280話
やや短め。
不定期投稿だけどちょっと開いたな‥‥‥
……たまには自分が面倒事を押しつける立場になってみたかった。
いつもいつも、面倒事は何故か向こうからやって来て、それらを解決させられることがあるのだし、立場を変えたい時だってある。
そう思い、ルースは浮遊島をグレイモ王国へ押しつけたはずであったが‥‥‥‥
「‥‥‥なーんで、しっかりと押しつけ返されたのかなぁ」
【これも運命じゃよなぁ】
浮遊島にあったファフニールの城。
その城の一番高い屋根の上にて、空を見ながらつぶやいたルースの言葉に、同情するような声をタキは駆けたのであった。
国預かりにしてしまえば、それで面倒事は押し付けられるはずだった。
だがしかし、今回のこの発見の功績や、今までの事を含めた褒賞として、国から貸し出され、いや、正確には所有権を無理やり授与させられてしまったのである。
―――――ドウモ思惑ガアッタヨ。
空を見上げてた削がれているルースの横に、ふわりとバトが着陸し、寄り添った。
彼女の配下の妖精部隊の力を借りて、今回のこの与えられた経緯を調査してみたのだが、国の思惑があったらしい。
国にとってもこの浮遊島は厄介な物であり、管理しようと思ってもなかなかし辛いのが現状。
であれば、この島の発見者であるルースへ直接押し付け、王家からの直接の褒賞とすることで断りづらくさせて、管理を丸ごと投げ出してきたようなのだ。
「やっぱり、世の中そううまいこと行かないか」
【そうじゃなぁ】
―――――ソウダヨネ。
はぁ、っと溜息を吐くルースに対して、ポンッとタキとバトはその肩を叩き、慰めるのであった。
何にしても、浮遊島がルースの所有物になったことを嘆いても仕方がない。
元々、エルゼ達との結婚式会場を、いっその事空に作ってしまおうという企みがあったので、この島を丸ごと使えるのであれば、その造る工程を省けるのだから良いことなのであろう。
ついでに島内のファフニールの死骸の所有権もまとめて押しつけられてしまったが、それはそれで色々と利用できそうなのであれば問題はないはずである。
「と言っても、考えてみたらこの城はちょっと大きすぎるんだよなぁ…‥‥」
押しつけられたことを受け入れ、前向きに検討し、ひとまずは改築しようとルースたちは動き始めた。
【ぬぅ、元々はあの巨体のやつの所有物じゃったからのぅ。人間サイズなどは考えていなかったようじゃな】
【ピッギャス!】
タキの冷静な分析中に、マロがコロコロと広い室内を走り回ってその広さを実感している。
ヴィーラは地下室の方の調査を頼んでいるのでここにはいないが、とにもかくにもまずはこの島内の再調査と再開発の計画を立てなければいけないだろう。
「エルゼ達にもきちんと説明しないとなぁ…‥‥あ」
そこでふと、ルースはあることに気が付いた。
【ん?どうしたんじゃ、召喚主殿】
「‥‥‥タキ。考えてみたらさ、エルゼにはまだこの件は話していなんだよね」
【それがどうかしたかのぅ?】
「休日いっぱいを使って、直ぐにここが手に入ったのは良いんだけど、ずっとほぼタキと一緒に行動しているじゃん」
【うむ】
「…‥‥レリアやルルリア、アルミアとかはいいけど、エルゼから色々言われそうな気がする」
【ぬ?‥‥‥あー‥‥うん、そうじゃな。なんかすごい嫌な汗が出て来たのじゃが】
……ルースの周囲の女の子の中で、エルゼは一番独占欲が強い傾向にある。
そんな中で、この島内の調査などに費やした時間はタキたちが大きく、知らせた早さではアルミアたちの方が早く、エルゼ達の方へ伝えるのはどうしても後になる。
「で、その情報の中で、ずっとここの調査とかでタキたちと一緒にいたという事を、彼女がどう解釈するのかと考えたら…‥‥」
【もうよい、言わなくても分かってしまったのじゃ!!】
…‥‥マロはころころ転がる鳥だし、ヴィーラは人型に慣れるとはいえ、特にエルゼと仲が悪いわけでもない。
だがしかし、タキに関して言えばどうも微妙にそりが合わないところがあるようで、一応関係的にはまだ良好な方だが、ルースがそこに関わった場合は、それこそあっという間にその対立関係が表面化する。
「女狐とかそう言う言葉ならまだしもなぁ…‥‥ここに一緒にいる時点で、デートをずっとしていたとかそういう解釈に取られたら、どうなるかな」
【考えたくもないのじゃぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!】
ルースの言葉に対して、思わず鳥肌を立たせ、青ざめ、タキは大きく叫ぶのであった。
……そして翌日、学園にて伝えた後、その予想通りの結果が待ち受けていた。
まぁ、結婚式場として浮遊島を使うつもりだといったら、結婚を真面目に考えていてくれていたということで、機嫌を治して笑顔になったのは良いだろう。
だがしかし、最初からその話をすればよかったと、豹変具合を見てルースは心の中でそう思った。
けれども、時すでに遅かったようで…‥‥‥ヴィーラは免れたようであったが、その凄惨な現状を見て、誰もが思わず心の中でタキに合掌するのであった…‥‥
……心なしか、既に尻に敷かれているような気がしなくもないルースであった。
……どのような惨状になったのかは、タキの尊厳なども考えて記されない。
ただ一つ言える事とすれば、ちょっとエルゼとの関係を早まったかもしれないという事であろう。
だがしかし、これでも悪い者でもないから何とも言えないが…‥‥
次回に続く!!
……公爵家、この娘を他へ政略的な意味で嫁に出していたら、おそらくこの世からすでに去っていた可能性あり。
ゆえに、ルースがきちんと意志を見せてきたことで、当主が思わずガッツポーズをとっていたのは言うまでもない。
……その辺の閑話もいつかやってみたいところである。




