291話
‥‥‥後が怖くて、つい受けてしまった200人のルーレア皇妃の討伐。
いや、正確には一人当たりオリジナルの半分しかないので、実質的には100人分の相手だろう。
だがしかし、それでも侮れないのがルーレア皇妃でもある。
弱体化した大勢の人数であれば、それを補うだけの連携力などもあり、どの様に攻撃すべきか的確に判断してくるようだ。
ゆえに、オリジナルの皇妃が戦闘した結果、その連携力に敗れてしまい、あのような包帯玉になったのである。
「で、そのオリジナルよりもちょっと弱い俺だと、確実に殺されそうなんだよなぁ…‥‥」
【ならば、逃げればよかった気もするがのぅ。というか、こっちも逃げたいのじゃ】
「こういう時位は、こっちも連携したほうがいいしね」
思わず弱音を吐きそうになるが、ここで放置すれば結局更なる厄介事を生み出すのは間違いないだろう。
何しろ、相手は皇妃の複製のようなものとはいえ、その心は皇妃のある程度の制御を心得ているものではなく、人を攻撃する攻撃性に染まっているらしいのだから。
帝国内がボロボロな様子からも、どれだけ危険なのかが良く分かるかもしれない。
‥‥‥そういう訳で、今回ルースは200人のルーレア皇妃と挑むために、準備を行う。
まず、討伐に関しての仲間だが、今回はタキと共に行くことにして、エルゼ達には帝国の王城を守る方についてもらった。
全員でかかればどうにかできそうだという意見もありそうだが、現状皇妃との戦闘だと、言っては悪いが全員実力不足。
いや、ルルリアとアルミアの二人に関しては魔導書を持たずともあの皇妃の弟子のような物らしいので、実力は十分だし、レリアも同じ感じだが‥‥‥
【じゃけど、召喚主殿にとっては大事な相手を出したくないのじゃろう?守りたいというか、何と言うか‥‥‥】
「‥‥‥まぁ、それもあるかな」
うん、言わないでもいい。俺だって一応、大事な人たちは前に出したくないという心はあるのだ。
【それなら我も引き下がっていいかのぅ?】
「いや、ごめん。それは無理。流石に俺一人だと危ないし、こういう時ぐらいは国滅ぼしレベルの者の手を借りたいからね」
【正直言って、皇妃の方が国滅ぼしよりもよっぽど破壊と混沌をまき散らしそうなのじゃがなぁ‥‥‥】
国滅ぼしのモンスターに、そんなことを言わせる皇妃が怖ろしいなぁ…‥‥
ついでにヴィーラも同様なので連れてきたかったが、こちらもちょっと防衛の方に回ってもらう。
彼女の場合は、攻撃よりも守りに徹したほうが向いているし、いざという時の脱出経路を掘ってもらうからね。逃げるなら地下から逃げたほうがいいだろう。
そうこうしているうちに、タキに乗って移動していると向こう側にその目的地が見えてきた。
火の手が上がり、もくもくと黒い煙も立ち昇り、あちこちに既に避難してもらった兵士たちの鎧などの残骸が転がっている。
そして、その先には…‥‥真っ黒な、人型のような物が大勢存在していた。
「‥‥‥オリジナルを黒く塗りつぶしたようなものと聞いたけど、それでも恐怖感は同等だな」
むしろ表情とかが見えない分、不気味さを増しているだろう。
「『魔導書顕現』…‥‥」
黄金に輝く魔導書を顕現させ、タキから降りて戦闘準備に素早くかかる。
彼女も大きな狐の姿ではいい的になる可能性を考えたのか、人型の方になり、こちらも尻尾の毛を逆立て、戦闘準備に入る。
【ジャゲェェェェェ!!】
【ギョオウジャァァァァァア!!】
【ブッヅブズゥゥゥゥゥゥバァァァァ!!】
「うわっ、口が無いように見えるのに、なんか叫んで来たな」
【モンスターよりもモンスターしておらぬか、アレ?】
相手側は叫び始め、ぞろぞろと集まり、その数を増やしていく。
素早く数えるだけでも、やはり200体ほど。どれもこれも隙の無い構えを見せ、戦闘態勢に移る。
「さぁって…‥‥それじゃ、地獄の一丁目まで案内されそうな勢いだけど、なんとかやってみるか!!」
正直言って、すごく逃げたいが、ここでどうにかしないと不味そうな相手達。
もう間もなく卒業や結婚などが迫る中でのこの騒動は勘弁してほしいが、乗り切ろうとルースは思い、全力で交戦を開始するのであった…‥‥
改めて対峙してみると、やはり恐怖しかない皇妃の群れ。
国滅ぼし以上に国滅ぼしそうで、モンスター以上にモンスターと化している強敵は、できれば会いたくなかった。
何にしても、今は必死になって戦うのみ!!
次回に続く!!
…‥‥最近、ふと思う。この皇妃がもしフェイカー側だったら完全にやばかっただろうなぁ。




