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閑話 バトの想い

本日2話目!!

少々勢いで出来てしまった!!

ちょっとバトの思い出話。

一応、完全に妖精になると、言葉もまともになります。

―――――――――――――――――――――――



‥‥‥あれは、まだ私が卵から孵化したての、物凄く小さい幼虫時代の事だった。



―――――母サン、私ノ名前ッテ由来アルノ?


 むしゃむしゃと、おいしい葉っぱを食べているときに、ふと私はその事を母に尋ねた。


 私が食べる様子を微笑ましく見ていた母は、その答えを返してくれた。


――――――ええ、あるわよ。その由来はね、母さんの、いえ、妖精である私たちが皆憧れる精霊の、その精霊の中でもさらに上の精霊女王様。その彼女の娘の名前をあやかってつけたのよね。


――――――精霊女王様ノ娘?

――――――今はもう、何処にいるのかもわからない方らしいけど、一度だけ私は目にしたことがあるのよ。その時に、私が思い切って挨拶をしたら綺麗に返事をなさってくれて‥‥‥そのうれしさと勢いのあまり、生まれてきた子には名前をあやかって付けようとその時に決意したのよね。


 そうにこやかに、母は答えてくれた。


 まさかの母のノリと勢いと憧れによって、私の名前は付けられたらしい。


 とはいえ、別に悪い名前でもないし、気に入っていたので文句はなかった。



 ついでに、その名前の由来の精霊女王の娘という人について聞こうかと思ったけど、ちょうどそのタイミングで葉っぱの美味しい部分を見つけ、夢中になっているうちに、聞くのを忘れていた。






 その時が、最後の母との記憶である。


 この後しばらくして、母は私の前から姿を消した。


 何処に行ったのかはわからない。


 けれども、母の兄の彼女の親戚の息子の友人の祖父だと名乗る妖精が来て、母の行方を教えてくれた。


 なんでも、よく食べる私のためにおいしい葉っぱを探しにいつもより遠くの森へ飛んで言ったそうなのだ。


 けれどもそこで、滅茶苦茶悪くて残忍で凶悪で、他者を踏みにじって汚く生きていくような人間とやらに出くわし、その妖精が見ていた目の前で、母は翅をもぎ取られ、そしてそのまま連れ去られたそうである。


――――――ジャア、帰ッテコナイノ?

――――――ああ、帰ってこれるはずもない。奴らは非常に危険だからな。過去にあれだけの仕打ちを受けておいて、未だに関係の改善を求めようとする若い者たちの考えもその行為を見れば、たちどころに翻るだろうよ。



 憎々しげに、どこか怒りも感じられるその言葉に、私は人間とは危険なものであると認識した。


 そして、母を失った悲しみもあって、その時から私はあまりしゃべることはなくなっただろう。


 しかも、その妖精はどうやら私を見るとムカつくようで、よく暴行を加えてきたのである。



――――――ああもう、何であんな人間どもが本当に強いんだ!!我々妖精の方がはるかに容姿も知能も力も優れているはずなのに、全く持って不愉快だこの野郎!!


―――――大体、お前を世話する必要はないんだぞ!!だけれども、妖精の中でもあのお方たちが命じるからしぶしぶやっているだけだ!!


―――――こうなったら、羽化したらお前をたっぷり味合わせてもらう!!成長し切れば物凄い妖精となるらしいし、結ばれればこちらも鼻が高いからな!!



 …‥‥いろいろと汚い感情を受け、私はその妖精こそが、人間以上に危険な存在ではないだろうかと思い始めた。


 

 だがしかし、そんな日々はある日終わりを告げた。


 どうやらその妖精、人間に見事に捕まったらしい。


 なんでも、人間を見かけたときについカッとなって攻撃を仕掛けようとしたらしく、でもあまりにもお粗末すぎる動作のために、あっという間に翅を取られ、捕獲されたそうだ。





 その後、その妖精の代わりに仲間たちがやってきて、世話をしてくれたし、他の幼虫仲間も来て、皆で楽しい日々を過ごせた。


 けれども、運命というものは残酷である。




 ある日、ついに繭となった時に、その残酷さに気が付いた。




 皆の声は聞こえる。


 だが、私の声だけが皆に届かないのだ。


―――――シャベッテイルヨ!!


