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200話

祝!200話達成!!

記念閑話は近日公開予定。これからもよろしくお願いいたします。

 日が沈み始め、辺りが暗くなっていく中、王城内は明かりが灯され、人々が集まり始めていた。


 国王による、先日の騒動収拾についての説明や、重大発表の場というわけで、集められた貴族などが大勢いる中、ルースたちもきちんと正装して参加していた。



「‥‥‥とはいえ、なんか前よりも減っているような」


 周囲の参加人数を見て、ふとルースはそうつぶやく。


 

 と言うのも、どうやら先日の王女家出行方不明騒動の際に、偽物の王女を連れてきた者たちの中に貴族の人達もいたようで、その処罰のために出席できなかったり、家そのものを潰されたりしたようである。


 そのせいで出席者数が減ったように見えるのであろう。



 まぁ、その本人たちの自業自得なのだが…‥さほど目立つわけでもないし、さほど気にすることではないと、ルースはそう思うのだった。



「まぁ、それにしても発表まで時間があるってのも暇なのよねぇ」

「わかるわかる。帝国でもこういう夜会のようなものが開かれることがあるが、大抵の場合は貴族たちの情報交換の場でもあるから、さほど踏み込んでいない限りは暇になるんだよな」

―――――面倒ダヨ。


 と、ルースの側にいたエルゼ達がそう話していた。



 こういう公式の場だからこそ、普段は見ないような服装を彼女たちは着ているのだが、それぞれの特徴が出ているようなものであった。


 エルゼはやや薄めの青い布地を使ったドレスであり、すらっとしたラインを活かすように着こなし、飾りとして小さな宝石をあしらっている。


 レリアの場合、こちらは真っ赤に燃えるようなドレスでありつつ、胸元を少しだけ開いて谷間を見せ、俺でいてあまり煽情的にならぬように大きめのネックレスで目立たないようにしたものである。



 バトの場合、以前は小さな妖精だったのだが、今回は人間合図まで大きくなっているということで、改めてドレスを選び直し、こちらは清楚な薄緑色のドレスを選択していた。


 翅があるので背中の部分を開けているタイプのものであったが、こちらはさほど気にするほどでもないだろう。



 そしてついでに、今回ルースと共に褒美をもらえるバルション学園長はというと‥‥‥‥



「こーういう場に出るのはなーれないわね」


 学園長言えども、このような公式の場は苦手なのか少々緊張したそぶりを見せていた。


 着ているのはソリットがあるいわゆるパーティドレスのような、ちょっとチャイナドレスを改造したような、白い衣服であった。





 がやがやと人が集まりつつ、国王陛下の発表が今か今かと待つついでに、穏やかな会話が繰り広げられていた。




「おや、そこの侯爵、貴殿の領地はどうだ?」

「ああ、今は問題ないな。そちらはどうだ?」

「こちらはそうだな、豊作になりそうだ」


「奥様聞きました?今宵の陛下の発表ってかなり重要らしいでわよ」

「ええ、当り前のように聞きましたけれども…‥‥どういう物なのでしょうかね?」

「さぁ?まさか隠し子を王族に迎え入れるとかではないでしょうかね」

「それはないはずですわ。正妃さまや側室様達が色々とやっているそうなのですよ」


「うーむ、どうも何か妙な事が起きそうですな」

「ええ、あの陛下の事ですし、絶対に何かをやらかすような気がしますな」

「以前にも、確か不思議な魔導書(グリモワール)を扱う者を呼び寄せ、何か召喚させてみたと言うのもあるようですしな」

「あ、あそこにいるのはその者ですな」




「…‥‥あちこちで情報交換が行われているな」

「こういう場でこそ、貴族は情報戦に有利に立つために立ちまわるものなのよ」


 貴族たちが交わし合う言葉を聞きながら、ルースがつぶやくとエルゼはそう答えた。


 彼女も一応公爵家の令嬢なので、それなりに貴族の世界を理解しているのであろう。



「まぁ、そう言うのが面倒なので昔からあたしはあの村でルース君と一緒に遊んだりしたのよねぇ……馬鹿を潰し、ルース君のためになるように情報戦を巡らせたこともあったわ」

