表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/339

124話

珍しくまじめな戦闘シーン。

たまにはこういう描写もしたくなる。‥‥‥が、圧倒的に分が悪い。

「‥‥‥『魔導書(グリモワール)顕現』」


 金色に輝く魔導書(グリモワール)を顕現させた後、ルースは魔導書(グリモワール)を宙に浮かせた状態でルーレア皇妃の前に立った。



「なるほど、通常の魔導書(グリモワール)では見ることない色‥‥‥黄金の魔導書(グリモワール)か。どのような魔法が飛び出てくるのかは、皆目見当もつかないが、中々楽しめそうね」


 兜をかぶっているがゆえに、その表情は見えないが、隙間から見える目は面白そうに笑っていた。




 正直言って、分が悪い。


 何しろ、ルーレア皇妃はバルション学園長のライバルと言った女性……つまり、学園長と同等の値からを持っていると言ってもいいだろう。


 そして、壁を切り裂いた技量から見ても、近接戦闘に持ち込まれてしまえば、それこそ一巻の終わりである。


 

 とはいえ、勝算はゼロではない。


 一応、これは互いの実力を見るような模擬戦で、命を奪われる可能性はないはずだ。



 ゆえに、相手の降参、もしくは戦闘不能にしてしまえばいい話だ。



 頭の中に浮かぶ魔法を一度見直し、最適なものをルースは考える。


「それでは、審判として私がやらせてもらうぞ」


 と、レリアが中央に立って、審判役を買ってくれるようである。



「頑張ってルース君!負けそうになったら降参で良いからね!」

―――――ガンバレ!!


 別の方では、エルゼとポケットから出たバトが声援を送ってくれた。


「できる限り早めに降参したほうが良いぞー!」

「可能ならその皇妃様を倒してほしい!!」

「できれば、敗北と言う味を教えてやれぇぇぇぇ!!」


 訓練場を使っていた兵士たちもなぜか声援を送ってくれたが…‥‥おい、自国の、それも兵士としては守るべき対象のはずの皇妃が負けても良いのかよ。


 しかも、どこか悲痛になっているところがあるし、普段どれだけ酷い目になっているのかちょっとわかってしまうな‥‥‥



「ふふふふ、手加減無しで良いわよ。娘の友達がどれだけの力を持つのか見たいし、あなた自身、まだまだ見せていないような力がありそうだしね」


 ニヤリと笑みを浮かべているような声を出すルーレア皇妃。


 どうも精霊の力に関しても、勘で見ぬいているようなところがある。


「‥‥‥はぁ、とりあえずお言葉に甘えさせてもらいますか」


 と言うか、全力でいかないと多分まずい。


 先ほど死ななない可能性が高いと考えたが…‥‥よくよく考えてみれば、この手の人はそんなことを考えず、全力で来る可能性の方が高い。


 そうなれば、こちらもできる限り迎え撃たないとあの世逝きになるだろう。



 そのようなことを避けるために、渋々しながらもルースは構える。



「それでは、両者とも位置について…‥‥始め!!」


 レリアが手を振りかぶって、開始の合図をすると同時にルースとルーレア皇妃は動き出した。


「はぁぁぁぁ!!」


 ルーレア皇妃はまず、一直線にルースへ向かって駆けだす。


 先手必勝と言うか、まずは距離を詰めて接近戦を行うつもりであろう。


「『マッドランナー』!!」


 いつもであれば防壁を張るが、それでは切り裂かれて意味はないと思い、ルースは異なる魔法を発動させた。



 水と土の複合魔法で、地面がドロドロの泥の河になり、ルーレア皇妃の足元に流れ始める。


「なるほど!まずは足場を奪ったわね!」


 ドロドロに流れる泥の河は、ご丁寧に沈みやすくしており、なかなか前には進めず、流されていく。


 接近戦は不利なので、遠距離から攻めていくのが良いと考えたのである。





 ここで手を緩めずに、ルースは次の魔法を発動させた。


「『スチームバースト』!!」


 水と炎の複合魔法で、水蒸気爆発を起こした後でその衝撃に指向性を持たせてぶつける魔法だ。


 しかも、熱された水蒸気が流れてくのだが、鎧の隙間から入ってくるのでサウナのような地獄となるだろう。



ドゴゥン!!

「ぐっ!!」


「連射!!」


ドゴゥン!!ドゴゥン!!ドゴゥン!!

「ぐっ!くっ!!ふっ!!なんのぉ!!」


 連続で当てていたところで、ルーレア皇妃は剣を振りかぶった。


 すると・・・・・


ズバァッ!!