―――――一生懸命伝エテイルヨ!!


―――――ダカラ、ダレカ聞キトッテ!!



 必死になって、私は仲間たちに声を飛ばした。


 でも、誰も私の言う事が分からずに、首を傾げてしまう。


 触角を利用して話そうともしたのだが‥‥‥生憎、そこまで器用じゃなかったので大失敗に終わった。




 そのうち、話しても返事がない繭として皆に見捨てられ、そのまま彼らは去ってしまった。





‥‥‥早く羽化して、何とか皆の元に戻りたい。


 そして、昔のように楽しくおしゃべりをしたいと私は思い、見捨てられてもめげずに生き延びることを決心した。



 その日から、苦労の連続であった‥‥‥‥


 モンスターに食料として食べられかけ、川を下れば危うく溺れかけ、照り付ける日差しによって干からびかけ、たまにどこか綺麗な花畑と川のある場所の向こうからいなくなったはずの母が慌てて来るなと呼びかけつつ、根性で生き延びてきた。


 


 そんなある日、ついうっかりして私はとある馬車の上に乗ってしまい、そのまま人間が多くいる都市とやらに入り込んでしまった。


 慌てて安住の地を求め、人間がいない場所まで来て、ほっとしたとたん、何かが上から落ちてきて、真っ暗になった。



‥‥‥どうやら閉じ込められたらしい。




 疲れていた、仲間もいない、もう誰も頼れるような人もなく、そんな私はこのまま諦めてここで一生を終えようと考えた。



 だが、それでも私は生きたかったようである。


 自然と周囲に助けを求めて叫び、生に執着した。





 そして、その言葉が偶然にも誰かに通じたのか、その閉じ込めていたものがどかされた。


 歓喜のあまり、うぉぉぉぉっと叫びたいところで、ふとその救いの主を私は見た。


「これは…‥?」


 その声を発した救いの主は…‥‥


―――――ヤッター!助ケガキ…‥‥人間!?



 よりによって、危ないといわれる人間であった。


 そのショックが大きすぎて、私は気絶し、気が付けばどこかに連れ去られ、透明な容器の中に入れられていた。


 

 そしてそこで事情を聴き、人間でも悪い者ではないと理解でき、何とか助かって安堵の息を吐いていたけど‥‥‥その場にいた黒い翼を持つ魔族という種族の者が言った言葉で、私は現実を完全に直視してしまった。



 あ、これもう群れに戻れないじゃん、と理解してしまい、絶望した。



 生きている価値が、今の私にはあるのだろうか?


 絶望のあまり、身を私は投げ出したくなった。



―――――‥‥‥ヨシ、コノママ街道ヘ行キ、適当ナ馬車ノ車輪デ、道端ノ小石ノゴトク潰サレヨウ。

「早まるなよ!?」


 と、ここでその人間はそう叫んだ。


 けれども、私は本当に絶望していたのだ。


――――――ダッテ、モウ一生一人ボッチ確定ダモン!!


 永遠に一人で、群れにも戻れず、ずっと孤独で生きていくのであれば、もうここで生を終えてもいいと思えたのだ。


 だけど、次の人間の一言で私は思わず驚いた。


「…‥だったら、一人じゃなきゃ良いんだよな?」

―――――エ?



 何を言っているのだろうか、この人間は?


 こんな、どこの馬の骨とも妖精ともわからないような私を、思いとどまらせて何になるのだろうか?



