297話
‥‥‥一か月経過しそうですが、ようやく投稿できた。
お待たせして、申し訳ございません。
‥‥‥晴れ渡る空は雲一つなく、盛大に花吹雪が飛びかう。
辺り一面には美しい香りが漂いつつ、鳴り響く鐘の音と共に人々は祝いの言葉を届け、本日ようやく卒業となった者たちはその言葉を受けて、ようやく実感するのだ。
そう、本日はグリモワール学園の卒業式当日であり、卒業生たちは学園長から一人一人卒業証書を受け取り、自身が無事に卒業できたことを心の底から感激するのである。
「ああ、最初のあれが一番ひどかったが‥‥‥」
「ようやく、ようやく乗り越えたんだ‥‥‥」
涙ぐみながらも、彼らはその想いを心から出す。
覚えているだろうか、入学当初の大変であった学園長との戦闘を。
覚えているだろうか、都市を襲った様々な事件を。
この学園で過ごした日々は、誰もが濃い思い出を持ち、ようやくその第一歩を踏み出せる日。
そして、一人前の魔導書所持者として、『生徒』という立場から旅立ち、個人でしっかりと管理をして、制御し、使いこなしていかなければならない時でもある。
各々がしっかりと倫理や規則、その他諸々耳にタコができるほどの内容を学びつつ、それでもやはり不安になりもするだろう。
けれども、卒業式後には、とある一段の方は次の過程へ移らなければならないので、その感慨深さや不安なんぞにかまって居られないのである。
「って、午後から爵位の授与とかふざけるなぁぁぁぁぁ!!スケジュールが滅茶苦茶濃いじゃん!!」
「大丈夫よルース君!下僕が今、超特急で馬車の調達をしているもの!」
「元々は留学してきたけれども、いつの間にか編入し、卒業式を友に挙げられたことは良いのだが…‥アレ、大丈夫か?」
「大丈夫!!」
ぐっと指を立て、そう断言するエルゼに、レリアは不安そうな目をするが‥‥‥まぁ、下僕もといスアーンの全力を知る友としての立場としては、大丈夫だとは思う。
というか、エルゼはまだスアーンを下僕扱いか…‥‥うん、多分一生変わらんな、この関係。
―――――朗報。速度十分、間ニ合ウヨ!
「ああ、分かっているよバト」
すっと自然に横に降りたち、妖精部隊から聞いた情報を報告してくれるが、大体予想できていることなので、そう報告する必要性もあるまい。
そう思っていると、向こう側から必死になって馬車を連れてきたスアーンの姿が目に入って来た。
【のぅ、召喚主殿。そもそも妾たちに乗れば馬車の意味ないんじゃないかのぅ?】
「‥‥‥あ」
大きな狐の姿ではなく、人型の姿を取りながらそう問いかけてきたタキの言葉に、俺はそのことに気が付いた。
言われてみればそうだった。最近、タキに乗って出かける機会が多くなっていたとはいえ、うっかりその方法を忘れていた。
すまんスアーン‥‥‥お前が遅れたとしても、多分大丈夫だったろうし、無駄骨だったかもしれん。
ともに心の中でそう手を合わせながら謝罪しつつも、必死になって運んできた馬車に乗車し、王城の方へ向かう。
卒業式後の、国王からの爵位の授与。
いよいよ学生という身分から離れ、俺は公爵の位を授かってしまうのだ。
正直、そこまで高い位とかはいるわけでもなかったが‥‥‥まぁ、王族からの娘が下りてきたり、国にとっての色々な都合があるのも分かっているし、そこはもうあきらめるべきであろう。
「何にしても、卒業式自体も割とあっさりだったなぁ…‥‥この爵位授与のことを学園長は考えていたのだろうか」
「そう考えてないとは思うわよ」
「あの学園長の事だし、むしろギリギリにして良そうな気がする」
馬車内でそう話し合いつつ、緊張を少しづつほぐしていく。
やっぱり爵位を得るとなると、その分の責任を持つからなぁ…‥‥領地経営とか、大変そうなのが目に見えている。
それに、更にこの後には…‥‥
「ところでルース君、結婚式会場の準備は良いのかしら?」
「ああ、それ気になっていたよな。どうなっているんだ?」
「準備は万全だな」
宙に浮かぶ、空に浮かぶ島。
そこはもう改装も完了しており、地上との行き来する手段としての様々な装置もセットし終え、後は式を挙げるだけになっている。
とはいえ、やはりまだちょっと時間がかかるので、後一月ほどは必要だったりするが‥‥‥うん、待つのも悪くはないだろう。
この卒業の時も待っていたし、そもそも一番最初のころ…‥‥初めて魔導書を手に入れるための試験を受ける時にも、その試験の時を待っていたのだから。
今さら待つのがきついとか、そういうのはない。
楽しみに待っている分、それだけやった時の楽しさをもう十分学んでいるのだから。
「ついでに、母上が結婚式会場へ突撃して、最後の戦い的なものを企んでいるという話も聞いたけどな」
「ルーレア皇妃のそれは、本気でシャレにならないんだけど」
‥‥‥訂正。まずはその企みを潰さないと、絶対に色々大変な気がする。
何にしても、本日は快晴であり、午後からも雨が降ることないだろう。
王城の方で行われる爵位の授与も特に問題なく進めるだろう。
しいて言うのであれば、その後に予定している結婚式での、全員のウェディングドレスのサイズが合っているかどうかということぐらいか…‥‥まだまだ休める時は無いようである。
でも、良いのだ。どれだけ大変であろうとも、ようやく手に入れた平穏な日々。
色々あったとはいえ、ようやく爵位も貰え、もう間もなく結婚し、領地の経営にも乗り出すという大変な仕事があるとは言え、それでもあのフェイカーとかそう言う類との日々もないだろうし、何事もなければ無事に過ごせる日々があるのみだ。
そう思うと、自然と笑みが漏れ、緊張が緩和する。
今はまず、爵位の授与のための式の方に集中するべきかな。
そう考え、ルースはさっと魔導書を取り出し、万が一に備えての防禦用複合魔法を自分にかけておく。
途中でルーレア皇妃や未だに認め切っていないブラコン王子たちからの強襲がある可能性を考えると、全然油断できないからだ。
それでもまぁ、酷い目に合わないと思いたい。
全力で撃退し、しっかりとするのが一番重要だ。
思いを新たに心へ刻み、王城がそろそろ見えてくる。
さぁ、この時を乗り切って、また別の時も乗り切って、先へ進もう!!
明るい未来のために、ルースは襲撃に備えつつ、心の中でそう口にするのであった…‥‥
‥‥‥卒業式も無事に済み、後は残すのは爵位の授与と、結婚式。
領地経営のための最終確認や、帝国の皇女などを入れるので国との交渉もあったりする。
ていの良い交渉役のように扱われている気がしなくもないが…‥‥頑張るしかないだろう。
だってもう、最終回近いんだよと爆弾を投下し、次回に続く!!
‥‥‥300話行きたかった。けれども、ギリギリになるか、達成するか‥‥‥どっちだろうか。




