


 当然のごとくレオはアーリアルに怒鳴り声をあげた。

 それを受け、アーリアルは必死の表情でレオに謝る。

 ジンはその光景に苦笑いを浮かべながらアーリアルに話しかけた。


「アーリアル様神術メインなのでは?」

「む、そんなことどうでも良い。そうだな、少しばかり剣を振ってみたくはあるな。ジン、貴様の剣を貸せ」

「リサの守りはどうするんですか? あれは貴方の加護があってこそ……」

「おい、その堅苦しい言い方と様付けはやめろ。貴様にそう言われるとなぜか腹が立つ。様付けもやめろ、アーリアルと呼ぶことを許す。大体訓練場のときはお主はタメ口だっただろうに」


 苛立ちを欠片も隠そうとしない口調でアーリアルはそう言った。

 それに対し、ジンは頭をかきながらため息をついた。


「腹が立つって……まあいい。話を戻すぞ、アンタがリサをしっかり守ってやらないとリサの命の保証はないんだぞ? 勝手に一人で暴れられても困るんだが……」

「ではリサに剣を持たせれば良かろう。と言うか、ぶっちゃけその剣が欲しい」


 アーリアルの突然の爆弾発言に、ジンはあんぐりと口を開けた。


「はぁ? おいおい、勘弁してくれよ。こいつは神代の遺跡から苦労して手に入れたものなんだぜ? それをそう易々と……」

「貴様、目の前にいるのが誰だか忘れておらんか? これでもこの大陸一の神、その剣の代わりくらいすぐに用意してやる。だから、その剣を寄越せ」


 アーリアルはそう言うとジンの剣に向かって手を伸ばした。

 しかし、その手は下から伸びてきた腕に掴まれた。


「待てや我侭神。何たってそんなにジンの剣が欲しいんだよ?これでただの収集趣味とかぬかすんじゃねえだろうな?」

「ち、違う! 我はただ……その剣が……」


 レオは少し怒気をはらんだ声でアーリアルに問いかける。

 するとアーリアルは声を張り上げたが、だんだんとか細い声に変わって言った。


「この剣が?」

「……その剣に我が血族の匂いを感じるのだ。我にとって血族の形見はそれこそ宝。すでに隠れてしまった者の名残を感じられるのだからな」


 アーリアルは金色の眼にわずかに涙をたたえ、少しさみしげな表情でそう語った。

 ジンはそれを見て、頭を抱えたままため息をついた。


「はぁ……分かったよ。それなら所有権はアーリアルのものにして、俺がそれを借りるということにしよう。俺が死ねば剣はちゃんとアンタに返す。それで良いか?」

「……良いだろう。その代わり、たまには触れさせてくれぬか?」

「持ち主が断る必要ないだろ」

「そうか、それは良かった」


 アーリアルは嬉しそうな表情でそう答えると、レオの肩から飛び立っていった。

 ……実際には、剣の処遇に関しては全く変わっていないと気付かぬまま。


「……なあ、アーリアルってもしかしなくてもバカなのか?」


 ジンは幼馴染たちに向かってつぶやくように質問を投げかけた。

 それに対して、レオが即答した。


「違う、あれは底抜けのバカだ。掛け値無しのな」


 それを聞くと、ジンはユウナとリサの方に目をやった。


「……ア、アタシに振らないでよ!?」

「でも、お世辞にも賢いとは……」


 結局、アーリアル馬鹿疑惑を否定する人間はいなかった。




 それからしばらくして、一行は町にある武具屋に向かった。

 それは石造りの立派な佇まいをしており、隣には実際に武器の試し切りが出来る設備があった。

 店内には革製品から銀製品まで幅広い武具が並んでいる。


「ところで、いったい何を買うんだ?」

「レオはハルバードとロングソードと鎧。レオは実力に武器が追いついていないからな、もっと気の通しやすい良いのを買え。ただし、武器の素材はハルバードは鋼、ロングソードは銀、それ以外は却下だ。リサは体力補助のアクセサリーと鎖帷子。ぶっちゃけ攻撃面はアーリアルの憑依で大体解決できるから防具だけで良いだろう。ルーチェは魔力制御補助のアクセサリーと銀の糸を織り込んだローブ。杖はレベルにあった良いものだから買う必要なし、だが今後魔力量が増えることを見越すと制御を補助するものが必要だろう。ユウナは鎖帷子と小手と脛当て。欲を言えばもう一本小太刀が欲しいがここには無さそうだし、ナイフで代用だな。そしてルネは手甲に指弾の弾、それから鎖入り外套にブーツだな。ああ、それから防具は全員銀製品にしておけ、魔法攻撃を軽減できるからな」

