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33話

作中の季節と、投稿時の季節のずれって難しいところである。

‥‥‥グレイモ王国内、とある洞窟にて密かに集まる者たちがいた。


「‥‥‥そろそろ、また活動を再開すべきか」

「ああ、実験もしたし、各所に既にばらまいてはいる」

「あとは、時期が来たらそれぞれで勝手に動き出し、馬鹿共はそれを利用していると思い込み、こちらで利用できるのだろうな」


 皆それぞれ何色ともいえぬような、不気味な色をした衣で身を包み、その素性は仮面で隠されて素顔は見えない。


 だがしかし、その仮面の隙間から見える目には、それぞれ強い意志や恨みといったものがあり、只者ではない集団という事だけは、はっきりしていた。



「最初は―――――――で、次は―――――――。そこから徐々に間隔を短くしていき、我々の存在を知らしめることが出来るはずだ」

「各国がいかに隠して秘密裏に処分しようとも、もはや止められぬ」


 それぞれがこの日までに準備して、その事を確認しあい、目的の成就のために一致団結する。


「‥‥‥だが、世の中には何事も計画通りいくわけではないのは、20年前に壊滅にあった時に皆経験しているはずだ」

「その為にも、常に臨機応変に対応せねばならないことを心掛け、何があろうとも我々の崇高なる目的のために、死力を搾りつくしてもやらねばならぬ」



 その中で、彼らは自分たちの計画は完璧そうに見えるが、予測不可能な事態も考慮しあうように釘を刺した。


 何事も「絶対」という言葉が当てはまることが無いときがあるように、彼らが長年かけて作り上げた計画も、絶対に成功するとは言えないのだ。


 

‥‥‥そして、既にその予測していなかった情報も彼らは密かに入手していた。


「‥‥‥予測外の事とすれば、魔導書(グリモワール)の色が7色から、追加で1色、金色の物が顕現したという事であろう」

「しかも、その実力は未だに底が見えぬ上に、将来的に計画の大きな壁ともなりうるであろう」


 どのような小さな情報でも、隠された情報でも彼らは探し当て、その内容を知り、そして自分たちにどのような影響が出るのか計算し、判断する。



「‥‥‥我々の、かつて作り上げた試作品を扱ったものが、既に一名捕縛し、存在を早い段階で知られてしまった」

「そこから予定になかったこの日まで、密かに身を潜めて情報を集め、実行する時まで黙るしかなかったが…‥‥何事も臨機応変、塞翁が馬という言葉のように、既に対応はできている」




 そして、彼らはすでにその対処方法を幾通りも考え出し、試してくことに決めた。


「さぁ、この場で誓おうか」

「我々が所属する組織、フェイカーの頂点に立つ御方に向けて、心より誓おう」


「「「「「この時より、組織は再び目覚め、活動を開始し、そして最終目的へ進もうと」」」」」


 全員の声がそろい、誓いを互いに立て、その心を団結させる。



 団結後、彼らは一人、また一人とその場を去り、そこは何もなかったかのような静けさを取り戻した。



 だが、どうやら世界は静けさを失い始めたのであった‥‥‥‥













「はっくしょん!!」

「あら?ルース君大きなくしゃみね」


 ちょうどその頃、ようやく学園内の冷房システムとでもいうべきマジックアイテムの修理が終わり、学園内で涼しさが戻ってきたところで、食堂でルースはくしゃみをした。


 別に冷房が効き過ぎて寒いというわけでもなく、単純にくしゃみが出ただけなのだ。


「誰か噂でもしているのかな?」


 ことわざに確か「一そしり 二笑い 三惚れ 四風邪」とかあるので、一回だったから批判か?でも「一にほめられ二に憎まれ三に惚れられ四に風邪をひく」とかもあるし、その解釈はどうなのかややこしいところである。


