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閑話 歪みよりも恐ろしい者

その頃のエルゼ達の様子‥‥‥‥なんだろう、想像したら怖いんだけど。

「…‥‥‥‥‥」

「ひ、ひぇぇぇぇぇぇ‥‥‥‥」

「お、ぉぉぉぉぉ……」


 その人物は何もしていない。


 ただ単に、黙って手続きをしているはずなのに、あふれ出る禍々しい雰囲気に、周囲で使えている侍女やその他の者たちは、恐怖で体を震わせていた。




「‥‥‥‥ルース君が足りな~い、足りな~い。女狐と一緒というし、心配ね~~~~~~」



(だ、旦那様。お嬢さまが人として危い状態なのですが、いかがいたしましょうか!?)

(……どうしようもあるまい)


 侍女の一人が尋ねてきたことに対して、ミストラル公爵家当主のカイゼルは遠い目をしながら現実逃避をして答えた。


 目の前で、今にも飛び出していきそうな娘…‥‥エルゼの今の状態を見るのは、実はそう珍しいことではなかった。


 ここ数年はほぼ見ることがない姿であったが‥‥‥‥昔ならたまに見ることがある姿であったのだ。



 公爵自身が名付けるとすれば、『愛し人供給不足の禁断症状』であろうか。




「はぁ…‥‥娘よ、今日一日だけでも離れるのが相当辛いのか?」

「‥‥‥ええ、そうですわね、お父様。ここ最近は良くそばにいたので忘れていましたが、愛しい人がいないと、こんなにも苦しい気持ちとなり、そして今その愛しい人‥‥‥‥ルース君の側に、認めたとはいえ、抜け駆けしそうな女狐がいることを考えると、物凄く妬ましいというか、嫉妬の炎が燃えだしそうになっているのですわ」


 カイゼルの問いかけに対して、ぐるっと首を回し、物凄く冷たい声でエルゼは返答する。


 その様子を見て、思わずカイゼルは悲鳴を上げそうになったが、何とかこらえるのであった。






…‥‥ここ数年、エルゼは村にいる時よりも、より近くでルースと共に居ることが多かった。


 寮ではほぼ確実に毎朝顔を合わせるし、授業も同じ教室で受けたりするし、放課後に学園長の特訓を受けるのも同じだった。


 エルゼ自身、その日常に満足していたのだが…‥‥‥今日、気が付いたのである。



 たった1日離れるだけでも、相当ルースの事を想っていたことに。


 しかも、エルゼは自分の公爵家の令嬢という立場で、ルースとの婚姻などを考えて色々としなければいけないので、今日はやむを得ず別行動だというのに…‥‥特に縛りもない、タキがルースと共に行動しているという事は、恐ろしく妬ましく思えたのだ。


 ゆえに、考えれば考えるほど「嫉妬」という感情があふれ出すような気がしたのである。



…‥‥実際、物理的にもうあふれ出ているのではないかと周囲の者たちは思った。


 


 



「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、にしても本当に面倒ね。あたしはルース君の元へ行くと言うのはもう決定事項なのに、未だにいろいろ言ってくる輩がいるのよねぇ…‥‥」


 その場にある、公爵令嬢としての色々な手続きをする中で出されていた報告書を見て、悪魔のような笑みを浮かべるエルゼ。



 ルースと婚姻できるのは、フェイカーを殲滅してからだと決められているのはまだ良いだろう。


 その他の娘たちも一緒にルースと共になるのだが、それを受け入れられずしてどうしようか?



