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黄金の魔導書使い  -でも、騒動は来ないで欲しいー   作者: 志位斗 茂家波
夏も過ぎ去り、最後の学園生活で章
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閑話 異界のスアーン苦労記録 その4

スアーンの留年期限が迫る中、こちらはこちらで大変そうだなぁ…‥‥

「ぎゃああああああああああああああああああ!!」


 スアーンは叫んでいた。


 今まで様々なことに巻き込まれつつ、友人のルースよりはましな方だと思っていたが、今回ばかりはシャレにならない。


 


……今回の任務、それは西方の砂漠の小国にて行われる奴隷市場にて、犯罪奴隷の購入。


 とりあえず軽い奴隷とかではなく、真性のド屑を持ち帰る事であった。



 目的地は砂漠の小国『グラント』であり、オアシスをもとにして結構快適らしく、ある程度の資金も用意してもらい、ただ買い物をしてくるだけの楽な任務かと思っていたのだが…‥‥




【ピギャァァァァァス!!】

「いつまで来るんだこのくそでけぇ鳥はぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 平均体重6トン、全長10メートルの砂漠の怪鳥『ロックバード』。


 あらかじめこの任務地に向かう前に、神殿にて巫女たちから念のためにという事で、ここに出るであろう最悪なものリストをもらっておいたのだが、この鳥はまさにそのリストに入っているモンスター。


 見た目は友人のルースがおそらく飛びつきたくなるであろう黒い毛玉だが、この鳥肉食。


 いや、それどころかきちんと調理するという知能を持ち、生きながらにして人間を火あぶりにするなど、猟奇的なものであった。


 しかもたちが悪いことに、土魔法とは相性が最悪らしく、岩の塊や土の棘など考えられる限りの攻撃をしたところで全部吸収されてしまうのだ。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!捕まってたまるかぁぁぁぁぁ!!」


 幸いというか、化け物じみたでかさとは言え速度はそれほどでもない。


 しかし、砂漠だけあって足元が安定せず、土魔法で移動しなければまともに進めず、どちらも一進一退の速度であった。


 どうにかして逃げまくり、ようやく避難場所になりそうな洞窟を見つけ、望みをかけてそこに逃げ込もうとする。


「とりあえずあそこに入れば俺ーっちの勝ちだぁぁぁぁぁ!!」


 ドンっと残った余力全部を推進力に使い、飛びこもうとした…‥‥その瞬間であった。


【ウゴボォォォォォォォォォオオォオオン!!】

「ぁぁぁ、へ?」


 飛びこもうとした洞窟から音が聞こえると同時に、目がばっちりと開いた。


 洞窟のふちに歯のようなものがにょっきりと生え、トカゲのような手足がニュルンと出てくる。



……砂漠に住まう最悪なモンスター、その2。


 洞窟に擬態して旅人を喰らうモンスター『ホラトカゲ』。


 それが今、まさにスアーンが飛びこもうとしていた洞窟の正体であり、この軌道ではそれようがない。


 前門の虎後門の狼ならぬ、前門の巨大トカゲ後門の怪鳥。



 どっちに進んでも捕食される未来しか見えず、お先真っ暗である。


「ひぎゃぁぁぁぁぁぁっぁあ!!どうしろとぉぉぉぉぉぉ!!」


 華麗なダイブで洞窟もといトカゲの口に入り込もうとしているし、なんとか方向転換したところで怪鳥に喰われる。


 どうしようもなさすぎる絶望に、スアーンが泣き叫んだ‥‥‥‥その瞬間であった。



「【伏せろ!!】」

「はい!?」


 当然聞こえてきた言葉に、とっさに従うスアーン。


 このダイビング体勢でどう伏せるべきかは分からないが、とりあえず体をまっすぐ伸ばし、頭を守る形で手で押さえる。


 そしてそれと同時に、何かが通り抜けるような、風を切った音がした。



ズッバァァァァァァン!!

【ピギャァァァァ!?】

【ウゴボォォォォォ!?】


 斬れる音と同時に聞こえる断末魔。


 くるっと体を受け身の体勢にするために翻しつつ、状況をスアーン把握する。



 宙を舞うのは、怪鳥とトカゲの頭。


 そして、その斬った攻撃らしい方向には二人の影があったが‥‥‥


ドスゥン!!

