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197話

新章開始

まぁ、しょっぱなからいろいろやらかしてみるのですが‥‥‥

…‥‥王女たちの騒動から一週間後。


 ようやく王城でのごたごたなどが完了したのが、ルースの元に招待状が届いていた。


 王女たちの保護、護送に関する褒美が公式的に授けられるようだが、こういう招待状で来るという事は…‥‥



「ついでに社交界的な事もやるのか」


 ただ単に褒美の場を見せるだけでは面白くないようで、社交界というか、舞踏会もついでに開催されるようだ。


 そのせいか、一応公爵家の3女のエルゼに、帝国の第2王女であるレリアたちの元にも招待状が届いたらしい。



「ふーん、ルース君が王女の保護をしてその褒美を正式にもらう場ですか」

「何かと言ってくる輩もいるだろうし、この国の王の前で行うことで、面倒な輩を出さないようにするという配慮もあるようだな」


 エルゼ達はルースが招待された理由を聞き、あまり気にしていない様子でそう口にした。


…‥‥王女たちの護送に関しての事だったから、何となくエルゼ達(特にエルゼ)から何か言われるような気もしたが、特に何も言うような事はないらしい。


 なんか落ち着きすぎているような気もしたが、ルースは気にしないことにしたのであった。


…‥‥後から何か来ないよね?不安しかないのだが。




「しかしな、三日後に行うようだけど‥‥‥あれからそれなりに時間が経っているし、どうして今なのかちょっと気になるな」


 一週間ほどかかっていたようだけど、どれだけごたごたしていたのだろうか。


 考えてみると、家出した王女を捕らえようとする輩や、攻撃した馬鹿だけではなく、王女の偽物を用意した者たちもいたので、その処分に時間がかかってしまったのだろう。


 その中には貴族家がいくつもあっただろうし、その家をどう処分するのか、ずいぶん悩んだに違いない。


 考えられる処分としては、貴族籍剥奪、降格、増税……その他にも色々あるのかもしれない。




 何にせよ、正式な招待を受けたので出席はする。


 けれども、ここで気になる点が一つあった。


「そう言えば、マロはどうすればいいかな?」

【ピギャァ?】


 ルースのつぶやきに対して、さきほどからむしゃむしゃとおいしそうに意思を食べていたコカトリスの雛であるマロが、可愛らしく首を傾げ…‥‥いや、餅のような体型ゆえに首が見当たらず、顔だけが動いたように見えた。


 羽毛が増毛しているのか、尻尾の蛇頭がだんだん埋もれてきて退化しているように見えるけれども気のせいのはずである。


‥‥‥決して太っているわけではないはずだ。懐いてモフモフで可愛すぎて、餌である石を大量生産してあげたと言うのはあるが、そのせいではないはずであろう。


 というか、そもそも石を食べて太るのか?それ以前に栄養が取れているのかも謎である。




「そう言えば、この子って一応モンスターなのよね」

「コカトリスと言えば、石化するブレスが脅威と言われるのでそれなりに恐れられるはずだが‥‥‥これって恐れるほどか?」

――――――完全ニ丸々シテイルヨ。


 マロを改めて見ても…‥‥害をなすように見えないどころか、ちょっと健康に不安を覚えるほどである。


 何にせよ、無害そうな外見ゆえに大丈夫かもしれないということで、一緒に連れていくことを決めたのであった。



「というか、ルース君。この子ってモンスターだし、あの女狐や女兎と同じように召喚できるんじゃないかしら?」

「‥‥‥あ、言われてみればそうだな」


 エルゼのその言葉に、ルースはアッと気が付かされた。


 召喚魔法はモンスターを召喚できるが、マロもコカトリスというモンスターだから召喚可能かもしれないのである。


 そうであるのならば、わざわざ連れて行かなくとも、召喚してモフリ放題という事実に、ルースは気が付いた。









「というわけで、久しぶりに召喚実験をしてみようかな」


 その日の放課後、今日は学園長が同じように招待状をもらったので、都合の調整をするという理由で特訓がないために、ルースは少々実験を行うことにした。



「それじゃ…‥『魔導書(グリモワール)顕現』!からの『召喚マロ』!!」


 金色に輝く魔導書(グリモワール)を顕現させ、素早く召喚魔法をルースは唱えた。


 タキやヴィーラと同様の召喚魔法によって、この実験のために離れた場所にいるマロを召喚できるかどうか、試してみた結果…‥‥‥




【ピギャァァァァァ!!】


 くるくるっと宙を回りながら、さっそうとマロが姿を現した。


 すたっと華麗に着地を決め、びしっと決めポーズをとる。


「よし、召喚成功したな」

「というか、何なのよその決めポーズ」

「練習でもしていたのだろうか?」


 とりあえず、召喚可能なことは分かったのだが…‥‥ここでふと、ルースはある事を思いついた。


「そうだ、せっかくだし3体同時召喚もやってみよう!」


 

 うまいこと行けば、夢のモフモフぎっしり召喚魔法となるだろう。


 ワクワクとしながらも、準備のためにいったんマロを送還し、再び召喚の準備にルースは取り掛かる。



「一斉に来い!!『召喚タキ&ヴィーラ&マロ』!!」


 ルースが召喚可能なモンスターたちの名を上げ、召喚魔法を発動させた、次の瞬間…‥‥




ドォォォォォォォン!!

【うぐわばぁ!?】

【あアああァァ!?】

【ピギャッ!?】


「‥‥‥えー?」


 なぜか皆、同時に同じ場所に出現し、宙でぶつかり合った。


 どうも同時召喚を行う場合、召喚場所が同じ場所に指定され、同時に出てしまうらしい。


 2体までならばまだしも、3体もやるとこのように激突しあってしまうようだ。



 そのまま地面に落ちたタキたちは、滅茶苦茶怒ったのであった。


…‥‥当然、召喚したルース本人にその怒りは向き、説教されたのであった。



 召喚される側にとって、召喚される場所を選んでほしいようである。


 そして、できるだけ分けて、丁寧な召喚を行う方がよかったようだ‥‥‥‥まさか召喚魔法にこのような欠点があるとは、思いもしなかった。


「いや、普通3体も従えていることはないと思うぞ」

「そもそも召喚魔法による物資の運搬方法が確立しても、召喚魔法の最初の部分で挫折する人が多いそうですわよ」



 レリアとエルゼが呆れたようにそうつぶやいたが…‥‥そんな物であろうか。


【召喚主殿~?まだ説教はあるのじゃよ】

【ぶつケて痛イ。毛皮あっても衝撃は来ルんだよ】

【ピギャァァ!】


 がしっと両肩を人の姿に変化した二人につかまれつつ、説教は日が暮れるまで続くのであった‥‥‥


召喚されるモンスター側にとって、今回の召喚実験は思うところがあったようである。

長い長い説教を終えたころにはルースの足は痺れていた。

この調子だと、3日後の王城で褒美を授与される時に面倒ごとが起きそうなんだよなぁ‥‥‥

次回に続く!!


‥‥‥タキたちだって、いろいろ文句を言いたくなる時があるんですよ。

「そう言えば、マロは国滅ぼしのモンスター組合とかに入るの?」

【いや、コカトリスの雛じゃし、多分無理じゃろうな。…‥‥成長次第では可能性があるがのぅ】


さらっと恐ろしい事を言われたが、できれば完全無害なモフモフに成長して欲しい…‥‥

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