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閑話 真夜中の乙女の戦い part3

まさかのpart3。


 精霊王が帰還し、静まり返ったバルスト村。


 その村の中にある自宅の自室で寝ているルースの横にて、エルゼ達は無言の牽制を繰り広げていた。




 客室の止まるのは三人で、残る一人がルースと同室。


 アバウトから言われたその言葉に、皆その「残る一人」に入りたいのだ。


 体の大きさから考えると、バトは小さいし、エルゼは平均的、レリアは胸部が大きめで、タキは大人の体格と尻尾の分の面積がある。


 それらを統合すると、実はこの四人が同室でも問題なかったりするのだが…‥‥それでも、ルースと同室になりたいという想いは譲れなかったのである。


 

 ただ、その他に抱く考えは少々異なっていた。


 エルゼは既成事実を隙あらば求めたく、レリアは自身の恋心の自覚を始めているがゆえにできるだけ同じ部屋に泊まりたいと思い、バトはルースに尽くす思いがあり、タキは現在召喚されているわけではないが、召喚主であるルースの守護を承りたい思いもあった。


 ゆえに、互いの思惑がぶつかり合い、一歩も引かない状況になったのである。




 火花が飛び散り、物理的な交戦も禁じ得ないと思ったがさすがにルースが寝ている状態なので、迂闊に暴れるわけにもいかない。


 ならば、どうやって決めようか。



 


 ルースの母親であるアバウトは面白そうに、その混戦を見ていた。


 自身が精霊王の娘であり、自身の息子であるルースが精霊王の孫にあたるという事実を告げたのに、この場にいる彼女たちは全くそのことを気にする様子がない。


 本当に、ルースそのものを見ていてくれているようであり、嬉しいのと同時にその恋模様を面白く感じたのである。


 なんというか、昼ドラ感覚というべきか…‥‥息子が誰に惹かれようとも、彼女達であるならば文句はなかった。

 

 というか、誰にルースがくっついても文句はない。




 一応、母親としてアバウトはエルゼたちそれぞれの事細かな詳細をきちんと調べ、そして記憶していたのだ。



 ミストラル公爵家の娘であるエルゼであれば、少々、いやかなりその愛は重いとはいえ、ルースを昔から想い、その公爵家の権力もある程度は扱えるので、万が一の権力闘争に巻き込まれようともある程度までならなんとかかばえるし、彼女自身の能力も高い方である。


 モーガス帝国の王女であるレリアであれば、一国の王女で戦姫という名も付いていることから権力も能力の高さも折り紙付きで、エルゼとは違った新鮮さがある。彼女自身は恋心に関して少しづつ認めてきているようだが、その様子を観察するのもなかなか面白いのである。


 妖精のバトであれば、今のままでは…‥‥まぁ、小さな娘という扱いなのかもしれないが、もしかすると人と同じサイズになる大妖精になる可能性がある。そうなれば、物理的にも結ばれることは可能になるはずだし、ルースは精霊王の血をひくので、精霊と妖精は似て異なるが相性としては悪くないはずなのである。


 国滅ぼしのモンスターであるタキであれば、種族はモンスターだが人間と結ばれても問題はないし、国を滅ぼせている時点で圧倒的な力を確実に所持しており、この中では大人の魅力と落ち着きがあふれている。



 誰がルースと結ばれようが、中々いいことづくめばかりだ。


 まぁ、今後も増える可能性があるかもしれないが‥‥‥‥今のところ、ルースの嫁候補としては、皆合格であるとアバウトは考えていたのである。




 とにもかくにも、今はその面白そうな恋模様はおいて、今晩の宿泊場所が問題である。


 誰が客室に泊まり、そして誰がルースの横を独占できるのか…‥‥互いに譲らないこの状況では、もしかすると朝日が昇るかもしれない。


 早めに寝たほうが美容にもいいし、できるだけ早く決定してほしいところで…‥‥何やら決まったようだ。



「‥‥‥じゃあ、恨みっこなしよね?」

「ああ、絶対に何度も繰り返さずに、この一度に全てをかける」

【これならば公平だし、文句はないのじゃ】

―――――皆、手ガアルカラ出来ルネ!!


 気のせいだろうか、彼女達がものすごい熱気を放っているようにアバウトは思えた。


 互いの闘志が燃え上がり、大気を揺らしているのであろうか。


 それだけの気合いを入れる勝負とは‥‥‥‥



「最初はぁぁぁぁ!!」

「グゥゥゥゥ!!」

【ジャァァァァァン!!】

―――――ケェェェェン!!




 互いに声を出し合い、気合いの嵐が吹き荒れ、そして静寂が訪れる。


 次の一手で勝負が決まるために、それぞれ集中力を高め、同時にその時を待つ。




 たった数秒のはずなのに、まるで数時間にも思えるような緊張が張り詰め・・・・・・



「「【-----ぽぉぉぉぉぉぉん!!】」」

 

 四人一斉に声を上げ、それぞれがその一手を繰り出した。


 エルゼはグー、レリアはパー、タキはチョキに、バトはグー。



 互いに手を確認し、無言になる。




……それから99回、決まるまで彼女たちはじゃんけんを繰り返した。



 そして、100回目。


 ついに、勝負が決まった。



【よっしゃぁぁぁぁぁ!!我の勝利じゃぁぁぁぁぁぁ!!】

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「しまったあぁぁぁぁぁ!!」

―――――絶望。



 タキが勝ち残り、ルースと同室で寝る権利を勝ち取ったようである。


【ふふふ、では布団を敷かせてもらおうかのぅ】



 嬉しさを隠さず、タキが彼女達に背を向け、寝床を作ろうとしたその時であった。



 時間にしてコンマ数秒。


 それだけの短い間に残った三人が目を合わせ、何かを示し合わせる。


 そして次の瞬間、一斉に三人はタキへ飛び掛かり‥‥‥









「‥‥‥あらあら、みんな仲良く寝ているわね」


 じゃんけんがそろそろ終わった頃合いだと思い、アバウトが見に行くと客室の方にエルゼ、レリア、バトがそろって寝ていた。


……頭に大きなたんこぶを作って、気絶しているようにも見えたが、特に気にしないことにしたのであった。

……これでも、この中だと実力としては上の方だったんだよねタキ。

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