27話
――――――――ホウ、再ビ話セルトハナ、我ガ主ヨ。
「…‥‥相変わらず、偉そうで正体不明な奴だな」
暗い空間の中、金色に輝く黄金の魔導書を相手に、ルースはそうつぶやいた。
本日の授業で聞いた、魔導書での魔法の行使に、どのような力が関わっているのか気になったルースは、その日の晩、寝る前に試したのである。
あの叡智の儀式のときに、気絶した際に見た夢の中で、己の魔導書が話していた内容を。
再びこうやって対峙し、話し合える状況の作り方を。
話したいと強く願い、思いながら寝ることによって、どうやら成功したようである。
こうして対峙するのは久しぶりだが、やはり魔導書が話している光景というのは、どこか不思議なものでもあった。
明晰夢というべき感覚もあり、夢の中なのははっきりとしているのだが、どうしても違和感しかない。
―――――――違和感シカ無イノハ当タリ前ダロウ。普通、魔導書ガ話スト思ウカ?
「いや、それお前が言う事か?」
夢の中ゆえか、どうやらルースの心を黄金の魔導書は読んだようである。
しかし、その当の本人…‥‥いや、人じゃないけど魔導書がいう事なのだろうか。
―――――――マ、ソノ話ハイイダロウ。主ガ何ヲ考エ、ソシテ尋ネタイノカ分カッテイル。
既に、ルースが何を目的で話す場を作ったのか魔導書は理解しているようだ。
「なら話が早い。俺は単に、人が魔導書で魔法を行使する際に、何を使っているのかちょっと気になっただけで、それなら魔導書に直接聞くのが早いと思ったんだよ。
――――――ソレデ好奇心故二、ヤッタワケカ。
「そう言う事だ」
――――――・・・・確カニ、魔導書デアル我二尋ネルノハ賢イ。デモ、ソレッテズルクナイカ?
…‥‥確かにずるいかもしれない。
自分で調べるより早く、答えを知っていそうなものに尋ねるのは近道でもあり、ズルでもあるだろう。
というか、魔導書に指摘されるってどうなのだろうか。
そうルースは思いつつ、魔導書の回答を待った。
――――――ソウダナ、今ノ主ニハ半分…‥‥イヤ、以下シカ話セナイ。
(ん?)
その言葉に、ルースは疑問に思った。
あの黄金の魔導書の主はルースである‥‥‥はずだが、どうも魔導書自身が何かに縛られているようにも感じたのである。
主よりもっと「上」の、別の存在に言わないようにされているかのように。
「一部でもいい。話したくない事があるなら、それでもいいんだよ」
――――――マ、話セル分ダケナラ、良イ。
とはいえ、ごく一部を話してくれるようなので、今はその疑問を頭の片隅にルースは置いておくのであった。
――――――ソモソモ、我等魔導書ハ…‥‥フム、授業トヤラデスデニ習ッタヨウダガ、マズ、ソノ認識、魔法行使ノタメノ「力」‥‥‥「魔力」ト呼バレルモノノ増幅及ビ補給二関ワッテイルノハ間違イナイナ。
「なるほど、魔力と呼ばれるものの…‥‥ん?」
ふと、そこでルースは気が付き、そして魔導書も気が付いたようだ。
「…‥‥」
――――――‥‥‥テヘッ☆
「いや『テヘッ☆』じゃないだろ!?思いっきり簡単に言ったじゃん!!」
思わず、ルースはそうツッコミを入れるのであった‥‥‥
ちょっと長くなりそうなので分割しました。
魔導書の硬いイメージが、思いっきり緩くなってしまったような気もしなくはない。




