閑話 動き出す組織
なぜか最近寝相がおかしい…‥‥非常口のあの駆けている人のような状態に朝なっていたせいで、首が少々痛かった。
人の寝相って、なにをどうやって決めているのだろうか?というか、なんでそうなった?(本当に実話です)
――――――反魔導書組織フェイカーは今、かなり追い詰められていた。
ここ最近、組織の主要な拠点はグレイモ王国側によってどんどん潰され、また、モーガス帝国や、その国とは関係なく、どこからか派遣されてきたらしい者たちによって消し飛ばされたりしたのだ。
組織の中でも捕縛される者や裏切っていく者たちが出て、崩壊の足音が聞こえるところまで来たのである。
新しい生物兵器やその他マジックアイテムなどの開発も止まっていき、在庫も消費されて補充されることが無くなり、中には壊滅した当時のモノを掘り起こしたりして、その場しのぎをしてきたのだが‥‥‥‥
「‥‥‥先日、バハーム王国の先代王との取引で、中止となっていた処分品の稼働をしたが、その停止が確認された」
誰も知ら兄ある場所に建てられている、残された拠点の一つに幹部たちは集まり、その報告を聞き、それぞれ思い溜息を吐いた。
「はぁ‥‥‥何というか、この組織自体が終わってきたように感じられるな」
「おい、そんなことを幹部である我々が言ったらお終いではないか?」
「でも、その通りだと思えるからね‥‥‥」
はぁっと再び溜息を吐く幹部たち。
できるだけ、どうにか組織を立て直したいが…‥‥人員もなければ、金もなくなっていき、もはやフェイカーの命は風前の灯火。
裏で取引していた、王国に何の忠誠も持たず、甘い汁を求めていた貴族等は全て検挙され、新たに拠点を作ったとしてもなぜか場所がばれて壊滅され…‥‥壊滅確定の未来しか見えなくなっていた。
どうしようもないというか、崩壊を待つのみ。
このままではいけないから、何かしらの行動を起こさなければならないのだが…どのような手がとれるだろうか。
考えつつも、思いつかないので、その場の雰囲気が重くなってきた、その時であった。
カツン カツン カツン……
その場に響き渡る硬い足音。
その音を聞き、幹部たちはすぐに姿勢を正し、その足音の主を待った。
ぎぃぃぃっ
重い扉が開かれ、そこから現れたのは、この反魔導書組織フェイカーのトップ。
昔壊滅したときのトップでもあるとも噂され、今のフェイカーに君臨しつつも、表向きは幹部たちに任せる…‥‥フェイカー内では通称、裏を牛耳る「影の王」と呼ばれる人物であった。
「‥‥‥報告は聞かせてもらっていたぞ」
どすっと用意された椅子に腰を掛け、影の王はそう口にする。
「こ、これはこれは、滅多に表舞台に立たない我らが組織の」
「堅苦しいことを言わずに、黙れ」
「はい」
幹部の一人が声をかけようとしたところで、影の王は鋭い眼光を飛ばし、黙らせた。
「さてと、現在、我が組織は非常に苦しいところにあるのだが‥‥‥その打開策を、貴様らは思いついたのか?」
「い、いえ、全然思いついておりません」
「何しろ、ほぼ壊滅に近いですし……」
「裏切りや離反者などの流失もあって、崩壊は時間の問題かと」
「そうか…‥‥全然ダメダメじゃねぇか!!」
「「「‥‥‥‥」」」
怒声を浴びせられ、幹部たちは黙り込む。
「‥‥‥報告によれば、過去作も失敗、現在の拠点もいくつか崩壊、組織そのものへの包囲網が着々と進んでしまっているようだが…‥‥王国内にいた工作員はどうだ?」
「それが、全滅です。皆捕縛され、こちらから指示を出す間にやられました」
「兵器開発は?」
「研究所の大半が潰され、研究成果もすべて奪取され済み。技術・開発班も捕えられ、完全にストップ状態へ……」
「つながりは?」
「王国の領土を奪取しようとしていた各国は、手のひら返しで拒否。中には明らかに脅されているのもあるようですが、それでも難しいかと‥‥‥」
「…‥‥はぁ、なんてざまだ」
それぞれの報告を聞き、影の王は溜息を吐く。
「‥‥‥だが、まだ我らが動く隙はある。いや、むしろ大きな隙がな」
「と言いますと……」
「今までは1か所、もしくは数か所程度で攻撃を仕掛けていたが…‥‥それだと、何処かですぐに対処されていた。だがしかし、その数を超えてしまえばどれから手を付けて良いのか、相手は分からない。ゆえに、その不明瞭にあっている隙に…‥‥確実に、仕留めていくのだ」
つまり、同時に複数の騒ぎを引き起こし、本命を狙っていくという事であろう。
…‥‥色々と話し合い、どのようにしていくのか彼らは決定した後、それぞれの行動へ移すために、その場を退出した。
後に残ったのは、その陰の王だけである。
「‥‥‥ちくしょうめ、なぜこうも邪魔をされ、再び壊滅の危機にさらされるのか」
憎々しげにそうつぶやき、影の王は顔をゆがめる。
「魔導書が手元にあれば、我が魔法で蹂躙できたかもしれぬのに…‥‥なぜ、叡智の儀式で、手に入らぬ。何故、我は違う世界の記憶があるのに、その記憶にあるような事が出来ぬ!!一度はこの組織を作り上げ、わざと壊滅させ、再建し、今度こそと思ったのだが…‥‥どうして思い通りにいかないのだぁぁぁ!!」
この場から幹部たちが去っていることを確認し、影の王は叫んでいく。
その纏う雰囲気はどす黒く、おぞましいほどの憎悪を漂わせる。
何が影の王をそこまで憎悪に染めるのかは、誰にも分らない。
ただ、一つ言えることとすれば…‥‥報告を見通す中、ルースについての記述を見たときに、より一層深い憎しみを込めた目で見ることだけであろうか‥‥‥‥
…‥‥影の王には何があるのだろうか。
その詳細を知る者は、影の王自身しかいないだろう。
そして、その詳細を理解できるものは…‥‥
次回に続く!!
……組織との最終局面が近づく中で、ようやくフェイカ―のトップが登場。
実は色々とあるのですが…‥‥まぁ、少なくともろくでもないやつという事だけは、覚えておきましょう。
そもそも、こんな組織のトップな時点で、まともな人ではないけどね。
……実はこのトップとルースの対峙は既に書けているんだけどさぁ‥‥‥まだ先になりそう。
というか、書いていたら色々と自分でツッコミを入れたくなった。




