閑話 スアーン夏休み旅道中 その2
ちょこっとだけスアーンの話
‥‥‥ああ、存在を忘れかけてもいたけれどね。
…‥‥コトコトと煮込む音が聞こえ、スアーンは目を覚ました。
「っ……こ、ここは‥‥‥」
痛む体を見れば、丁寧に治療されたのか包帯で撒かれており、何処かのソファの上に寝かされていたようである。
そして、音がしていた方を見てみると、キッチンのようで何かが調理をしていた。
「おや?目を覚ましたかね?」
くるっと振り返られたが‥‥‥その人物の姿を見て、スアーンは驚愕した。
いや、後ろ姿だけを見れば、まだ人間のようには見えていた。
だがしかし、その正面の姿を見てみれば、どう考えても人ではない容姿だったのだ。
口は耳まで大きく裂けており、目は4つほど。
額には角が生えており、もはや何なのかは分からない。
とりあえず、スアーンにできたのは再び気絶することであった…‥‥
「‥‥‥先ほどは、驚愕しすぎて気絶してしまい、すいませんでした」
「いやいや、別に良いぞ。たまにある事だからな、もう慣れたんだよ」
数分後、再び意識を戻し、根性で話してみたところ、どうやら悪人ではなさそうであり、見て気絶したことをスアーンは謝った。
どうやら、スアーンを助けてくれた相手は、魔族らしい。
なんでも、あまりにも哀れだったので親切心から助けようと思ったのだとか。
「わっしの名はハルホン。このメギドニアに住んでいる者だ」
「メギドニア?」
その聴いたことがない地名に、スアーンは首を傾げ、尋ねてみた。
「‥‥‥え?つまり、ここは元々俺っちがいた世界ではないと?」
「そういう事になるな。まぁ、いわば穴に運悪く落ちたというべきか…‥‥」
ハルホンいわく、この化け物がひしめくこの地は、スアーンがいた世界とは異なる世界らしい。
とはいってもまったく別という訳ではなく、どこかでつながった世界であり、精々こちらは炎が燃え盛り、地獄絵図になっているだけだとか。
「いや、それ全然違うよな!?」
「何を言うか?一応、ここだって文明レベルは同じだし、慣れればたいしたことはないのだ」
そして、何故スアーンがこの地にいるのか…‥‥どうやら、ハルホンには一つ思い当たる事があるらしい。
このメギドニアは、いわば裏の世界。
もともとある世界の裏側で有り、どこかでつながっているがゆえに、たまに通じる穴ができるそうなのだ。
それも、落とし穴とかそう言った類ではなく、次元そのものを接続するものであり、気が付けば入っているのだとか。
「まぁ、なんにしてもだ。お前さん…‥‥スアーンと名乗ったか?旅をしていたところで、たぶんここへ迷い込む穴に入り、気が付いたらあの場所にいたのだろう」
「えっと、元の世界に変える方法は…‥‥」
「ああ、安心しろ。それならば普通にある」
その言葉を聞き、スアーンはほっとしたが、続けて出されたその言葉に驚愕した。
「精々、20~30年ほどすればまた開くからなぁ。そのタイミングであれば、こちらの世界では可視化され、わかるだろうし、大丈夫だろう」
「いや、それ結構遅いじゃん!?」
驚愕のあまり、ツッコミを入れたのであった。
まさかの年月の長さにスアーンは頭を抱える。
20~30年程度ならば待てないこともないが、その頃にはスアーンはどう考えても中年である。
若々しい青春時代を棒に振りたくはないが、今すぐに帰還する方法は分からない。
「ふむ、魔族のわっしからすればたった30年ほどだが、そう言えば人間はそれ以下の寿命だったか」
「ああ、そうなんだよ…‥‥」
「だったら、今すぐにでもというのであれば、ここから西の方へ向かえばいい」
頭を抱えるスアーンに、ハルホンはあるモノを渡してきた。
それはどうやらこの辺りの地図で有り、西の方にある一点にバツ印があった。
「こ、これは?」
「まぁ、それはお前さんの目で確かめるが良い。わっしはただ、地図を渡しただけ。あの化物に再びやられる可能性があるが、それでもあきらめないというのであれば…‥‥止めはせん」
ハルホンの言葉に、スアーンは考える。
そして決断した。
「ええ、俺っちはこの地へ向かいましょう。化け物が出ようが、それでも俺っちは元の世界にもどるのだ!!」
「ほうぅ…‥‥なるほど、意志はそれなりに固いようだな」
ちょっと驚いたような声をハルホンはだす。
そして翌日、まだ傷は癒えていないが、スアーンはハルホンへ別れを告げ、その地図の場所へ向かって歩みだす。
今ここに、スアーンの夏休み終了までの珍道中が始まったのであった…‥‥
「‥‥‥って、あれ?そう言えば、なんでハルホンさんは詳しかったんだ?…‥‥まぁ、良いか」
夜景にこのメギドニアというところも知り、出るための穴が開く時間を予想していた様子が、何処か不自然なようにスアーンは思えた。
だが、気にしないでおくのであった‥‥‥‥
とりあえず、親切な魔族に助けられ、元の世界へ帰るために動きだすスアーン。
だがしかし、彼はこの先どうなるかはまだ分からない。
そして、ハルホンについても、まだ分からないが…‥‥気にしなくてもいいだろう。
そんなわけで、次回に続く!
‥‥‥気が向いたら再びスアーンサイド、彼の珍道中は、女っ気に0に統べしか、ルースとは真逆の状態にしてやるべしか‥‥‥‥少なくとも、あまり面白くなさそうな気がする。
どうしよう、描いたはいいけれども駄作な予感。