「ぐえっふぅ!?」


 タイミングが悪かったのか受け身に失敗し、そのままゴロゴロとスアーンは転がってしまうのであった。









「‥‥‥本当に助かった。ありがとうございます」


 何とか起き上り、助けてくれた人たちへお礼を述べるスアーン。


「いや、別に良いぞ」

【こちらとしても、たまたま出くわしただけやったからな】


 見れば、片方は銀髪赤目の青年、もう片方は鎧を着こなした女性。


 どちらも美男美女というか、顔面偏差値の高さにちょっと舌打ちもしたくなる。




 ひとまずは助けてくれたことへのお礼もしつつ、一応ぶっ飛んだ怪鳥とトカゲの体を集め、自己紹介をしておく。


「えっと、助けられた俺-っちはスアーン。今はある任務で、砂漠のオアシスにある小国の奴隷市場へ向かっていたんだ」

「ほぅ、この辺の砂漠の小国と言えばグラントあたりか?」

「ああ、そうだが?」

「俺もその小国にちょっと用事があるのだが…‥‥おっと、俺の名前はゼリアスだ」


 銀髪の青年がスアーンの言葉に興味を持ちつつ、そう自己紹介をする。


 と、鎧の女性の方もその目的地を聞き、ぱちくりと驚いたような表情を見せた。


【へぇ?うちは有給休暇で遊びに向かおうとしているんやけど…‥‥おっと、うちの名はララ。こう見えてもモンスターのデュラハンやけど、騎士道を磨いているもんや】

「デュラハン?」

【いわゆる首がこう、ほれ】

「…‥‥みっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


……怪鳥とかのような恐ろしいものではなく、きちんと人と接し、過ごすような相手なのは良い。


 だがしかし、いきなり頭が取れてほいっと渡すような真似はしてほしくないと、スアーンは思うのであった。






 なにはともあれ、事情を聴くとどうも彼らも偶然スアーンの目的地である砂漠の小国グラントへ向かっていたらしい。


 ゼリアスの方は、小国の奴隷市場にて、知り合いがうっかり売りに出され、買い戻して自由にして欲しいという願いで来ている事。


 ララと名乗る女騎士デュラハンの方は、とある騎士王国に努めているそうなのだが、今回は有給休暇でオアシスで過ごそうと考えてきたそうだ。


 で、互にどうも過去に知り合っていたそうで、道中で遭遇し、共に向かう事にしつつ、その中でスアーンが絶体絶命になっているの見て、とりあえず助けようとしたらしい。


「まぁ、目の前で人が喰われるというのは嫌だからな‥‥‥」

【うちとしてはアンデッド仲間が欲しかったりするんやけど、消化された廃棄物はちょっと嫌だとおもったんやで】

「なんかさらっと貴女のほうが怖いんですが…‥‥」


 青年の方は良いとして、この女騎士怖い。


 まともな女性に巡り合えたためしがないようで、思わずスアーンは盛大な溜息を吐くのであった。







 ひとまずは、互に同じ目的地を目指しているという事で、共に向かうことにした。


 幸いというか、無我夢中で逃げたせいで予定よりも早く着く位置に来ていたらしく、わりと楽そうな道のり。


 そう思いつつ、野営をしていたのだが‥‥‥‥




「ひーはぁぁぁぁぁ!!奪え奪ええぇぇぇぇぇ!!」

「ほいーっす!!身ぐるみよこせぇぇぇぇ!!おいてけぇぇぇぇぇ!!」

「ふばぁぁぁぁぁ!!食料や水をよこせええぇぇぇぇぇ!!」



「今度は盗賊かよぉぉぉぉ!!」

「いやぁ、流石砂漠。何があるのかわからないな。っと、危ない危ない」


 野営をして早々に、盗賊の襲撃があった。


 必死に土魔法で応戦していると、ゼリアスが笑いながらも盗賊を投げ飛ばしつつ、魔法でふっ飛ばす。


【物騒な場所やなぁ。うち、休暇場所まちがえたかいな?おっと、お前はそこぶったぎるで】


 ララの方は、背負っていた大剣を振り回し、一刀両断にしていく。


 しかも運が良ければ生きている相手でも、大事なところが切り飛ばされるのを見て、思わずひっとそこをスアーンは押さえてしまう。


……楽な任務かと思いきや、道中でのこの騒動。


 ああ、甘い話しには裏があるとは、まさにこの事かとスアーンは思うのであった。


 そしてそれと同時に、元の世界でのスアーンの留年期限が近づいていたのだが…‥‥それを知るのは、もうちょっと後の事であった。



ああ、楽な旅路ではなかったのかと嘆きつつも、このメンバーであれば行きはどうにかなりそうだ。

あとは小国に着き、用事を済ませて帰ればいいが……いや、帰りをどうしようか?

というか入国時にも色々とやられそうな気もするが…‥‥どうにかなるだろう。

次回に続く!!


……ゼリアス&ララ、両方とも作者の別作品のゲストでございます。

ララの方はメイドの方に出ているとある騎士。ゼリアスの方は‥‥‥あ、そういえばなろうじゃ投稿していないやつだこれ、アルファポリス様にて掲載している作品の主人公の一人です。こっちの方にも掲載したいけど…‥‥どうしようかな?

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