 まぁ、それはまだどうでもいいとして、エルゼとしては今、最もどす黒い感情を当てるとすれば、その事に関していろいろ言ってくる輩たちであった。




『ルースが卒業後に公爵となるのであれば、そこの嫁ぐとミストラル公爵家の力が増し過ぎるのではないか?』


『そんな平民上がりの家に嫁ぐのは相応しくない』


『公爵家の力を高めるよりも、他の貴族家とのつながりを得るべきであろう』


『胸がないのが好みで、その条件に合うのは貴女しかいない(真の絶壁者)


『色々と力を持つような相手に、公爵家のつながりを持たせるべきではない』


…‥‥等々、色々と文句ばかりを言ってくる相手が多いのだが‥‥‥‥エルゼとしては、一つ言いたい。



「あの決闘場の様子を見て、未だに文句を言える輩がいるなんて‥‥‥‥馬鹿しかいないのかしらね?お父様、この家々を潰しまわってダメかしら?」

「ダメだ…‥‥いやまぁ、我が公爵家とのつながりを得たいがゆえに文句を言う輩がいるのも分かっているのだが、色々と面倒くさいことになってしまうぞ?」


 エルゼがニコッと物凄く黒い笑みを浮かべながら尋ねてきたことに対して、カイゼルはびしっと拒否した。


 内心、自分の娘ながらも感じとれる怒りに恐怖を覚えもしたが…‥‥こういう時は、しっかり公爵家の当主として、そして親としても止めようと思ったのである。



 まぁ、エルゼがかなりの魔導書(グリモワール)の使い手にもなっているし、やろうと思えば不可能ではなさそうだなとも思ったが。


 それに、エルゼが言った決闘と言うのは、ついこの間行われたこの国の王子たちが原因で起きた決闘の事を指しているのだと、カイゼルは理解した。


 あの時、代理人やら様々なものを相手にして、ルースは全て返り討ちにしており、その彼に対して娘を嫁がせるのは不安でもないし、繋がり的に公爵家を強化することにもなるので別に良いのである。


 というか、反対したら自分が娘に亡き者にされかねないという思いもあった。






 何はともあれ、そのような文句を言う馬鹿者たちに対して、物理的にすることははばかれるのだが…‥‥今日一日、エルゼに集中して徹底的に作業をしてもらうことで、確実に黙らせることができるとみて、なんとか頼んでここで作業してもらっているのであった。



 そして今日一日ずっとここにいてもらうのだが…‥‥‥ルースと離れるのが相当ストレスになるのか、エルゼからものすごい威圧感というか、どす黒いオーラが出ているのを見て、公爵は胃が痛くなってきたように思えた。



 考えてみれば、昔からストーカー行為のような事もしていたし、ここ数年大人しかったのはルースの近くにいることができたからではなかろうかと。


 ‥‥‥‥そう思うと、ルースにエルゼを託したのは間違いではなかったのかもしれない。


 たった一日離れさせるだけで、これだけ最強もとい最凶すぎるオーラを纏うのだし、ルース以外の元へ政略結婚目的などで送りだせば、世界崩壊もあり得ない話ではなかっただろう。



 そう思うと、ある意味世界を自分は救ったのではないだろうかと、その人生で最も英断と言われる判断を下せたことにカイゼルは誇りを持て、今もなお沸き上がり続けているエルゼの物理的に見え始めたどす黒いオーラに対して精神的に持つことができたのであった。






 一方、帝国では…‥‥



「はぁぁぁぁぁ!!それそれそれそれそれそれぇぇぇぇ!!」

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

「流石皇妃様の娘、容赦ねぇぇぇぇl!!」

「戦姫と呼ばれていたけど、これだと暴焔姫じゃぁぁぁん!!」


「あらあら、きれいに宙を舞っているわ」

「…‥‥どこで娘の育て方を間違えただろうか」


 帝国の兵士たちが真っ赤に燃えて宙を舞い、ルーレア皇妃が赤い鎧を着て優しく笑い、皇帝は遠い目をしてそうつぶやくのであった…‥‥

たまには濃く書きたかった。

ゆえに、後悔はしていない。

なにはともあれ、次回はルースたちの視点に戻りますよ、次回に続く!!


…‥‥そのうち、爆発でもして大暴れするのではなかろうか。急いでルースの元にいかせないと、世界滅亡しそうで怖い。

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