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255話

ちょっと今回は微妙回?

……湖、鉱山と来て、次にルースたちが向かったのは、領内にある村であった。



「『スタンダール村』っと‥‥‥元はカニバーン男爵家が治めていた村か」


 村についての詳しい情報を思い出しつつ、ルースはそうつぶやいた。


「なんか甲殻類っぽい名前なの」

「それは俺も思った」


 どう考えても蟹がバァンって破裂したような名前だよな…‥‥。



 なお、実はこの領地は少々事情がおかしいことになっていたらしい。


 ルースが貰う領地のいくつかは、いろいろやらかしてしまった貴族から没収された者が多いのだが…‥‥実はこのカニバーン男爵だけはまともな部類だったそうである。


 孤児院を設立し、子どもたちが路頭に迷う事のないように自ら世話をし、叡智の儀式で魔導書(グリモワール)を得られた子には我が子のように喜び、得られなくとも別の道をすぐに指し示すなど、とにかく子供に対して真摯な人だったらしいのだ。


 さらに、村で病人が出ないように衛生面を管理し、怪我人が出ればすぐに治療できる医者も常勤させ・・・・・



「とにかく、珍しくまともと言うか、善人すぎる人だったようだな」

―――――デモ、実ハソノ裏ノ顔ハヤバイ人ダッタラシイヨ。

「妖精部隊で裏付けしたのか」

―――――ウン。



 バトの配下による妖精部隊の調査以外にも、一応事前資料があるのだが‥‥‥その善人のようなカニバーン男爵、悪人ならばまだマシかもしれないような裏の顔があったらしい。



 孤児院の設立や、衛生の徹底などはまだよかったのだが‥‥‥‥この人の裏の顔は、収集家(コレクター)だったらしい。


 いや、それが普通に宝石とか花と言った類であればまだいい方だ。


 だがしかし、このカニバーン男爵はちょっと変わり過ぎた収集癖があったそうなのだ。



「衛生面や孤児院の設立はいいけれどさ、その目的が『抜け毛採取』ってなんだろう…‥」



 そう、カニバーン男爵は極度の抜け毛収集性癖があったそうだ。


 子供の抜け落ちる毛とか、ごみ掃除の際にちょっと見る毛とか、とにかく「抜け毛」と言う部分にこだわって集めていたらしい。


 

 しかも、その抜け毛を個人ごとに分けて集め、しっかりと分類し、そのうち抜け毛の持ち主の紙迄再現したカツラをそれらから再現するなど、謎のこだわりが見られたのである。


「それも度が過ぎて、いつしか自身の生活費の大半を費やしたのかよ‥‥‥」

「それでも孤児院への支援などはきちんと行っている辺りすごいわね」


 抜け毛収集に金を費やしているうちに、どんどんお金が足りなくなったらしい。


 だが、今更孤児院への援助打ち切りなどもできるはずがなく、そんな事をすれば毛を得られる機会もなくなってしまうと考えた男爵は、借金をこっそり積み重ねたそうだ。


 それも、領地からの税収から払わずに、なんと自力で稼いだお金でなんとかやりくりしたそうなのだ。



「‥‥‥拘りさえなければ、物凄く良い人だったんじゃ?」

「むしろ何故そこまで執着するのか、そこが疑問だな‥‥‥」



 一応、最初の頃はまだ何とかなっていたそうだが、次第に借金を借金で返すようになり、自転車操業状態になって、首が回らなくなったそうだ。


 それでもなお、領地の発展のためと自身の収集癖のために孤児院経営は続けていたそうだ。



……そしてある日、彼はある組織と関わりを持った。


 その組織に借金を肩代わりしてもらう代償に、実験の手伝いをしたそうだ。



 あれだけ拘っていた孤児院経営の中で、食事に薬を盛ったり、怪我人を治療する際に、まだ未知の薬物を試したり……完全人の道を踏み外したらしい。








「…‥‥そして、この村はある日を境に廃村になったという訳か」


 馬車が停車し、その光景を見てルースはそうつぶやいた。


 元は綺麗に整えられ、人々の声が聞こえたであろう村。


 けれども今は、あちこちがボロボロになって、人の住んでいる気配すらない状態である。


「・・・・・フェイカ―の手がこんなところに及んでいたとはなぁ」


 そう、男爵に話を持ち掛けたのは、もう滅びたフェイカーだったそうだ。


 そして、その密かに行われた実験の結果、薬を投与された者たちがある日暴走し、村は瞬く間に全滅したそうだ。


 その暴走した者たちは組織によって行方不明になったようだが‥‥‥大方、実験材料にされてしまったのだろう。



「と言うか、こんな廃村を領地にやるとかどうなんだろうか」

「再生不可能ってわーけでもなさそうだし、勝手にいろいろ試してみーてもいいってことなのかしらね?」


 バルション学園長の言葉に、その通りなのかもしれない、とルースは思った。


 

「でもこれ、たぶん兄様方がちょっと手を回しているわね」

「王子推薦って書いてあるの」


…‥‥そしてついでに、アルミアとルルリアの言葉を聞き、ルースはあの王子3人組を後で何かしらの目に合わせようかと思うのであった。


 廃村を再生しろってことなのだろうけれども、大半があのシスコン共の嫌がらせのように思える…‥‥後でバトに頼んで、シスコン共に妖精部隊を回していろいろやってもらおう。


 そんなことを考えながらも、ルースたちは廃村となった村の状態も確かめるために、ちょっと歩き回るのであった。

廃村のようだけど、再生する方法はあるようだ。

一応、まだ受け継いでいるわけではないが、今のうちにちょっと直せそうである。

とは言え、どうも残っているようなものがあるようで…‥

次回に続く!


・・・・・にしても、人ってどこで道を間違えるのかわからない。カニバーン男爵も、その変な収集癖を拗らせなければまだいい人だったんだろうなぁ。

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