201話
ただ今200話記念閑話作成中。公開までもう数日ほどお待ちください。
内容としては「他の人から見た日常」「スアーンの恋愛事情(破局を望む人多し)」「???」の予定です。
‥‥‥分割すべきか、まとめてやるべきか。
…‥‥突然起きた、王子たちによる決闘申し込み。
その言葉に、一瞬その場がしーんと静まり返った。
「お、お前たち……何をいきなり」
「父上は黙ってください!!」
「我々の妹たちの将来を決める大事な事なんですよ!!」
「そう、妹たちにかかる毒牙を防ぐための争いなのです!!」
ハイドラ国王は慌てたように問いかけようとしたが、王子たちによって言葉を遮られた。
第1王子のアレス、第2王子のハルバーン、第3王子のギェーアたちからの剣幕に、国王は後ずさりし、何も言えなくなったところで、王子たちはルースの方へ顔を向けた。
「さて、話は聞いていたぞ!!」
「父上が何やらやらかすだろうな~っと思っていたところで、まさかの妹たちを嫁がせる話だと!!」
「愛しい天使たちを、こんなどこの誰とも知らぬ……いや、まぁこの間王城に謁見していたし、ある程度情報は集めているからわかってはいるが、それでも」
「「「可愛い妹たちを嫁に出すことは我々が許さない!!」」」
ずびしっと3人そろってルースへ向けて指を突きつける。
言葉を少々迷ったところもあったが、どうやらシスコンが極まって行動に移したようである。
「お、お兄様方は何をいきなりやらかしているのですか!!」
「シスコンブラザーたちには関係ない話しなの!!」
この王子たちの言い方に対して、ルルリアとアルミアの2人は声を上げたが‥‥‥
「いやいやいやいや!!」
「家族だし充分関係ある話だってば!!」
「というか、王籍を抜いて臣下に下ってそして嫁に行くなんて」
「「「兄である我々は許さんぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」
物凄い勢いでまくしたて、反論する王子たち。
その憤怒のごとく燃え上がる王子たちに、その場にいた者たちは唖然としつつ、動かない。
「そこでだ!!」
なにやらそれぞれポケットの中をごそごそしつつ、白い手袋を取り出す。
「貴族としての神聖なる」
「決闘を今ここに」
「妹たちへ毒牙をかけようとする貴様に」
「「「正式に申し込むぅぅ!!」」」
腕を振りかぶり、3人そろって手袋をルースへ向けて投げつけた。
「おっと」
…‥‥普通に、つい投げられた手袋をルースはかわした。
貴族の決闘、この場合手袋が当たれば決闘を受けたつことにあたるのだが‥‥‥命中しなければ成り立たない。
以前にも、バズカネェノ侯爵家のソークジとかいう貴族に決闘を申し込まれた時があって、同じような事をしたなぁとルースは思い出した。
あの時は騒ぎを大きくし過ぎないようにわざと当たってあげたが…‥‥今回ばかりは少々事情が異なる。
「おい!!よけるなよ!!」
ルースが避けたことに、王子が憤慨の声を上げる。
「いや、避けなきゃ不味くないですかね?」
それに対して、ルースはそう返答した。
‥‥‥不本意というか、嵌められたというか、土地をもらって貴族になるのならば100歩譲って良しである。
だが、王女たちを嫁がせるという「国王の言葉」が問題なのだ。
王命のようなものであり、国にとっての重要事項。
特に、王女たちの将来を考えての事だから議論はされていただろうし、決まったことをこの王子たちが覆そうとしているのであらば…‥‥それは王命を逆らうことになるのではないだろうか。
そうであるのならば、現在思いっきり国王に反発している王子たちの立場もまずくなるだろうし、かと言ってルース自身が迂闊に反対することもできない。
まぁ、正直なところいきなりそんなことを言われても、ルースとしては面倒ごとになるので何とか穏便に済ませたいのだが‥‥‥王子たちが激怒しすぎて、勝手に発言し、国王の言葉をさえぎり、決定事項を無理やり覆そうと決闘を挑んでくるなどが重なって‥‥‥もう穏便に済みそうにないのである。
「‥‥そ、そうだそのとおりだ!!」
「ああ!!我が国の王女を、そんなどこの誰とも知らないような平民がなるのは問題しかない!」
「というか、我々だって求婚したいんだぞ!!」
「となれば、決闘を受けやがれぇぇぇ!!」
と、どうやら他の貴族たちが感化されたらしく、次々と白い手袋を投げつけ始めた。
桜吹雪のごとく飛び交う白い手袋の数々に、ルースは避けようとするが、流石に数が多かった。
というか、どこにこれだけの手袋があるのかと言いたくなるほど量が多く…‥‥手袋の山ができあがり、そこに埋もれる羽目になったのであった…‥‥。
…‥‥手袋の山が出来上がり、カオスな状況となったところでようやく国王ハイドラは動いた。
即座に臣下の者たちに命じ、一旦この場を閉会して片づけに動かしたのである。
