180話
花粉症、恐ろしくて外に行きにくい。
でもなぁ、引きこもりに向いていないのか、一日に一度は外へ出たくなるんだよねぇ……
ファンタジーのように魔法があれば、花粉症を一発で直せる魔法とか、そもそも花粉を飛ばないようにする魔法とかが切実に欲しいなぁ。
路地裏での奇妙な話を聞いた翌日、ルースは学園長室に呼ばれていた。
「‥‥‥本当なーらば、非常に重要な事であーるため、そうホイホイ外部へ洩らすよーうなことじゃないんだけれども、ちょっとばかーり協力してほしいから、呼び出したんだーよ」
「その言葉だけで、非常に厄介な事を頼まれる予感がするので、辞退してはダメでしょうか」
「ダーメ」
来てしまったのであれば諦めろ、と暗に言うバルション学園長に対して、ルースはのこのことマヌケにもやってきてしまったことを後悔した。
逃げようと思えば逃げられるだろうけれども、この学園長の事だから、ただじゃすまない未来が待ち受けているのが見えるからね…‥‥逃れるのは不可能だろう。
まぁ、来てしまったものはしょうがないということで、ルースは話を聞くことにした。
「で、バルション学園長が協力してほしいという事は何ですか?」
「うーん、なーんといーうか非常に面倒と言ーうべきか、その内容がねー」
ちょっと言いよどむ学園長。
なんといなく、これはかなり面倒そうな問であろうと感じさせつつ、バルション学園長は言葉を続けた。
「ルース君も知-っているだろうけど、この国に王女がいーるのをしっているよーね?」
「はい、普通に授業とかで習いますよね?」
このグレイモ王国を今治めているのは、国王ハイドラ=バルモ=グレイモ。前に一度謁見したことがあり、その姿を拝見したことがあった。
そしてその国王には、正妃の王子1人、王女1人と側室の王子2人、王女1人に加え、国王自身の女性関係のだらしなさゆえに大量の落胤がいるという事ならば、周知の事実であろう。
「‥‥‥ん?王子とかがいるのになんで王女の方を言うのでしょうか?」
「それがーね、この王女たちが現在、行方不明になっちゃったーんだよ」
「行方不明にですか…‥‥って、それかなり不味いのでは?」
「不味いーよ」
現在、この国には明確な敵対相手に反魔導書組織フェイカーが存在している。
ここ最近は目立った活動を行っていないようだが、この事が組織にバレればどうなるか?
答えはすごく簡単、先に見つけ出そうとして、最悪の場合人質にされる可能性があるのだ。
いや、王女だからこそ政治的利用価値があるので、他の国からも狙われる可能性があり、いくつもの最悪の結末が予測できてしまうのだ。
ゆえに、王女たちが行方不明と言う情報は非常に重要な事であり、外部に洩らしてはまずいという事も納得の事実であった。
「って、それを言われてどうしろと‥‥‥」
「複合魔法で都合のいーい魔法ってなーいかな?と思ったーのよ」
何でもかんでも、実は当初は王城の方で秘密裏に捜索されていたが、どうしても見つけられなかった。
そこで、ある程度の重要な役職についている者達に限ってその話が伝わり、捜索願が出されたのである。
当然、バルション学園長の元にもその捜索願が出されたが…‥‥そんなことを言われても、学園長にだってできないことはある。
「監視すーる魔法は扱えーても、捜索すーる魔法は無理なのよーね」
「‥‥‥なんか、意外にもできないことがあったんですね」
と言うか、前者の言葉は聞かないことにした方が良いかな?監視する魔法って‥‥‥何を監視しているの?
ちなみに、どの魔導書にも似たような魔法はあるようで……エルゼ辺りがその魔法の存在に気が付かないことを願っておこう。
とにもかくにも、そういうわけで学園長が考えた結果、ルースに頼ってみようという結論に至ったそうだ。
ルースの持つ黄金の魔導書は複合魔法を扱える。
つまり、通常では使えないような魔法を扱えるので、その中に人探しに向いた魔法が無いかと思ったわけだそうだ。
「というか学園長、一つ問題が」
「ん?」
「一応、できそうなものがあると言えばあるんですが‥‥‥‥俺、王女たちの姿を見たことが無いので分かりませんよ?」
魔法の組み合わせによってはできることはできるのだが‥‥‥そもそもの話、ルースは王女たちを見たことがなかった。
以前、国王の元に謁見したことはあったが、その時には見ていないので特徴とかが不明である。
「んー、そう言えーばそうか。私は見たこーとがあるから、私が見てどーうにかできないものかーね?」
「無理っぽいですね」
というか、それ以前の話にどれだけの範囲内を捜索すればいいのかわからない。
いくら何でも王国中はきついし、人が多くいる中でたった二人を探すのは‥‥‥例えで言うなれば、砂漠にいるアリを見つけるほど難しいだろう。
「あれ?待てよ?」
そこでふと、ルースはある事を思い出した。
「どうしーたの?」
「‥‥‥つかぬことをお聞きしますが学園長、その王女たちって強いですかね?」
「どんな質問だーよ?まぁ、一応護身術とかはなーらっているそうだけど‥‥‥」
ちょっと確認してみたが、一応そこそこ強いらしい。
魔導書持ちではないそうだが、王子たちよりも剣術や体術に優れている話だそうだ。
「ふと思い出したんですけど、昨日散歩して路地裏に迷い込んだのですが、そこで奇妙な話を聞いたんですよね」
「奇妙な話?」
「数日前に、なにやら女帝コンビと呼ばれる少女2人組がいろいろやらかしまくっているそうで‥‥‥時期と言い、人数・性別も考えると、やけにタイミングが良くありませんか?」
ルースと学園長は互に顔を見合わせ、その話しについて思案する。
「ふむ…‥なーるほど。ちょっと気になーる話だね」
「もしかしてですが…‥‥ありえますかね?」
「ありえーるでしょうね」
互いに同じ結論に至ったことを確認し、行動に移すのであれば早い方が良いと思い、二人は学園から出て路地裏へと向かう。
ちょっと気になるというか、タイミングが良すぎるのだが…‥‥まさかね?
そんな疑問を抱きつつも、路地裏へ向けて足を速めるのであった‥‥‥‥
路地裏へ昨日訪れ、今日も訪れる。
目的はその少女たちだが…‥‥仮にも王女がそんなことをするとは考えにくい。
でも、確かめてみないと分からないからね‥‥‥
次回に続く!!
‥‥‥王女と言えば、レリアも一応帝国の王女でもあるからおかしくない話しかな?
王子たちよりも強いという部分に、ツッコミを入れていないのはなぁ…‥‥ルースの周囲の女性たちが強いから、少々認識がおかしくなっているのかもね。




