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黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー   作者: 志位斗 茂家波
夏も過ぎ去り、最後の学園生活で章
327/339

288話

正直、今回の話は無駄な一話のような気もしなくは無いな‥‥‥

「‥‥‥残り、30秒」

「これはたぶん、無理ですかね?」

「まー、これも決まりだーからね」


 グリモワール学園、校門前。


 ルース、エルゼ、バルション学園長はそこで彼を待っていた。


 攫われ、行方不明となっている友人スアーン。彼の留年決定まで、残り30秒を切っているのだ。


 もし、このまま時間切れになれば彼は留年決定となり、ルースたちと卒業ができない。



 できれば同じ村出身同士、同じ時に入学したのであれば、卒業も同じになってほしいが‥‥


「あ!見えてきた!」




 向こうを見れば、全速力で駆け抜けてくるスアーンの姿。


 行方不明中に何があったのかはわからないが、どうにか帰還してきたようで、その様子からは必死さがうかがえる。



「残り15秒!」


 もう残りわずかながらも、必死に駆け抜けるスアーン。


 魔法を発動させる暇もないのか魔導書(グリモワール)を顕現させず、自身の力を振り絞っていく。




「残り10秒!」

 

 火事場の馬鹿力とでもいうべきか、その速度は通常よりも速い。


 そう、下僕としてエルゼに呼ばれた時以上であり、大量の汗と涙が後方へ流れ、地面を濡らしていく。


 

「残り5秒!!」


 この時点での距離は、およそ100メートル。


 ルースたちぐらいの年頃の平均で言えば、間に合わない。



「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 だぁん!!っと地面を蹴り上げ、跳躍してくるスアーン。


 地面を駆け抜けるよりも、後は蹴って飛び込んだほうが早いかもしれないという賭けに出たのであろう。


 宙を舞い、体を真っ直ぐにし、頭から突っ込む体勢。



 だが、それでも間に合わないはずであったが…‥‥奇跡というものは、こういう時にこそ起きる。



びゅっごおおおおぉぉううっと一陣の強い風が吹き、スアーンの体を押した。


 宙を舞う彼の体はその風を身に受けて加速し、一気に校門前へ迫っていく。



「残り3秒!!」

「2秒!」

「1秒!!」

「ぜ、」

「うおらぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!」


 0と言い切る前に、校門を根性で抜けたスアーン。


 

 そして、飛んでいったスアーンはそのまま止まり切ることなく校門を抜けていき、さらに、今の間にあった奇跡の代償というべきか、偶々そこにはマロも待機しており、そのぽよよんとしたモフモフボディが膨らみ、クッションの役目をして受け止めたように見せたが、反発力が強かったのか弾き飛ばされる。



 そのまま華麗に放物線を描き…‥‥頭から地面に、彼は突き刺さるのであった。



「‥‥‥バルション学園長、スアーンはこれで留年無しということで?」

「ええ、大丈夫。きちんと卒業決定でーきるね」


 ぐっと指を立て、保証する学園長。残りわずか0.00‥‥‥いや、バルション学園長の方を見れば、これで十分間に合っているという表情をしているし、問題はないらしい。



 何にしても、今は、ようやく帰還し、卒業決定で来た友人へ祝福を送るべきであろうか‥‥‥


「いや、その前に抜くべきか?」

「うーん、大丈夫じゃないかしら?ほら、ぴくぴくと動いているし、意識はあるはずよ」


‥‥‥本当だ、まだ辛うじて息があるようだ。


 ひとまずは、ここまで疾走してきた故の反動か、疲労による汗などが尋常でないほどあふれ出ているし‥‥‥収まるまで、待つとしよう。



 スアーンの留年期限、ギリギリで、どうにか彼は間に合った。


 ただその事だけで良いじゃないかとルースは思いつつ、突き刺さりながらもどぶどぶと出る汗の川からそっと身を離れさせるのであった…‥‥


 


辛うじて間に合った友の帰還。

これでようやく、全員そろって卒業できるであろう。

まぁ、その前に色々な問題もあるが‥‥‥次回に続く!!


‥‥‥スアーン、無事帰還完了。ようやくというべきか、何と言うべきか‥‥‥


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