閑話 スアーン夏休み旅道中 その3
多分、忘れさられやすい人である。
‥‥‥ルースたちがいる世界とは異なる世界、メギドニア。
そこに入り込んでしまったスアーンは、親切な魔族に助けてもらい、何やら地図を渡された。
この記してある場所へ向かえば、どうにかなるらしいのだが…‥‥
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「って、どうしようかこれ…‥‥」
現在、スアーンは軽く諦めていた。
【グゲェェェェ!!】
「放せーーー!!」
そう、大きな鳥の足に捕らえられ、大空に連れ去られていたのである。
とは言え、この世界の空はおかしいのか、風の寒さはなく、逆に暑さが襲い掛かる。
下で業火がぼうぼうと燃えており、その熱波が来ているのであろう。
幸いというべきか、どうやらこのままの飛行ルートで行けば、地図にあった目的の場所には辿りつけそうである。
しかし、その前にこの鳥……いや、足が30本、頭が6つ、羽が7つの化け物鳥の餌になりそうであった。
この鳥を見ると、あのルースの飼っているコカトリスのマロがどれだけ可愛らしかったのか、良くわかる。
「土魔法も効かないし、どうしろと‥‥‥‥」
茶色の魔導書があるので、色々と魔法を使って反撃してみたが、効果がない。
むしろ、吸収されているようで、どうやら相性が最悪であった。
攫われ中でも、どうにかしようともがくが全然意味をなさない。
こうなればもうどうにでもなれぇ、と覚悟を決めていた、その時である。
【グゲェ?…‥‥グヤヤギャァァァァ!!】
「ん?」
突然、化け物鳥が大声を上げ、何かを威嚇し始めた。
何があるのかスアーンは疑問に思い、その方向を見てみれば‥‥‥
【ゲギャッゴォォォォォ!!】
【ギャゲェェェェ!!】
「‥‥‥なんじゃありゃぁ!?」
外見はコカトリスに似てはいるが、その大きさは数十倍ほど。
もはや一つの山とも言えるサイズの、巨大な怪鳥が目の前にいたのである。
【ギャッゴゲェェェッゴォォォォォォォォ!!】
【ギャゲェェェェェェゴゲェェェェェェ!!】
互に爆音の雄たけびを上げ、もはや騒音を取り越したレベルのひどさ。
「ぎゃぁぁぁ!?」
あまりの煩さに耳をふさぐが、至近距離過ぎて意味がない。
しかも、爆音波なだけに、その衝撃波も一つ鳴くごとに襲い掛かり、強烈な騒音の暴風雨である。
【ゴゲェェェェェッ!!】
【ギャゲェェェェ!!】
「だ、誰か助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
スアーンの叫びは、2羽の争いの声によってかき消され、誰にも届かないのであった‥‥‥‥
・・・・・それから数時間後、ようやくスアーンは解放されていた。
否、怪鳥同士が争い始め、邪魔と判断されたのか放り投げられたのである。
高所から投げられ、何とか魔法を使ってギリギリのところで助かったのだが、身動きが取れなかった。
「うぐぅ…‥‥め、めりこんだ」
衝撃を和らげるために、物凄く柔らかい土を魔法で生み出し、なんとかその上に落ちる事によって怪我を防止しようとしたのだが、計算外というか、柔らかすぎた土ゆえに衝撃はなくなったが、その代わりに一気にめり込んでしまったのである。
しかも、かなりの勢いでめり込んだせいで隙間もなくびっちりとつまり、しかも柔らかかったのは最初の方だけで、この世界の気温の高さゆえか水分が蒸発し、あっという間にカチコチに固まっていたのであった。
「うぉぉぉぉおぉお!何とか、抜け出してやるんだぁぁぁぁ!!」
必死になって手足を微細に動かし、少しづつ削って動けるようにしていく。
スアーンが抜けださせたのは、それから数十分後の事であったが…‥‥考えてみれば、もう一度魔法を使ってやれば早かったのではないかと、無駄な体力を使ったことに後悔したのであった。
果たして、夏休みの終わる時までに、彼は帰還できるのだろうか‥‥‥‥
‥‥‥色々な受難があるだろうが、それでも帰還を彼は夢見る。
その夢は叶うのか、そしてなぜこの世界に落ちたのか。
まぁ、色々あるだろうけれども、まだまだ受難は続く……
次回に続く!!
‥‥‥クトルゥフモデルにしたほうが、化け物って書きやすいのかな?ちょっと検討してみようかな?