「そうか‥‥‥ん?いやちょっと待って。今何かやらかしたような口ぶりがあったんだけど」


 スアーンの時も、ガキ大将だったあいつをエルゼが何かして下僕にしたという事は知っているのだが‥‥‥他にも何かやっていそうな雰囲気をルースは感じたのである。


「‥‥‥ま、それはそれ、これはこれというやつよ」

「目をそらしていないか?」

「絶対に何かやらかしたな」

――――――何気ニコノ人ガ一番怖イ。


 ルースの問いかけに対して目をそらすエルゼを見ながらレリアとバトはそうつぶやいたのであった。






‥‥‥そうこうしているうちに、ついにその時間になったようだ。



『国王陛下方の登場でございま~~~~す』


 なにやら場に声が響くと同時に、スポットライトのようなものが点灯される。


 その場には、いつの間にか作られていた部隊があり、その上にハイドラ国王が立っていた。


 建設音とか特にないのに、一体いつからあったのか。


 魔法によるものでもなさそうなので、おそらく何か仕掛けで出せる奴なのであろうが…‥‥なんにせよ、いよいよこの時間が来たと言うわけか。



 そうルースが思っていると、国王の臣下が現れ、国王に何かを手渡す。


 それはマイクのようなマジックアイテムだった。



『‥‥‥さて、今宵とある発表があり、夜会形式で集まってもらった者たちよ。まずは、先にある事を話しておこう』


 短い前口上を述べ、国王は語り始めた。


 今回、この夜会の場を設けられた理由である、王女たちの家出騒動についてである。



 始まりから終わりまで、王城で把握できた内容を述べつつ、その途中にあった偽物たちについての話もした。


「我が娘であるならば、この目で見間違えることはない。だが、愚かしいことに余を騙そうとする不届き者たちもおり、そやつらが先日、偽の娘たちを用意していたという事に関し、深い深い嘆きを覚えた。偽の姫を出したことに対する怒り?いや、それはない。騙そうとしたことに対する怒りもないが…‥‥嘆いたのは、我が娘の認知度の低さだ」


 国王の娘である王女たち…‥‥ルルリアとアルミアは、それぞれきちんと王城で王女としての教育を受けていた。


 だが、その教育内容が厳しくて、彼女達は家出したのだが…‥‥


「その教育には、専用の教師をつけており、娘たちは王城から出る機会も少なく、また、安全のために目に付かぬ場に置いていたがゆえに、その姿を知る者は少なかったのであろう」


 それはそれは、本当に悲しそうに国王は言葉に出した。



‥‥‥バルション学園長は王城へ行く機会はあるのだが、そんな人でも王女の姿を見かけることはめったにない。


 それだけ大事に箱入り娘のごとく育てられてきたのであろうが…‥‥そのせいで認知が低かったのは悲しいようである。


 なら、そこまで箱入りにしなければいいのではないかという意見があったそうなのだが‥‥‥なぜ実現しなかったと言うのは、下手に姿をさらし、気に入った何処かの貴族家に求婚されることがあると嫌だったそうだ。


 まぁ、早い話が、軽い親馬鹿であったせいで政略結婚とかいう手もあるのだがそれも使えず、できるだけ自分の手許に娘を置いておきたかったそうなのである。


…‥‥この言葉に、呆れや失笑があたりでちらほらと起きたが、娘がいるらしい者の中には真剣にうんうんと頷いて同意している者たちもいた。



「そしてだ、偽物たちを送った家を処分したとはいえ‥‥‥今回、我が娘たちによって引き起こされた騒動による被害は大きい」


 そこで一息つきつつ、言葉を繋げていく。



「王家に対して繋がりを無理やり得ようとしたり、もしくは褒美を絶対に得ようとしたりなとど考え、企んだ者たちがいるのは既に調べが付き、重いものから順に処分を下しておる。だが、その処分の量を測ってみると、領地の没収や削減などを入れて‥‥‥それなりの領が出来てしまうほどになってしまった」


