222話
‥‥‥‥珍しくシリアス回?
いやコメディちょっと混ぜ回?
何にせよ、いつものメンバーではないので、ちょっと勝手が違うかな
光線の道を走り抜け、歪みのある方角へ向かうルースたち。
それなりに持続する魔法なので、切れる心配はなかったのだが…‥‥一つ、ルースはある事を考慮していなかった。
「そげぶぅっ!?」
「陛下ぁぁぁぁぁぁ!?って、しまっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「…‥‥何か今、声が聞こえたような気がするけど気のせいかな?」
【いや、気のせいじゃないじゃろうな…‥‥巻き込まれたやつおるじゃろ】
【ピギャァ】
光線の向かう方角に、なにやら声が聞こえてきたが…‥‥犠牲者が出たようである。
この光線の道、考えてみれば攻撃性能がないようにしていないことに、ルースは気が付いたが…‥‥すでに遅かったようであった。
慌てて駆けつけて見れば、光線の道の横にぐったりと倒れ込む二人の男性の姿があった。
「…‥‥陛下とか聞こえたけど、もしかしてこの国の重要人物?」
【可能性はあるのぅ】
【ピギャァァ……ピギャス】
まだ若そうな人と、それなりに苦労人臭が漂う感じがあり、そしてこの場所は…‥‥
【かなり立派な建物じゃのぅ。ここはもしや、バハーム王国の王城なのではなかろうか?】
「確定じゃないかな?なんか散らばっている書類に書かれれているしね」
となると、ここに倒れているのは…‥‥ほぼ確定で、この国の国王とその側近だろう。
他国の権力者、ついうっかりで巻き添えにしたかも‥‥‥‥。
とりあえず、放置するわけにもいかないので、適当に魔法を発動してベッドを創り出し、そこに寝かせる。
何事もなかったかのように昼寝しているように細工し、ルースたちは何も見なかったことにして光線の道の先へ進むことにした。
「良いかタキ、ここで会ったことは何もなかった」
【そうじゃな、王族らしき人物をふっ飛ばしたこともなければ、見たことがないのじゃ】
【ピギャス】
念を押してルースがそう言うと、タキとマロは頷いた。
証拠隠滅のために道も消しておいて‥‥‥‥ここからは、地力で歪みの場所とやらへ向かうべきであろう。
【ぬぅ、何やら嫌な気配が下からしてきたのぅ‥‥‥‥ここの地下で間違いなさそうじゃな】
バハーム王国の王城の中に侵入したところで、嫌そうな顔をしてタキはそうつぶやく。
「地下か‥‥‥‥流石にここで掘り進むわけにもいかないし、何処かに入り口とかないだろうか?」
【王城に地下となれば、王族の脱出用経路か、もしくは罪人を入れる牢があるじゃろうな。そこにつながる道ならば確実にあるじゃろうし、そう分かりにくい所にはなさそうじゃ】
きょろきょろと探し回って数分後、マロが高らかに叫び、地下室への道をルースたちは見つけた。
【ピギャァァ!!ピギャァァ!】
「お!見つけたのか、マロ!】
【ピギャッス!】
ルースの問いかけに、マロは自信満々にうなずき、羽をパタパタさせてその出入り口を指し示す。
王城の中でも、はじっこの方に地下への階段が続く入り口があったのだ。
中に入り、地下へ向けてルースたちは階段を下る。
こういう場だからこそ、ある程度舗装されたきちんとした階段のはずだが…‥‥螺旋階段のようで、先が見えない。
「また繰り返しているとかはないよな?」
【それは無さそうじゃな。しかし、こうも下りばかりでは膝に少々来るのぅ】
【ピギャァァ】
階段は上るのも大変だが、下るのもある程度地下にあり過ぎるとそれはそれで大変である。
それでも懸命に突き進んだところで、ようやく終わりが見え‥‥‥‥
「…‥‥見えてきたけどさ、歪みってあれで良いのかな?」
【いいはずじゃろうけれども‥‥‥‥なんじゃろう、この嫌な予感が的中した思いは】
「まぁ、同じ思いなんだが…‥‥なーんでこんなところでもあるのだろうかね」
タキのつぶやきに対して、ルースは同意しつつその先を見る。
そこは大きな部屋となっており、おそらくは王族たちが地下に籠る時のために作られた隠し部屋のような場所でもあったのかもしれない。