「よし!衝撃波なら切り裂けるわね!!」

「無茶苦茶でしょ!?」



 ムリヤリ剣で魔法を切り裂くという暴挙に出られてしまった。


 まぁ、たかが水蒸気で出来た衝撃波なので可能なのかもしれないが、それでも無茶苦茶な事には変わりはない。しかもサウナ効果は効いていないようだ。


「そしてこの泥の河もこうすればいいわね!」


 と、そう叫んだかと思うと、ルーレア皇妃は一気に駆けぬけて距離を詰めてきた。


「嘘!?沈まないのかよ!?」

「沈む前に足を上げているだけよ!」


 どこの水の上を走る爬虫類だとツッコミを入れたいが、それどころではない。


 だが、こういう時にこそ別の方法がある。


「『ダイヤモンドダスト』!!」


 氷と水の複合魔法で、綺麗な氷の結晶が出来上がり、周囲に浮かび始める。


 これだけだとただの演出用の魔法だが、次に使う複合魔法で凶悪さを発揮する。


「『ハイドロウインド』!!」


 水と風の複合魔法が発動し、一気にできていた氷の結晶を飲み込んでルーレア皇妃の元へ襲い掛かる。



 しかし、あっさりと回避された。


「ふふふふふふふふふふふ!!接近戦で行くわよ!!」


 剣をしっかり握り直し、こちらへ振りかぶってくるルーレア皇妃。


 接近戦はできれば避けたかったが、こうなっては仕方がない。


「『ロックストライク』!!」


 岩を魔法で出して手に纏い、風魔法で浮かべて重さを軽減させる。

 

 いわば岩でできたガントレットを、その剣にたたきつける。



ドガギィィィィィン!!


 真正面からぶつかり合い、その衝撃で大気が震えた。




「おお!!まさか正面から受け止めるなんて!!」

「って、加減無しの本気の奴じゃないですかあぁぁl!!」


 ルーレア皇妃は驚いたようだが、ルースは今知りたくないことを知ってしまった。


 この皇妃、本気で手加減していなかった。


 どう見たって直撃コースだったし、ぶつかった時の衝撃は当たれば即死レベルである。


「ふふふ!互いに本気になってこそ、面白いのよね!」

「いや死にますよね!?」


 この皇妃、もしや自分を基準にしているのではなかろうか?



 とにもかくにも、命の危機を感じたルース。


 今はとりあえず、どうにかして止めるしかない。


「『ローズバインド』!!」


 木と土、水、光の4属性同時の複合魔法で一気に植物を生やし、成長させて皇妃に纏わりつかせた。


 動きを奪ってしまえば、それで勝負はつくはずで‥‥‥



「なんの!」


 ふんっ!!っとルーレア皇妃が力を入れた次の瞬間、拘束が一瞬にしてはじけ飛んだ。



「だったらこれでどうだ!『ボルトレイン』!!」


 電撃を纏った雨を降らせて、痺れさせて動きを止める魔法。


 これならば、ほぼ確実に触れて痺れて動けなくなってしまえるはずだが…‥‥ルースの思った以上hに、ルーレア皇妃は強かった。


「せいぇいぇいぇいぇいぇいぇいぇいぇいぇ!!」

「雨粒全部はじきまくっている!?」


 まさかの剣の高速切りによって、降っているはずの電撃を纏った雨がすべてはじかれた。


……そのはじかれた流れ弾のいくつかが、遠くから見ていた兵士に当たっていたが、まぁ見なかったことにしたほうが良いだろう。



「なら、『ポイズ、」


 次の魔法を発動させようとしたが…‥‥次の瞬間、ルースの周囲はひっくり返った。


「へ?」


 いや、ルース自身がひっくり返されたのである。


 見れば、すばやく接近したルーレア皇妃が背後に回って、身体をつかんで・・・・・


「バックドロップよ!!」



ドゴォォォォォォォォン!!

「ぎやぁぁぁぁぁぁあ!?」


 剣でも魔法でもなく、まさかの体術で勝負が決まった。



 この世には、まだまだ知らぬ強者あり。けれどもできれば、関わらずに平和を‥‥‥

 

 そうルースは思いつつも、そのまま気絶したのであった。




「ふふふふ、中々強かったけれども、最後がちょっと甘かったわね」

「る、ルース君!!」

「や、やり過ぎなんだけど!?」

―――――主様、ピクリトモ動カナイヨ!!


 笑うルーレア皇妃がであったが、エルゼ達は気絶したルースを心配して慌てて駆け寄るのであった。

ちなみに、何故バックドロップを決め手にしたのかと言うと、そっちの方が手っ取り早く済みそうだったからだとか。

なんにせよ、帝国に来て早々、ろくでもない目に遭うルースであった。

次回に続く!


・・・・・主人公とかって一般的に連戦連勝が多いけれども、この主人公はそうもいかないのが、現実である。

ちなみに、他の決め手案は「手刀」、「腹パンチ」、「金的」、「足払いからの剣を首元につきつける」などがあった。今回は「バックドロップ」を採用。

理由としては、ピンクの悪魔のゲーム(USDX)を久し振りにやりたくなって、その時にこんなのがあったなぁと思ったからである。下手すれば「顔面めり込みパンチ」だったかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