 頭を抱える様なしぐさを見せ、どれだけのものなのか出席者たちは予想する。



「そこで、今回の騒動に深く関わりを持たず、手出しをしなかった家にはこの領のいくつかを分配し、領地の拡大をしてもらうことにした」



 その言葉を聞き、自領が増えて嬉しい声を上げる貴族たち。


 だが、まだ国王の言葉は続く。



「だが、それなりに領地は小さくなるが‥‥‥それでも、ある程度の貴族が治めるほどの領が残ってしまう。かといって、これ以上分配しようにもどこかに偏ってしまう場合があるのだ。…‥‥そこでだ、この領を治めてもらうために、そして今回の騒動にて、我が娘である王女たちを保護し、護衛してくれた者たちに対しての功績として褒美をやりたい。今から名を言う者は、余の前に出てくれ」



 ハイドラ国王がルースとバルション学園長の名を言ったので、二人は国王の前に出た。



「‥‥‥さて、まずは学園長殿。貴女の場合は土地よりも学園に出される予算の増額を望んでいたな」

「はい。これも教育を充実させるためです」


 国王の問いかけに対し、いつもの伸びた口調ではなく真面目に答えるバルション学園長。



「では、そのようにしておくことをここに宣言しよう。例年度の25~30%ほどで良いか?」

「それで十分です」


 そう言いつつ、約束するように書類を出し、きちんと実行に移すことを国王は宣言し直した。



「そして、ルース=ラルフ殿。そなたの方には今回余った分だが…‥‥それなりに言い場所であり、世間に惑わされぬような領地を治めてもらいたい。一代限りの男爵としたい…‥‥ところであったが」

(ん?)


 このまま普通に領地をもらえるのかなと思っていたルースであったが、国王が何やら言おうとしていることに気が付き、心の中で首を傾げた。



「…‥‥今回の騒動で、我が娘たちをおとがめなしにはできぬ。王女としての教育を拒絶したことからも、王族としての責任を負わせるには少々荷が重すぎたと理解したのだ。そこでだ‥‥‥」



 そう言いながら、国王が目を向けたほうへルースも連れられて見ると‥‥‥そこにはルルリアとアルミアの二人の姿があった。


 いつからいたのかは気が付かなかったが、それぞれ綺麗な白いおそろいのドレスを着ていた。


‥‥‥正直言って、結構綺麗であったために本当に王女たちだったんだなとルースは思ったが、ふと、この言葉の続きをルースは予測してしまった。



 別に悪い話しではないのかもしれないが…‥‥いや、場合によってはかなり不味い予感がしたのだ。



 そう思いつつ、国王の話にルースはその次の句を待った。


「‥‥‥王女らしからぬ振る舞いをしたなどという事もあるようで、そのために我が娘たちには王籍を抜き、一貴族として生活してもらうことにしたのだが…‥‥いかんせん、異性と触れ合う機会も少なく、国王としてではなく、父親としては王籍を抜こうが我が娘に変わりないので彼女達にはできる限り苦労の無いように、そして幸せになるようにして欲しい。よって、領を治めるついでに、本来は男爵としての貴族籍を進呈したかったのだが、我が娘たちをもらって、王族との血のつながりを持つがゆえに公爵家としてなってもらいたいと思うのだ」

「「「「「…‥‥‥はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」



 その言葉に、その場に居た全員が驚愕の声で叫んだ。


 後に、その叫びは王城外まで聞こえたそうだが‥‥‥‥それだけ衝撃が大きかったのであろう。



「…‥‥えっと、陛下、失礼ながら質問をいくつかしていいでしょうか」


 驚愕しつつも、平常心を持って、ルースは目の前にいる国王に問いかける。


「ああ。いいぞ」

「ではまず一つ、わたしのような平民が男爵になるのならまだしも、いきなり公爵ってどうなのでしょうか」

「その事に関してだが、我が娘たち…‥‥王籍を抜くとはいえ、この王家の血筋でもある王女だった者たちをそなたの嫁にしてもらえれば、特に問題はない。というか、その為に貴族籍を用意したと言うのもあるのだ」


