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293話


 200人のルーレア皇妃の軍勢というべき者たちをどうにか討伐し終え、ルースは勝利を収めた。


 すぐにタキに乗って報告に向かい、帝国の王城内でそう告げると、周囲が歓喜に沸いた。


「やったぁぁぁぁっ!!悪夢のような時間が、終わったぞぉぉぉぉ!!」

「死よりも恐ろしい光景が、消え去ったぁぁぁぁぁぁあ!」

「いよっしゃぁぁぁあ!!生き残れたぞぉぉぉぉ!!」

「無事に未曽有の災害を乗り切れたのは良かったぞぉぉぉぉ!!」


‥‥‥歓喜する人たちの大半が、この国の兵士なのはどうなのだろうか。


 まぁ、普段からルーレア皇妃の相手をさせられる立場上、大勢の皇妃の群れは悪夢にも災害にも近しいのであろう。


「いや、普通に悪夢か…‥‥」




 何にしても、この知らせはすぐに国中を駆け巡り、ボロボロだった帝国内に歓喜の声が響き渡る。



【なんというか、今ならあの皇妃殿を国滅ぼしに入れられそうな勢いじゃよな‥‥‥】

「人の母を入れて欲しくはないが‥‥‥否定できない」


 タキの言葉に、レリアがそうつぶやく。


 うん、確かに200人の皇妃って国を滅ぼせるよね。地震、雷、火事、津波、モンスターなどの災害を抑えてトップにできそうだよ。


 むしろ災害を越えた災厄‥‥‥いや、それ以上か。自分にその語彙力がないのだが、それ以上の表現をしても足りないかもしれない。


‥‥‥むしろ、単純な方法で倒せたその運の良さに、ルースは今さらながら安堵の息を吐くのであった。











「‥‥‥これより、未曽有の大災害とでもいうべきことが、無事に終結したことに関して、祝いの宴を開く!!」

「「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」」


 時間が過ぎ、夕暮頃。


 帝国の王城内で、皇帝のその言葉に、人々は歓喜の声を上げた。


 報告を受けつつも、やはりきちんと確認したい人たちもおり、現場検証が行われた。


 一人も逃していないか、まだ生き残ってないか、あの災害は本当に終結したのか。


 報告を受けただけでは疑り深い者たちも当然おり、その者たちによって行われた検証もようやく終わり、完全に皇妃200人の消滅が確認されたのである。


 そして今、その出来事に対して、今日までの命の大事さを改めて実感させられたことも兼ねて、祝いの宴が開かれたのであった。



 貴族、平民関係なく、宴の場はボロボロとは言え国中に広がる。


「とはいっても、直ぐに復興できるかもな」

「ノリと勢いだけを見れば、できそうですわね」


 ルースたちもまだ帰国せず、宴の場にいた。


 本当は、さっさと帰りたかったが‥‥‥流石に、今回の立役者としてやってしまった分、そうすんなりと帰れないようである。


【まぁ、我としてはあれは二度と御免じゃがな‥‥‥】

「ああ、ごめんタキ」


 ずぞぞっと用意されていた酒を飲みながらつぶやくタキの言葉に、ルースは苦笑しながら謝った。



「ついでにレリア、皇妃の具合は?」

「それが…‥‥」


 ルースの問いかけに対し、レリアが何やら困った顔になった。


「母上、あの重症ぶりから数カ月は‥‥‥と思っていたんだけど‥」

「だけど?」

「もう完治した」

「「「「「は?」」」」」


 そのレリアの言葉に、全員が驚愕した。







‥‥‥ルーレア皇妃の重症ぶりは、あの複製品たちによるもの。


 その攻撃を受けると、どうも一時的に医療用の回復魔法などが効果が失われるようで、自然治癒に頼るしかない。


 だがしかし、その複製品たちがルースの手によって倒されると、その制約は消え失せたらしい。


「いや、そんな話、聞いてないんだけど‥‥‥」

「母上いわく、勘でわかったらしい。で、その瞬間に素早く医師たちや、回復魔法が使える白色の魔導書(グリモワール)持ちたちのところへ向かい、速攻で治療して…‥‥」


 あとは言わなくても分かるだろう。


 元々、結構化け物じみていたあの皇妃が、ただの回復魔法でどのぐらい治るのか。


 怪奇巨大包帯玉となるぐらいの重傷であっても…‥‥例えとしては微妙かもしれないが、「病は気から」というように、治せると確実に思うような‥‥‥そんなものを与えられればどうなるか。


 




 宴の場は、確かに皆笑い、色々と騒がしい。


 だがしかし、その時に聞こえたくない音が聞こえてしまうというか、何と言うか…‥‥その場にいた全員の耳は、それを拾ってしまった。


 たった今まで、喜んでいた兵士たちの声の中に、絶望が混ざり始めたことを。


 絶叫、断末魔、悲鳴…‥‥色々なものが入り混じった音が、宴の中へ混ざっていたことを。



「…‥‥皆、今のうちに逃げない?」


 ルースの言葉に、全員素早くうなずき、早急にその場から離れる用意を行う。


 まだ宴を楽しみたかったが、楽しみまくった後での絶望は悲惨過ぎる。


 ならば、一刻も早く逃亡し、さっさと帰路に就けば…‥‥と思っていたが、時すでに遅かった。




 聞こえていた悲鳴は、既に終わっていた。


 帰路に就く道も、確実に分かるものがあった。


…‥‥そして、タキやヴィーラの全力疾走よりも、彼女の走りの方が速かった。



 ルースたちは予感しつつも、この時は逃れることができると思っていた。


 だが、それはすぐに不可能であることを見せつけられることになった…‥‥





 後日、とある少女は語る。


 確かに病気やけがが治れば、嬉しいものがあるだろう。


 だがしかし、それを人に分け与えるのは、非常にやめて欲しい事であると。


 …‥‥唯一幸運であったとすれば、この件でルースに対して、帝国内での評判・認知度が帝国内で高まり、彼が爵位についたときに色々利用できたことであろう。


 その評判の中には、負担の分散ができると喜ぶ兵士たちが多かったそうな…‥‥


只では帰らせてくれない。

いや、それ以上に悲惨な目に遭ってしまったというか、いかないほうが良かったというべきか。

何にしても、災害は去り、別の災厄を喰らったが‥‥‥収まったから良しとしよう。

次回に続く!!


‥‥‥後日、国滅ぼしの組合の場にて、タキが事細やかに説明し、興味を持った者たちが痛い目にあいまくったのはまた別のお話。

本人曰く、【他の者も道連れじゃ】と‥‥‥

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