191話
何だろう、シリアスもいれたかったはずなのに、なぜかあまり入らなかったうえに、ややコメディ的なものが入ってしまった。
なぜか書こうと思えば思うほど、それに反したものになってしまうのはなぜだろうか?
…‥‥王城まで、何事もなくたどり着けたらよかった。
そうルースは思いつつも、目の前の光景を見た。
「こちらに王女様がいるぞぉぉぉぉ!!」
「いやいやいや、そちらは偽物ですぞ。こっちこそが正真正銘の王女様でして」
「貴殿が連れてきたのは違うだろうが!!王女様はこちらのように美しくてな」
「美女が多くてラッキーだぜふぉぉぉぉぉ!!」
「王女様ならこっちが本物だぁぁぁぁぁ!!」
「‥‥‥なんだ、この光景」
「王女さーまたちの、偽物であふれかえっていーるわね」
「ああ、わたくしたちを見たことがないような方々が案外多かったようですわね」
「まぁ、貴族の中でも私たちを見るのはそんなにいなかったですの……というか、なんかおかしいのが混じっていなかったですの?」
王城前に群がっているのは、我こそが本物の行方不明の王女たちを連れてきたという者たち。
王女様達が家出して行方不明になったという情報が洩れてしまったとはいえ…‥‥堂々と偽物の王女たちを連れてくる者たちがいるとは、流石に予想外であった。
いや、いるかもしれないなとは少し思ったが…‥‥大量にそんな者たちがいるとは思わなかったのだ。
と言うか、仮にも一国の王女2人について知る人は案外少なかったようで、似ても似つかぬ偽物たちがあふれかえるとは、これはこれで珍しい光景ではなかろうか?
「何で王女たちについて知っていない人が多いのかな?」
「公式では、兄たち……要はこの国の第1,2,3王子たちが有名なのですけれども、わたくしたちはそんなに表に立つことがないですからね」
「一部なら知っているけれども、そんなに外に出るようなこともなかったの。教育が厳しくて、家出したけれども‥‥‥厳しすぎたがゆえに、外に姿を出すことも少なかったの」
つまり、王女たちは箱入り娘のように育てられたがゆえに、その姿を見ることができた人は少なく、その為に偽物たちが集められてしまったようなのだ。
そのせいで現在、王城前は偽物たちであふれかえってしまい、ただ今審査しているらしい。
まぁ、一発で偽物ならわかるそうだし、そっくりに変装させている人がいたとしても突破は不可能であろう。
「しかし、何で偽物ばかりをこんなに集めるのかな?」
「王女様達発見の褒美をいただーきたいからじゃないかしら?」
…‥‥偽物を連れてきても、待っているのは罰しかないだろうな。
とにもかくにも、本物がこちらにいるのだが、これでは王城に入りづらい。
仕方がないので、裏手の方に回り、そこにいた衛兵にバルション学園長が話しかけた。
「これを‥‥‥」
すっと懐から何かを学園長が取り出し、衛兵へ見せると、その衛兵は慌てたような顔になり、すぐに裏口を開けた。
「ど、どうぞこちらへ!!」
「あーりがとう」
深々と頭を下げる衛兵を下げさせ、そこからルースたちは王城内へ入った。
「‥‥‥ふむ、それで王城内に来てすぐに我が元へ謁見しにまいったという事か」
「はい、そーうです」
そのまま謁見室まで向かい、学園長が手続きを取って中に入ると、そこにはこの国の国王、ハイドラ=バルモ=グレイモが玉座に座っていた。
「我が娘ならば一発で見て分かると言うのに……なぜこうも有象無象な輩が押しかけてきてしまうのか、頭が痛い問題だ」
頭を押さえてそうつぶやくハイドラ国王だが、見た目がややチャラいので微妙な頭痛に悩まされるおっさんにしか見えない。
「そーの事ですが、ご報告がありまーす。王女様たちを発見でーきました」
国王に対して、バルション学園長が言葉をかけると、国王は驚いたように目を向けた。
「何っ!!あの有象無象の輩とは違い、そなたの報告は信頼できる!!どこにいたのだ我が娘たちは!!」
「こーちらです、『魔法解除』」
さっと手を振って学園長が魔法を解除し、王女様達の姿があらわになる。
ついでにルースの姿もあらわになって、国王の目が驚愕のあまり見開かれた。
「お、おおおおおお!!間違いなく我が娘たちだ!!よく無事で帰って来たぁぁぁぁぁ!!」
流石親であるのか、国王は一発で彼女達が自分の本物の娘だと分かったようで、声を上げる。
「会いたかったぞ娘よぉぉぉぉぉ!!」
興奮のあまり、玉座から国王はジャンプしてそのまま娘たちの元へ飛んだ。
それはもう、見事な飛び方で、まるでカエルが水へ向かって飛び込むかのような…‥‥
「お父様!!はしゃぎすぎていますわ!!」
「お姉さまにジャンプして抱き付くなの!!」
バシィッ!!
「そげぶっ!?」
……そして、王女様たち2人はさっと後ろへ下がり、飛び込んできた国王の頭へめがけて、見事にシンクロした踵落としを決めて、地に沈められたのであった。
うん、チャラい男がジャンプして抱き付こうとしてきたら、そりゃ自分の父親だろうが女の子ならば攻撃してしまうだろうな。
しかし、一国の王をその娘の王女が撃沈させるって良いのかな?
そう思い、バルション学園長の方へルースは顔を向けると、学園長も同じことを思っていたようで、そっと顔をそむけたのであった。
アウトですね、言わなくとも完璧アウトな行動ですね。
確信しつつも、頭が床から抜けなくなった国王に、慌ててルースたちは大きな株を引っこ抜くがごとく、手助けをするのであった…‥‥。
……うんとこしょ、どっこいしょと頭を床から抜きつつ、何とか話しを戻す。
王城にて、ようやく王女たちを連れ帰ってこれたと安堵するのもつかの間、こういうさっさと帰りたい時に限って面倒事はやってくるのだ。
果たして、ルースたちは何とか帰ることができるのだろうか?
次回に続く!!
……アルミア、ルルリア共に一応国王は父親としては好きである。だがしかし、微妙にだらしない部分がある処が嫌いなので、ついついこういう時は地へ沈めてしまうのだ。
「ルーレア皇妃様も、良く夫である皇帝を沈めているそうよ」
「あの人が一番尊敬できる人なの!お父様?‥‥‥ノーコメントなの」