「では二つ目、領地だけという選択手段はないのでしょうか?」

「ない。というのもな、そなたの場合色々あるだろう?」

「‥‥‥」


 その言葉に、ルースは心当たりがあり過ぎた。


 国滅ぼしのモンスターを召喚魔法で従え、そもそも魔導書(グリモワール)が例に無い金色、精霊王の孫等々……それらを考えると、国としては放置できないし、できるだけ置いておきたくなるのだろう。



「では三つ目に、そもそも王女たちはそのことを了承しているのでしょうか?」


 いくら国王とはいえ、実の娘をそうホイホイ出せる様なものではないはずだし、政略結婚のような事を考えていても、それでいいのかという疑問があった。



「では、実際に聞いてみようか」


 というと、ハイドラ国王はルルリアとアルミアの方へ顔を向けた。



「二人とも、この者に嫁いでも大丈夫だろう?」

「はい、文句はありませんわ。そもそも王女たるもの、国のために動くのは当たり前でありつつ……その、路地裏で助けられた際にちょっと……」

「お姉様の文句がないのならば私も文句はないの。それに、悪い話しでもないし、面白そうと言うのもあるの」


‥‥‥あっさりと答えられてしまった。


 と言うか、アルミアの方は姉至上主義な理由が見える。



「はっはっはっはっは、どうだ、我が娘たちも文句はないようだし、我が王家とのつながりを持てるのであれば悪い話しでもあるまい。それにだ、仮にそなたに好きな人がいたとしても、余のように正妃に内緒でこっそり囲っても大丈夫なはずであろう!」


 答えに満足しながら、堂々と何か最低なことをぽろっとこぼした国王。


 良いのかそれでと、その場に居た大半が心に思いつつも…‥‥黙っていられるわけではない。


 ぽっと出の平民が王家とのつながりを持つのが面白くない輩もいるであろう。



 それなのに、わざわざこうも大勢の前で堂々と述べたという事は…‥‥何か裏があるとみても良いだろう。




 と、ルースが考えていたその時であった。


「「「ちょっとその決定待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 ばぁぁんっという音がしたので見てみれば、そこには大きくあけられた扉があり、その前には三人の影があった。


 この国の第1、2、3王子たちである。



「父上、いや国王陛下!!そう簡単に妹たちの嫁ぎ先を決めてもらっては困ります!!」

「それにだ!!ルルリアとアルミアの両方なんて、どういうつもりなのでしょうか!!」

「我が可愛い妹たちを、罰だからと言って嫁がせるのは横暴すぎるようにも思われる!!」


「「「よってここに反対意見を持ち、そして妹たちを毒牙から守るために、お前に決闘を申し込む!!」」」


 ずばびしっ!!っと音が聞こえるようにルースへ指を向け、そう宣言した王子たち。


 突然の事態に、驚愕が続きすぎてその場に居た者たちは何も言えなかったのであった…‥‥




「…‥‥え?王家がルース君を取り込もうとしているの?」

「いや、あの反応だと…‥‥王女たちへの罰とかもないな。多分、私たちと同じだろう」

――――――イヤナ予感、的中シチャッタヨ!!


 そして、他にいた者たち同様に驚愕していたエルゼ達もすぐに思考を取り戻し、話しあう。


 ルースに恋する乙女としても、これは由々しき問題になるだろうと結論づけるのであった…‥‥


さて、突然決闘を申し込んできた王子たち。

というか、この状況に驚きすぎてまだ飲み込めない人たちも多い。

面倒事が続けてやってきてしまったようである…‥‥

次回に続く!!


…‥‥これってさ、タキたちも召喚する羽目になって、よりややこしい話になりそう。

丸く収まればいいけど、血を見そうなんだよな…‥‥

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