「何で僕は鎖帷子じゃなくて鎖入りの外套なんだい?」


 ルネは自分だけ装備が特殊であることに疑問を抱いて、ジンに質問した。

 癖なのか、ルネはショートカットにしたライトブラウンの髪を指でいじっている。


「ルネの場合、メインの攻撃を素手と指弾にして、場合によって操気弾に切り替える戦い方になる。その場合、鎖帷子を着ていると指弾の弾を取り出しづらいだろ? さらに言えば、外套にしとけば裏地にいろいろと道具を仕込んでおける。だから、盗賊の装備と言えばほぼ外套なのさ。逆にいえば、格好だけで盗賊とばれるから、そこは工夫しないといけないけどな」

「質問なんだけどよ、前衛は俺とユウナちゃんになるんだよな? なのに、何で装備に差があるんだ? ユウナちゃんに重い鎧がつけられないのはわかっけどよ、俺も鎖帷子で行っても良いんじゃねえか?」

「確かにそうですよね……さらに言ってしまえば、全員加護を受けた服であっても問題はなさそうですよね?」


 ジンがルネに答えを返していると、今度はレオが質問をしてきた。

 ユウナも疑問に思ったらしく、ジンに視線を向けている。


「それはだな、加護はあくまで加護であるからだ。確かに、加護を受けた装備は強力だ。加護を受けたものは、布切れであってもそこらにいる魔物の攻撃ならそう通すことはない。では、加護を受けたものを、更に強い加護を受けたもので斬りつけたらどうなるか? 結果は言うまでもない」

「つまり、加護を受けた攻撃から身を守るために物理的にも頑丈でないといけないってことなのですね?」

「そういうことだ。これは武器に対しても同じことが言える。特に、レオの場合全力で気を込めたら恐らく銀だと武器が負ける。だから、メイン武器になるだろうハルバードは鋼製指定なんだ」


 ルーチェの言葉にうなずいて、ジンは説明を続ける。

 そこに、ユウナが質問を重ねた。


「ですが、加護を受けた攻撃ってあるんですか? 魔物が神様の加護を受けるなんて、そんなことありませんよね?」

「そうでもない。オーク位の知能があれば神頼みをするような奴は出てくるし、実際にこちらで言う神術みたいなものを使ってくることもある。向こうの神はこちらからしてみりゃ邪神に当たるんだが、実際には神と言う同じ括りになるから、その力比べになるだろうな。最悪なのは相手が神、または神獣だった場合。この場合加護もへったくれもない。あっさり解除されるか、下手すりゃ籠っていた力を吸収して強力になるかのどちらかになる」

「でもジン。一番怖いのはそんな奴らじゃないだろう?」


 説明中に、ルネが横やりを入れる。

 ジンは軽く笑みを浮かべて説明を続けた。


「そうだな。加護を持った武器で一番多いのは人間の武器なんだからな。当然、その攻撃を受けたとなれば加護は相殺される。だから、重装備にするのは魔物向けじゃなくて人間向けの防御策と言うことになるな」


 ジンのその言葉に、ユウナは顔をしかめた。

 どうやら、人間同士で戦いになることがどうしても嫌なのであろう。


「人間相手、ですか……やっぱり盗賊とか、ですか?」

「それは……俺の場合戦争レベルまで見越している。その理由としては、あ~……ひっじょ~に言いにくいんだが、下手すると俺がその火種になりかねんからだな。正直、俺と一緒に行かないんならこんなに要らんのだがな……」


 ジンは目を宙に泳がせ頬を掻きながらそう答えた。

 額には大量の冷や汗が流れており、相当面倒なことになっていることがうかがえる。


「アンタ一体何をやらかしたのよ……」

「おれはわるくない……わるくないんだぁぁぁぁぁ!」


 リサの一言を聞いて、ジンはそう叫びながら走り去って行った。


「……本当に何をしたのでしょうか? 非常に気になるのです……」

「同感だね……」


 ルーチェとルネは、その背中を見ながらそう呟いた。


 



 しばらくして、ジンが戻ってきてから全員買い物を始めた。

 それぞれの買い物に対して、ジンが横からアドバイスを入れている。


「ジン、指弾ってこれで良いのかい?」


 ルネが量り売りの指弾の前でジンに相談を持ちかけている。

 ジンは値段と質を見て、唸っている。


「む……鋼製か。消耗品にしては少し高いな……ここは重量で相手を押せる鉛にしておこう。それから、対死霊用に銀の指弾も買っておくと良い」

「死霊に対しては銀なのかい?」

「そりゃあねえ。神っていうのは幽霊の滅茶苦茶格の高い存在と考えればいいわけだしな。物理攻撃は効かなくても、そこらの低級の神の加護があれば楽に倒せるし、加護を強く受けられる銀であれば強力な死霊も楽に倒せる。だからまあ、念のための切り札ってところかな」