「せっかく生きようとして叫び、それが俺に届いたのも何かの縁。生き延びようとしたのに、そう簡単に死に逝かれても嫌だし、俺達が仲間になってやればいいよな?」



‥‥‥そうだ、確かに今までワタシは生き延びようとしてきた。


 それを、こんなあっけなく命を落として理に適うか?いや、適わない。


 

「だからこそ、この縁を大事にしたいし、生きてほしい。誰かがお前を狙おうとしても、俺達が何とかしてやるよ!」



―――――…‥‥‥‥。




 その力強い言葉と眼差しに、私は見惚れた。


 そして、他にいた者たちを見渡せば、同じ気持ちだったのか安心させるようなまなざしで見ていた。



 見ず知らず、けれども縁ゆえに、この偶然があったからこそ助けたい。


 そんな思いを私ははっきりと感じ取り、何かこう、胸を撃たれた衝撃を感じた。


 そして、皆が一緒になってくれるというのであれば、もう死なんてことは考えられない。


――――――ウン、生キル。皆ガ見ズ知ラズノ相手ニソウマデ言ウノナラ、皆ニツイテイクヨ!


 

 仲間として、友として、そして見捨てないでいてくれるのであれば、生きよう。


 今まで生き延びてきたのを無駄にせず、本当に彼らの下で生き抜いて見せよう。


 そう私は決意し、改めてその救い主でもある彼を見た。



 鼓動が高まり、興奮し、今までの絶望が反転して希望となる。


 死にいく運命であった私を、絶望の淵でもあった小さな私に手を差し伸べ、救い上げてくれた彼に私は一生感謝とこの身を捧げようとも誓ったのであった。








‥‥‥そして今、この都市で行われていた秋の収穫祭とやらも明日で終わるようで、満月の綺麗な夜である。


 私はもう間もなく羽化を迎え、繭から本当に妖精へと生まれ変わる。


 流石に、今の時間帯は寝ているようだが、明日の朝になれば私の姿を見てこの人は‥‥‥ルースという名前の救い主様、敬愛をこめて主様は驚くだろうか?


 そう思うと、私は思わず笑みを漏らす。


 ここまで幸せな気分を感じたのは、あの仲間たちと、母と過ごしていた時以来であろうか。


 出来ればもう少し体を大きくしたいが、今の私にはまだまだ主様の手のひらサイズが限界。


 でも、あのエルモアという魔族のいう事には、妖精は成長によって人間サイズになることもあるらしいと聞き、希望はある。


 もしなれたら、本当に身を捧げよう。


 私に生きる希望をくれて、そして幸せをくれた方なのだから…‥‥‥。






‥‥‥それにしても、不思議に思う事がある。


 主様は人間。それは間違いない。


 魔導書(グリモワール)とかいう本を持ち、人とは異なる金色のものを所持していても、れっきとした人間のはずである。


 それなのに、なぜ何かこう、言い表しにくいようなというか、何かが違うと思ってしまうのだろうか?


 まぁいいか。そんな些細な事、どうせ主様は気が付いていないし、知ってもたいしたことが無いと思うだけであろう。


 早く朝になって、主様が起きたときにこの姿を見せたいなぁ…‥‥まぁ、なんか主様の周囲にいた人のうち、一人はまだ軽い殺気なのは別にいいとして、もう一人が明らかに何か感じ取ったのか物凄い邪気というべきか、睨むだけでイチコロ(命が)な視線を向けていたのは気のせいだと思いたい。


 いや本当に、気のせいだと思いたい。大事な事だから2回言ったけど、あれ本当に人間なはずなのに、とんでもないほどやばいのですが…‥‥‥


‥‥‥というか、この母の次に出てきた妖精って本当に同じ妖精か?

どう考えても悪人面にしか思えない上に、別種だといいたい。

まぁ、次回からは羽化したバトの姿になりますのでお楽しみに!


にしても、妖精ですら恐怖を感じさせる視線ってどういうのだよ。誰とは言わないけど、独占欲がつy…‥‥(ここで背後から一撃)

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