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211話

新章開始!

この章でついにフェイカ―との全面決戦に入る予定‥‥‥‥どうなる事やら。

‥‥‥‥冬が明け、季節は春へと移り変わる。


 花々が咲き誇り、日光がさんさんと穏やかな温かさをもたらし、生命の息吹を感じさせるこの季節…‥‥まさに平和そのものというべき季節かもしれなかったのだが、グリモワール学園の校庭では平和とは程遠すぎる惨劇が起きていた。



「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」


 悲鳴があがり、校庭のあちこちで煙もあがる。



「さー!!悲鳴を上げていーるだけじゃなーくて、反撃してみなさーい!!」


 惨劇を創り出した主、バルション学園長の言葉によって反撃を試みる生徒たちはいるのだが、誰もが攻撃を成功できず、宙を舞っていく。


 毎年おなじみ、春のバルション学園長による新入生への洗礼のような事が行われているのだ。



 魔導書(グリモワール)を得ると、魔法を扱えるが、それを扱えて自分は偉いとか有頂天になりそうなものがいるので、こうやって学園に来たところで、徹底的に上には上がいて、特別でも何でもないのだと文字通り身体へ叩き込むのである。





…‥‥これであの学園長に勝ちたいとか思う人は向上心を持って研鑽に励み、自身の慢心を自覚した人はきちんと自分自身の力量を見つめ直し、特別でもなんでもなく、世のため人のためになるように育っていくから不思議である。


 こういうのって、普通は怠けたりして堕ちる様な人が出てもおかしくないのだが‥‥‥‥やはり、この世界の人のメンタルと言うのは色々と強いのであろうか。


 都市に襲撃が来ても、すぐに復興して日常へ戻るし、そうとしか思えないのである。




 とはいえ、中には腐る人もいるのだし、人の心と言うのはどこの世界でもわからないものであった。





「しかしながら、今回はずいぶん吹っ飛ぶ人が多いなぁ‥‥‥あ、5メートルほど上に飛んだな」

「あそこの人は火の魔法を使って…‥‥正面からぶつかって負けているわね」

「凄まじいというか、何というかすごいなぁ」


 校内にて、入学式恒例のその様子を見ながら、ルースたちはそうつぶやいた。


 今年で最後の学園となり、来年にはいよいよ卒業となる。


 そう思うと感慨深いものがあるのだが‥‥‥‥少なくとも、あの新入生たちと同じ立場に立っていたころを思い出した。


「そう言えば、最初のころに本当に無茶苦茶やられたよな」

「あれはきつかったわね‥‥‥」

「私は当時、いなかったが…‥‥相当なんだろうな」


 ルースとエルゼが入学当初のことを思い出し、額を抑えるが、レリアの場合は途中から学園に来たのでその頃のことは分からないようであった。



「あれ?そう言えばスアーンも同じだったはずだが‥‥‥‥あれ?あいつどこに入った?」


 と、ここでふとルースは友人でもあり、同級生でもあるスアーンの存在を思い出したのだが、彼の姿はその場にはいなかった。


「あの下僕なら……あ、ほらあそこよ」

「え?」


 エルゼの指さした方向を見てみれば‥‥‥わっせわっせと忙しく、新入生を搬送しているスアーンの姿があった。


「何をやって…‥‥いや、見れば分かるけど、なんであいつがやっているんだ?」

「なんでも成績降下してきたそうで、各教員の手伝いをさせられることになったらしいわよ」


……何をやっているのだろうか、スアーンは。


 まぁ、放置で良さそうな気もするが‥‥‥‥どうでもいいか。



「まぁ、そんなことはどうでもいいけれど‥‥‥‥二人とも、近くない?」

「いえいえいえいえ、そんなことはないわよ」

「ああ、多分な」


 ルースの問いかけに対して、首を振って否定するエルゼとレリア。


 いつもならば少しだけ距離があるのだが…‥‥今日はぴったりと体をルースの側に付けていた。



「だってルース君、来年卒業し、フェイカ―を倒せていたら挙式予定でしょ?あたしたちが結ばれるのならば、今からくっついていてもおかしくはないわよ」

「夫婦の在り方について学んでみたが、おかしくはないことなんだぞ」


 ぐっとこぶしを握って力説するエルゼとレリア。


 キラキラとした純粋な眼でそう言われると、ルースは何も言えなかった。







 先日の決闘の後、改めてきちんとルースは彼女達からの告白を受け、正式の了承し、婚約したのである。


 一応、公爵としての位を貰えるのでぶっちゃけ言って何人でも大丈夫らしいが、そこまでの節操無しにルースはなりたくなかった。


 なので、今回きちんと告白してくれたエルゼたちを選び、共に歩んでいくことを決めたのであった。




…‥‥まぁ、そこで一つ大きな問題が起きたのだが。


 エルゼ、レリア、バト、タキ、ヴィーラ、ミュル、バルション、ルルリア、アルミアと婚約関係に(タキとヴィーラに関してはモンスターゆえに婚約処理がもめるらしいが)なったのだが、そうなると『誰』がルースの『正妻』の座につくということが問題になったのである。


 一応、位を考えるのであれば王族であったルルリアとアルミアのどちらかになりそうなものだが、レリアは帝国の王女だし、ルルリアとアルミアは王籍を抜けて降格してくるので公爵令嬢のエルゼもそれなりに高い位置にある。


 ミュルの場合は元フェイカ―幹部、現在教師なので地位的には実は一番低い。


 バルションはグリモワール学園の学園長であり、その立場はかなり高い位置。


 バトは‥‥‥‥まぁ、妖精姫だけど、ルースとの婚姻によって妖精女王なる種族に変化する可能性があり、こちらはこちらで妖精の最上位となるので地位的にもやはり高い。


 そのため、それぞれの位で決めることができず‥‥‥‥かと言って、正妻という立場は魅力的なものがあるので、全員譲る気はなく…‥‥結果として、その最終決定をルースは下す羽目になった。


 いや、そもそもルース自身がきちんと決めなければいけないことなので、文句も言えないであろう。



…‥‥とは言え、迂闊な回答では争いが起きる可能性もあり、このメンバーでは激化して血を見るのは免れそうにないので、責任が重大すぎる。



 とりあえず、卒業までに正妻が誰で、その程度の立場となるのかという議論を続け、決定しなければいけないという責務をルースは背負う羽目になったのであった‥‥‥‥


 正直言って、フェイカー以上に重い問題なのかもしれない。


とりあえず、春の通過儀礼というべきものが済んだところで、話は進んでいく。

今後の憂いを無くすためにも、そしてこれまでの仕返しというためにも、フェイカ―を潰さなければいけない。

そのため、今まで以上に本気になって撲滅のためにルースは取り組み始めるのだが‥‥

次回に続く!!


……さてさて、ようやく因縁めいた組織との対決を迎える章になった。これが一つの大きな区切りとなればいいんだけどなぁ‥‥

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