217話
つかの間の平穏?
フェイカ―との最終局面は迫るけれど、その前にね…‥‥
……フェイカーによるものらしい都市メルドランへの襲撃の翌日、ルースは授業中の教室内で珍しく居眠りをしていた。
真夜中の襲撃を撃退するために戦闘していたから無理もないのだが、今日は途方もなく眠い。
そうルースは思いつつも、睡魔に負け、意識を落とし‥‥‥‥
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「‥‥‥で、眠いのに眠くないこの状況とは、もうどういえば良いのかな?」
―――――サァ?
いつもの黒い空間、その中で輝く魔導書と会話する羽目になっていた。
本当はゆっくりとした眠りにつきたいところなのに、眠気すら吹き飛ばして平然と会話できる場所に来る羽目になると言うのは、一体どういう罰ゲームであろうか。
とりあえず、卒業後に公爵位を受け取ったら必ずゆっくり眠れる日を制定してやろうとルースが心に決めたところで、久しぶりの魔導書との会話である。
「もうだいぶ慣れたけどさ…‥‥今回は何の要件だ?というか、こういう時に限ってかなり面倒な事が確定しているのだが…」
―――――投ゲヤリ気味ダナ。
「誰のせいだと思っているんだ?」
眠い中、ぐっすり眠れるかという時に、魔導書と会話させられる身にもなってほしい。
あのうとうととした心地よい眠りを邪魔した罪は重い…‥‥‥
―――――怖ッ!!
ルースのその冷たいまなざしに、思わず魔導書はそう口にするのであった。
…‥‥なんにせよ、何か用があるからこそ、この場が設けられている。
その用とは‥‥‥
―――――フェイカーノセイカハ定カデハナイガ、異様ニ「歪み」ガ生ジテイル事ヲ検知シタ。
「『歪み』?…‥‥何か空間とか、力の流れとか、そう言った類のか?」
―――――ソウダ。
なんでも、この黄金の魔導書いわく、色々と秘密があるのだが、その中である事を検知できる能力があったらしい。
だが、今回その能力でとある反応‥‥‥‥空間に異様な「歪み」とやらを検知したそうなのだ。
「なんかもう、どう考えてもろくでもない予感しかしないのだけど…‥‥放置ってありかな?」
―――――無シダ。
ルースの提案に、バッサリと魔導書は切り捨てる。
明らかに嫌な予感をひしひしと感じさせることなのだが、どうやら魔導書はルースをその問題から逃したくなさそうだ。
―――――フェイカーニヨルモノカドウカハ現状不明。ダガ、放置スレバフェイカー以上ニ不味イ事ニナル確率80%以上デアル。
「つまり、その歪みを調べろと?ついでにフェイカーの奴らを見つけられたら万々歳とでも言うのか?」
―――――ソノ通リ。
その言葉に、ルースは盛大な溜息を吐いた。
フェイカ―という存在を潰したいのに、その前に厄介そうな用件をしなければいけなさそうなのだ。
放置したいが、これも将来的な安心安全な生活のためにも、従っておいた方が良いだろう。
「わかった、行けばいいんだろ?でも、何をすればいいんだ?あと場所はどこだよ?」
―――――「歪み」ヲ矯正デキルダケノ魔法発動デ十分ダ。場所ハココヨリハルカ西方ノ国ダ。
そう言い終えると、魔導書の姿が失せ、気が付いたときにはルースは目を覚ましていた。
まだ授業中のようで有ったが…‥‥肝心の部分を聞きそびれたようにルースは思えた。
(…‥‥フェイカー関連か不明の、西方の国?)
一体どこにあり、何が起きているのかはわからない。
ただ、どう考えても組織との最終局面を迎えそうな中で、この魔導書の言葉が気になり、授業終了後にバルション学園長の元へルースは尋ねに向かうのであった‥‥‥‥
…‥‥久しぶりの魔導書との会話でもたらされた情報。
それがフェイカーによるものかどうかは定かではないが、どう考えてもろくでもないことだけは確かである。
とにもかくにも、向かうべきは西方の国なのだろうが…‥‥
次回に続く!!
…‥‥魔導書の出番、かなり久し振りかも。あ、西方の国って実は以前、この物語でちらっとだけ出てきたことがあるんだけど、分かる人はいるかな?
とにもかくにも、フェイカ―絡みがあるにしろないにしろ面倒事なのは確定である。




