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236話

…‥‥ちょっと短め、珍しくシリアスになりそう

‥‥‥‥フェイカーが潜んでいるらしい、山中に密かに作られていた地下空間。


 妖精たちの協力の元、その入り口を発見し、ルースたちは内部に入り込んだ。


「‥‥‥のはいいけれどさ、なんだこれは…‥‥」



 内部を見れば、人工的な通路があり、先へ進めることは進める。


 だが、その奥にあった部屋の仲へ入り込み、そこにあったものを見て、ルースはそうつぶやいた。







ごぼぅ…‥‥ごぽぽぅ……

ぶくぅ……ぽこぽこぽこ……


 いくつもの大きな試験管のような…‥‥いや、水族館などにあるような円形の水槽のような物が幾つも部屋の仲に鎮座しており、その内部には不気味な色合いをした生物……いや、もはやその原型が何のか、わからないような怪物と言うべきものたちが眠っていた。


時々気泡を吐き、呼吸をしているような様子が目に見える。





「実験の試作品…‥‥怪物たちのサンプルのようなものか」

【さすがにこれはきもいのぅ】


 潜入するために、目立たないようにというわけで人型になったタキが、その様子を見てそうつぶやく。


 同意と言えば同意だが‥‥‥問題は、この怪物たちだ。


 


 ここで何かしらやらかして、全部目覚めてしまったらそれこそかなり面倒なことになるだろう。


 それぞれがどの様な能力を持っているのかは不明だし、いちいち相手をすると苦戦が強いられるのが目に見えている。



「…‥‥となれば、動かないようにするのが手か」


 黄金の魔導書(グリモワール)を顕現させ、ルースはある手を取った。



 

「縛るための木と、冷凍保存ってあるから氷と、ついでに闇も混ぜての3属性複合魔法…‥‥‥『アブソリュートダークネス』」




 魔法の発動と同時に、それぞれの水槽の内部が一気に凍り付く。


 その周囲に生えてきた木の根が巻き付いて拘束し、さらにその陰から出てきた闇が飲み込み、まるで一つの黒い繭のように、それぞれの水槽のような者は飲み込まれていった。



「…‥‥これで、ちょっやそっとじゃ目覚めないはず」

【なんというか、かなりエグイ拘束の魔法に近いのぅ‥‥‥‥】



 何にせよ、ここで怪物が全部解放されるという事態は避けられたのであった。










 奥へ進むと、他にも同様の部屋が幾つも確認され、二度と怪物が産まれ、目覚め、動かないようにルースたちは処理していく。


 凍らせ、闇の中に飲み込ませ、タキが光線で焼き払い、消し飛んでいく。


‥‥‥‥少々威力の加減を間違えて、タキが山を貫通させたのは計算外であったが。




 何にせよ、奥へ奥へと進むと、最終的に大きな扉の前に、ルースたちはたどり着いた。


 感じ取れる気配は、これまでの部屋とも異なり、何処か異質な雰囲気を漂わせる。




 慎重に、軽快しながらルースたちがその扉を開けると、底は大きなホールのようになっていた。


 いや、奥の方を見れば階段のような物が出来ており‥‥‥その上には、玉座のような椅子があった。


 そして、その前に誰かが立っていた。



 フェイカーのシンボルともいえる良く分からない色の衣服を着用し、顔はどくろのような仮面をつけているせいで良く分からない。



 だがしかし、その雰囲気から察すると‥‥‥‥


「お前が、フェイカーのトップ、影の王と呼ばれているやつか?」

「…‥‥いかにも」


 ルースの問いかけに、その人物は…‥‥影の王は答えた。



「正式な名はもう捨てた。人は我が名を影の王と言い、フェイカーを統べる者として認識しているだろう」


…‥‥すいません、幹部たちから聞くまで、認識がありませんでした。


 組織というからには、そのリーダー的存在がいる可能性をルースは考えていたが、実は半信半疑な状態であった。


 ただ、場の空気的に言うような事はしなかった。




「…‥‥それじゃ、影の王とやら。俺達がここまで来た時点で、何をしようとしているのかわかっているだろう?組織の殲滅は願うが、無駄な犠牲は望まない。おとなしく、その身柄を拘束し」

「否!!それはできないだろう!!」


 ルースの言葉に、突然影の王は叫んだ。


「我は影の王!!このフェイカーをすべ、かつて我が組織の構成員たちを実験材料にしたおぞましき王国に鉄槌を下すべく、現れた存在!!ゆえに降伏もせず、最後まで徹底抗戦あるのみだ!!そしてここまできた物よ!!犠牲はすでに出ているのだ!!」

「…‥‥はぁ?」

「ここに来るまでに、我は見ていた、聞いていた。ここまで来るまでの間に、怪物たちを排除したようだが…‥‥‥あれらがすべて、元は人間、もしくは魔族であるのだ!!」



 そう言いきり、影の王は大袈裟に手を上に挙げた・


「そう、そこまで言わばもうわかるだろう。元々フェイカーは魔導書(グリモワール)を必要としないものを検討しており、出された結論の中に『怪物になる』というものがある!!」


 その言葉に、ルースはある事を思い出した。


 以前、レリアがまだ来たばかりのころ、フェイカーのものらしい者たちが謎の薬を飲んで、怪物と化した時の事を。



……あの時以降、怪物はフェイカー製の作完成品となったものばかりが襲撃してきた。


 あの大きな怪物になるような薬の路線から外れたのかと思ったが…‥‥どうやらその手の研究について、まだ諦めていなかったようだ。




 そう考えているうちに、影の王は懐から何かを取り出した。


「これぞ、自我を保ったまま怪物となる薬。だが、これだけでは勝てないことが分かるので……」



 そう言うが早いや、何かボタンを影の王が押すと、彼の足元に何かが浮き上がる。




「…‥‥っ!?」


 その浮き上がって来たものは、物理的にきちんと宙を浮いていた。


 ただ、その上がって来たものと言うのは‥‥‥‥‥ルースの持つ魔導書(グリモワール)に似た物だったのだ。



「これぞ、我がフェイカーのすべてを詰め込んだ、その黄金の魔導書(グリモワール)の模造品…‥‥いや、組織の技術を詰めた、正規の製品!!」


「これを手に持ち、この薬を飲んで取り込めば、貴様らには負けぬわぁぁぁ!!」


 ルースたちが止めようとしたが、影の王は言い切ると同時に、その薬を一気に飲み干した。



 そして、飲み干し終わると同時に、影の王は…‥‥なにやら巨大化し始めた。


 予め、このホールのような場所にいる辺り、既に想定していた可能性があるかもしれない。



「さぁ…‥‥我が貴様らを襲ってやろう!!」


 巨大化し、足が枝別れした影の王‥‥‥‥いや、もはや知性のある怪物となった相手は、そう叫んだ。



 ルースたちは戦闘態勢をとり、勝負を挑み始めるのであった‥‥‥‥



自らを最後の兵器とするのか、怪物と化していく影の王。

いや、それはもう影の王と言っていいのだろうか?

何が影の王をそこまで突き動かし、最後まで抵抗させるのか。

次回に続く!!


…‥‥さてさて、ようやくボス戦ですか。

お決まりのテンプレを入れていくべきか、それとももっとヤラカシテみるか?

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