手袋の山に埋もれていたルースは自力でなんとか脱出し、とりあえずどこの誰が投げてきたのかを調べるために手袋は国王側に回収。
決闘についての詳細は、後日ということになったのだが‥‥‥‥
「‥‥‥で、何で思いっきり馬鹿なことをしたのですかね、お兄様たちは」
「「「妹のためを思って、行動に移しただけで…‥‥」」」
「いや、全然考えていないの」
王城の一室にて、王子たちは全員そろって正座させられ、その正面にはルルリアとアルミアが立っていた。
来ている衣服は先程のままだが、その顔は笑っておらず、怒りの眼差しを向けていた。
「きちんとお父様が配下の者たちとも議論しあい、私たちも文句のないことでしたのに……なぜ、余計な事をしてくれたのでしょうか?」
「い、いや、だってどこの誰かもしれない毒牙にかけたくなくて」
「素性ははっきりしていますよね?王家の方できちんと相手の事を調べ上げていなければ、そもそも私たちが嫁ぐこともないですわ」
ルースの出身地やその事情位、王家はある程度の把握をしていた。
王女たちを嫁がせるのであれば、それなりに相手を調べるのは当然の事であるからだ。
「ルース=ラルフ、バルスト村の出身であり、領を治めている公爵家の令嬢とは幼馴染にしてグリモワール学園へ通う魔導書所持者。ただし、その魔導書は従来のものとは異なり、金色の輝きを放つ黄金の魔導書で、複合魔法を扱うなどの様々な力を持つことが確認ずみ。また、モーガス帝国の王女とも仲が良く、帝国へ赴いて観光を楽しんでいたさいにルーレア皇妃とも戦闘した経験があり‥‥‥」
「反魔導書組織フェイカーとの交戦記録は撃退に成功している。また、幹部を捕らえる実績も持つ」
「そのうえ、国を滅ぼした記録を持つモンスターを従えており、とある情報提供ではさらに一体国滅ぼしのモンスターと、最新情報によればコカトリスの雛も確保ずみ」
「そして、精霊王の娘を母に持ちつつ父親は不明だが、その事から精霊王の孫であり、精霊としての力も大きなものであると確認」
「フェイカー製の怪物を一瞬で消し飛ばした記録など、未だに不明な部分もある‥‥‥っと、まだまだ色々と分かっているのですわ」
「この程度の情報収集など、お茶の子さいさいですの」
ルースについての情報を読みあげたルルリアとアルミアに対して、王子たちはぽかんとあっけに取られた。
自分達もそれなりには調べていたが…‥‥そこまで細かく調べ上げていたことに驚いたのである。
「まぁ、ここまで調べていてなんですけど…‥‥女性関係においては『鈍感・唐変木・朴念仁・歩く天然ジゴロ』などもあるようですわね」
「そ、そうだろ!!そんなはっきりしない男に嫁いでも不幸だけしか生まな…‥‥」
と、ルルリアが述べた言葉に、好機と思って第1王子のアレスがそう口にしたが‥‥‥アルミアの冷たい目を見て、何も言えなくなった。
「はっきりしない殿方ですの?それならそれで、面白いですの」
「ええ、わたくしたちはあの時‥‥‥助けられたときに、恋愛感情と言うのを覚えましたからね」
「お姉さまが惚れたのであれば、私もめいっぱい手助けするの!!‥‥‥同郷でもあるらしいし、面白い人だと思えたのもあるけどね」
ぼそっとアルミアがつぶやいたが、その言葉王子たちは聞かなかった。
というか、王女二人が頬を染め、恋する乙女のような反応をしたのを見て驚愕したのである。
(な・・・あの妹がこんな顔をするのか!?)
(か、可愛い…‥‥って、そういうわけにもいかないじゃん!!)
(許せん……妹たちをすでに毒牙にかけていたとは‥‥‥‥絶対に許すまじ!!この城のマジックアイテム「しゃちほうこう」でどの程度の者か推定済み!!それを元にして)
(((絶対に妹たちをたぶらかした礼として、血祭りにあげてやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)))
王子たち3人の心が今、一つになって業火のごとく燃え盛る。
大事な大事な大事な妹たちを、奪ったことに対して激しい怒りを燃やし、暴走を始める。
‥‥‥本来ならば、それなりに真面目であり、成績優秀、品行方正、誰が王になってもおかしくない王子たち。
だが、彼らが共通してかかっている病「重度のシスコン」は不治の病とされ、そしてそれは時として狂気をはらむ。
流石に人道に外れたことはしないつもりなのだが‥‥‥‥燃え上がった怒りの炎によって突き動かされる今、何をしてもおかしくないのであった。
さてさて、王子たちの憎しみが大きくなっていく中、決闘の準備を進めなければいけない。
面倒な事に多くの決闘もあるようだが…‥‥いっその事、まとめた方が良いのではなかろうか。
というか、手袋の中には臭いのもあったので、洗濯をしておけとも思うのであった。
次回に続く!!
‥‥‥シスコンキャラとして王子たちを書いてみていたが、思った以上に書きやすい。え?今まで何でこんなに執着しまくった人を書かなかったのかと驚愕中。