シェルターのような役割も果たすはずだったのだろうけれども‥‥‥‥現在、その部屋の中央には大きなものが鎮座していた。
どくん、どくんと脈動するように不気味な音を立て、ごぼごぼっと液体を垂れ流す、大きな新造のような物体。
そして、その色合いは…‥‥これまでさんざん、嫌になるほど見てきた、あの反魔導書組織のものと同じであり、何かしらの関連がある事を確定させたのであった。
「…‥‥何かしら関わっている可能性があるとは聞いていたけれども、直球で来たのかよ」
【なんというか、どこの場所でも迷惑をかける奴らの仕業かのぅ。ぬ?でも…‥‥】
ふと、タキが呆れたような口調から、何かいぶかしむような表情に変わった。
「どうした?」
【いや、ちょっとあれは古くないかのぅ?】
言われてよく見れば、不気味な心音を立てるその物体は、全体的にどこかさび付いているというか、年代物のような雰囲気を纏わせていた。
これまでのフェイカーのものであれば、どれもこれも同じぐらいの新しさはあったと思うのだが…‥‥それにしては、やけに古く見えるのである。
「そう言えば、二十数年前に一度滅びたとか言われていたな…‥‥ってことは、もしかしてあれは当時の残ったやつなのか?」
ずっと昔の方のフェイカーの遺留品であり、それが今になって起動したのであるとすれば、とんでもなく迷惑極まりない話である。
なんというか、今更掘り起こしたタイムカプセルに黒歴史たっぷりの者が詰まっていて、それをじっくり味遭わされているような感じであろうか‥‥‥いや、もっといい言い方があるかもしれないだろう。
とにもかくにも、このままにしておくことはできないし、これがどう考えても歪みとやらの元凶にしか思えないのであれば、さっさと処分するのが手っ取り早い。
と、処分方法を考えていたその時である。
―――――ドクン!!
「っ!」
【なんじゃ!?】
【ピギャッ!?】
突然、空間全体が震えたかのような感覚を覚え、ルースたちは身構える。
―――――ドクン、ドクンドクンドクンドクンドクン!!
徐々にその古道のような音は大きくなり、見れば新造のような物体がどんどん大きく膨れ上がり…‥‥次の瞬間、はじけ飛んだ。
バァァァァン!!
「うわっ!?}
【不味いのじゃ!!】
飛び散る体液だがなんだかわからないものに、嫌なものを感じたのであろう。
だてに国滅ぼしのモンスターをやってはいないタキはルースとマロをつかみ、素早くその場から飛びのき、階段を一気に駆け上がってその部屋から離れる。
そして外に出た瞬間、地鳴りが聞こえ始め…‥‥
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…‥‥ドッゴォォォン!!
大地が割れ、地下から何かが飛び出してきた。
【モンギョォォォォォォォォォォォゥ!!】
それは大きな雄叫びを上げ、その存在を示すと同時に空の色が不気味な色合いへ変わった。
その姿は、何処か人に似てはいるが、顔も髪もなく、棒人間のように見えるかもしれないが…‥‥無数に蠢く腕が生えており、背中には大きな不気味な色合いをした翼が生えていた。
その醜悪な姿をさらし、怪物は雄たけびを上げ、何かを空へ打ち出す。
それはすぐに見えなくなったかと思うと…‥‥無数の火の球となって、落ちてきた。
「げっ!?」
世紀末というか、世界の終末と言うべき光景を見て、ルースたちは慌てて防御の体勢を取る。
そして次の瞬間、その怪物を中心に、流星群のような攻撃が降り注ぐのであった…‥‥‥
……永い眠りについていたはずなのに、それは目を覚ました。
ずっとその場にあったとしても、何の目的で放置されていたのだろうか。
なんにせよ、放置することはできず、ルースたちは対峙することになるのだが…‥‥
次回に続く!!
…‥‥珍しくシリアス&戦闘回
いつもならばエルゼやレリア、バトがいるんだけれども、今回はタキとマロだけである。
他国でもあるから迂闊な破壊を引き起こしにくいし、少々相手が悪そうだ…‥‥日帰りの予定が狂いまくってしまったようだなぁ。
何にせよ、楽に行く相手ではなさそうである‥‥‥‥




