232話
珍しく真面目な戦闘回
……主人公空気ですが
ギインッツ!!と金属がぶつかり合い、火花が散る。
破壊力だけで言えば、ミュルが持つ金棒の方が明らかに上。
だが、まともにぶつかり合わずに、紙一重で何とか受け流すサーベルによって、その破壊力は半減させられる。
ミュルとフェイカ―幹部のエルフルニアとの戦闘は、何度も互いにぶつかりあい、決定打を取れずにいた。
「ちぃっ!こざかしいアル!!」
「まともに正面から挑むのは流石に勝ち目がないからね。受け流させてもらう分、なんとかやれるな」
ミュルが腹立たし気にそう声を漏らすと、エルフルニアは集中して汗をかいているのかその額を拭いながら戦闘を行う。
「だが、力押しのそちらとは違い、こちらの方が戦闘技術は上だ!!」
そう言うと、エルフルニアはミュルへ向けてサーベルを振り下ろした。
その振り下ろされたサーベルをミュルはかわし、隙を突いて殴ろうとしたが‥‥‥
「っ!!」
直感で素早く離れると、数秒前にいた場所に斬撃が放たれた。
「‥‥‥十字で斬っていたアルか」
「ちっ、かなり高速でやったのに避けるのか」
冷や汗を垂らしたミュルだが、素早く交わして事なきを得た。
悔しいことかもしれないが、戦闘技術はどうやらエルフルニアの方が上らしい。
……けれども、ミュルとて負けているわけではない。
「戦闘技術を誇るようでアルが…‥‥技術はあれど、経験ならこちらが上でアル」
ニヤリと笑みを浮かべ、ミュルは金棒を回し始める。
「力づくで叩き始める気か?」
「いや、違うアル。きちんと考えて‥‥‥‥より圧倒的な力で潰すのでアル」
「変わらないような…‥‥」
ツッコミが入ったような気もするが、ミュルは気にせずにエルフルニアへ狙いを定める。
「経験と言うのは、ただ単に技術を積み重ねて得るものだけではないアル。より濃厚な実践を行うことで積み重ねることもでき‥‥‥‥判断も素早くし、そして誘導もできるアル」
「誘導だと?…‥‥まさか!!」
ミュルのその言葉に、いぶかしげだったエルフルニアは気が付いた。
先ほどから互にぶつかり合い、叩き、斬りつけ合っているものばかりだと思っていた。
だが、それがもし、ミュルの意図的なものであれば‥‥‥‥どうなのだろうか。
その答えは、すぐに訪れる。
「地面をガンガン叩いたでアルが…‥‥‥それはただ固めただけではなく、衝撃を地中に伝えているのでアル」
エルフルニアの表情を見ながら、ミュルは語り始める。
「ここは温泉が湧き出る場所…‥‥つまり、温泉を温める熱源も同時に存在する場所。その場所はあちこちに点在しているでアルが‥‥‥‥あえて、地面を叩く衝撃を調整して、その熱が来るように誘導していたらどうでアルかねぇ?」
にやりと不敵な笑みをミュルが浮かべると同時に、地鳴りが響き渡り始める。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‥‥‥‥
「ちぃっ!!」
何をされるのか理解し、一旦この場から逃げようとするエルフルニア。
だが、もうすでに遅い。
「この場で戦闘を受け、逃げることに力を入れなかったお主の負けでアル!!」
そう叫ぶと、ミュルは思いっきり金棒を地面に叩きつけ、地面に最後の衝撃を送る。
ダッシュして逃げるエルフルニアであったが、その先の地面にひびが入り‥‥‥‥次の瞬間。
ドッガァァァァァァァァン!!
猛烈な勢いで、溶岩が噴き出した。
飛び出す勢いで進んできた道中にあった岩石もまとめて吹き飛ばし、一気に周囲へ落下していく。
「ギャァァァァ!!」
至近距離での溶岩噴出に、腰を抜かすエルフルニア。
そして、襲い来るマグマを目の前に、そのまま気を失うのであった…‥‥‥
「‥‥‥ちょっとばかり、薬が過ぎたでアルか?」
「溶岩が噴出したぐらいで、気絶したのかよ」
「でもこれって、あたしたちも危なくないかしらね?」
【流石にそのへんを考えているじゃろ?】
「‥‥‥‥ごめん、考えていなかったでアル」
「「【はぁぁぁぁぁぁっ!?】」」
てへっと謝りながら、そう告げたミュルに対して、ルースたちは驚愕の声を上げた。
…‥‥どうやら、このミュルのしでかした行為は、一種の自爆行為にも当たるようであった。
幹部の確保をしたかと思ったら、ミュルのせいで周囲に溶岩が噴き出した。
まぁ、なんにせよ被害は最小限に…‥‥済むのだろうか?
既に色々とやらかしているような気がしつつも、次回に続く!!
…‥‥ミュル、中々強い。さすがかつて、ルースを襲った元幹部でもある。
しかし、少々アホの子路線に入ったような気がするのは気のせいであろうか?