「良い噂ならばいいけど…‥‥ルース君にとって悪い噂であれば、全力で潰すわね」


 にこりとそう微笑みながらエルゼがそう言ったが、ぞっとするような感覚にルースは顔をひきつらせたのであった。


‥‥‥悪い噂をした人なら逃げて、超逃げて。いっそ死んだほうがましだというレベルのことをされるかもしれん。





「えっと、それにしても最近夏に近くなってきたし、そろそろ夏休みにも入りそうだよな」


 とりあえず話題を変えるために、ルースはその話を選んだ。


「夏休み‥‥‥そういえば、そんなものがあったわね」



 グリモワール学園は、魔導書(グリモワール)の扱い方などを学ぶ場所ではあるのだが、通常の教育機関と同様のところもあり、きちんと夏休みもある。



 まだ時間はあるが、もうじき夏休みに入りそうなのだ。


 期間は1カ月半ほどと、長くも短くも感じ取れる時間があり、一応遠方からきている人たちが帰郷しても大丈夫なように配慮されているようである。


 とはいっても、夏休みの宿題が山ほどあるようなので休めるのかという点に関しては大きな疑問が残る。


 どれだけ大量だよ…‥‥というか、持って帰れるほどなのかと言いたいレベルだ。



「移動している間に出来ればいいけど、村までの馬車とかは絶対満員になるだろうし、中々移動時間の間にやれる時間を確保できないんだよなぁ」

「しかも、持って帰って来る事も考えると、かなりの負担なのに‥‥‥そこを何故学院側は考えないのでしょうね?」



 この学園の夏休みの宿題の分量は学園長が決めているそうだが・・・・・・・あのバルション学園長の事だから、宿題に困る生徒の顔を見て笑いたいに違いない。


「帰郷せずに学園に残ってやることもできるけど、それだと生活が特に変わらないなぁ」

「誰しも一度は家に帰りたいのよねぇ」

「うんうん、その気持ちは俺っちも分かるよ」


 と、いつの間にかスアーンが会話に混じってきていた。


「大体、村までの馬車が満員になるのがいけないんだ!!」

「そうよね、分かっていることを繰り返して言うのは無駄よね下僕一号」


 結構辛辣な言葉をエルゼが良い、スアーンががっくりと肩を落とした。


「移動時間とか、そういうのを短縮できれば…‥‥待てよ?」


 ここでふと、ルースは思いついた。


 馬車に乗らなくとも、高速で移動しそうな手段ならば、すでに手に入れているではないか。


「そうだ、タキに乗って帰郷すればいいじゃん」



 彼女は元々はるか東方の地に住んでおり、現在はエルモア先生と一緒にこの都市内にある一軒家に引っ越したようだが、移動時間を考えるとかなり短い期間で来ているのだ。


 つまり、移動速度が速く、大きな九尾の狐の姿になってもらい、その背に乗って移動すれば相当早く村につくのではないだろうかと思いついたのである。


「あの女狐ね‥‥‥そうね、こういう時ばかりは馬車馬のごとくこき使ってやったほうが良いわね」


 さりげなく毒舌が混じっているような気がするが、エルゼも同意するようだ。


「ああ、お前が何か召喚魔法の授業で出したとか噂で聞く奴か?それに乗れば早く村につくのか!」


 スアーンがそう言い、見るからに乗せてほしいといっているけど…‥‥タキって何人乗りだっけ?




 とにもかくにも、夏休みに村に帰郷する際に、タキを利用することをルースは決めたのであった。


‥‥‥2人乗りだったら、某ガキ大将の腰ぎんちゃく自慢坊ちゃまのような言い方ができるかな?


「悪いなスアーン、タキは二人乗りなんだ」みたいにさ。



 ちょっとそう思いつつ、ルースは後でタキを召喚して話を聞いてみようとも考えたのであった。



もう少しで夏休みのはずだけど、もうちょっと学園内に滞在かな。

タキの背に乗って野山をかけて…‥‥あ、なんか気持ちよさそう。

モフモフした背中に乗っての帰郷って、何処かうらやましく思えるのであった。

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