「つまり、そんなに量はいらないってことだね。了解したよ、ジン」


 ルネが指弾を買うのを見届けると、今度はレオの所へ向かった。

 レオはすでに鋼のハルバードを手にしており、今は銀の剣を選んでいるところだった。


「なあジン、銀の剣ってどれを買えば良いんだ? いつも使っている奴みたいなやつか?」

「ロングソードって言ったが……そうだな、こっちは魔法に対する防御的な役割がメインだから幅に広い剣が良いな。ふむ、ハルバードが使えない狭い所で戦うことを考えてこのあたりにしておこう」

「んあ? そんときゃ俺はトマホークでやるけど?」

「そうかい、だったら鋼と銀のトマホークも買っておけ。投げナイフも銀の奴が二、三本あれば良いだろう」


 ジンはレオにそう言うと他の所を見て回ることにした。

 すると、リサが盾の売り場の前にいるのを見かけたので声をかけることにした。


「リサ、盾売り場で何してんだ?」

「ねえ、防具って盾は買わなくて良いの?」

「あ、そうか。リサはもともとハンマーが使えるから腕力的には盾を持っても問題がないのか。ならばリサには少し大きめの盾を持ってもらおう。両手を使うような武器は持てなくなるが、リサのメインは神術だし、どうせならルーチェの護衛に回ってもらうか」

「了解、それじゃこれなんてどうかしら?」


 リサはそう言うと、身の丈ほどもある巨大な盾を手に取った。

 ジンは額に手を当ててため息をついた。


「お前なぁ……タワーシールドなんて担いで山登る気か? 悪いことは言わんからもう少し軽い盾を選べ」


 ジンはそう言うと鎧と服の売り場にやってきた。

 そこでは、ルーチェが二着のローブを持って悩んでいた。

 一つは、青い生地に銀の鳥の刺繍が入ったローブ。もう一つは、白い生地で作られ、胸元に中央に紅玉をあしらった銀の糸で書かれた魔法陣が描かれたローブだった。


「……むむ、どちらにしようか悩みどころなのです」

「ん、どうした?」

「いえ、銀を織り込んだローブはいくつかあるのですが……この青いローブと白い宝玉つきのどちらにしようか迷っているのです。個人的には白い方が好みなのですが、値段が……」


 よく見れば、青のローブと白のローブでは値段が倍くらい違う。

 しかし、ジンは値段もよく見ずに即決した。


「お、宝玉つきなんてあるのか。だったら迷わずそっちにしな。宝玉の効果が何であれ、役に立つのは間違いないんだからな。うん、デザイン的にも白の方が清楚な感じがしてルーチェには似合うとあだだだだだ!」


 ジンがルーチェのローブを選んでいると、強烈に耳を引っ張られた。

 振りかえると、そこには笑みを浮かべたユウナが立っていた。ただし、周囲の人間が即座に退避するようなオーラを纏って。


「ジン? 内側に着る鎖帷子があるんですけど、そっちで良いですか?」

「ああ、それで良い! いいから耳を放せ、ちぎれる!」


 必死にユウナの手をタップして何とか放してもらうと、ジンは耳を押さえてその場にうずくまった。


「いってぇ……何だよいきなり……そんなに引っ張ることないだろうが……」


 ジンは立ち直るとそう呟きながらユウナを見る。

 ユウナは腰に手を当てて不機嫌な顔でジンを見ていた。


「そんなことは些細なことでしょう? ところでジン、ナイフに関しては私はよくわからないので選んでくれますか?」

「ああ、ユウナなら切れ味重視の方が良いと思って既に何本か見繕ってあるんだ。この中から振ってみて一番しっくりきたのを選んでくれ」


 そう言うと、ジンはユウナにナイフを数本差しだした。

 ユウナはそれを見ると、今度はジト目でジンを見つめた。


「(じと~~~~~っ)」

「……ど、どうした? 多分分からないだろうと思ったから選んだんだが……」

「……はぁ……この場合、喜ぶべきか、悲しむべきか……分かりました、その代わり、どこかおかしいところがないか見ていてくださいね?」

「あ、ああ。それくらいならいつでも付き合うぞ」


 数分後、ユウナがナイフを選び終わるとジンは会計を済ませるべくレジに向かった。


「合計で三十一万二千マルクでございます」

「はいよ」


 ジンはそう言うと金貨三十二枚を差し出し、釣銭を受け取る。

 なお、で金貨一枚、後は十分の一ごとに大銀貨、小銀貨、大銅貨、小銅貨となっている。  


「ずいぶん買ったわね……お金足りるの?」

「心配するな、当面の資金はある。とにかく今は訓練所に行ってそれぞれの装備に慣らそうか」


 ジンがそう言うと、一行は訓練所に向かっていく。

 その間にジンはそれぞれの練習メニューを考えるのだった。



おかいもの終了。

と言うか、もう10話以上投稿してるのにいまだに準備期間とかどういうことなの……

これじゃ終わるころには何話になっていることやら……


ご意見ご感想おまちしてるのですよ~

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