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第19話 棋士はパーティを組む



 御礼の為にギルドの近くにあるカフェへ一緒に行くことに。


「好きなのように頼んでもいいわ」

「あー、ご飯は食べたばかりだからコーヒーだけでいいよ」

「そう? 探索者ならもっと食べた方がいいわ。カロリーを結構使うから」


 圭はもっと頼みなさいと言われてもお腹は空いていないから頑としてコーヒーだけ。玲奈の方はまだ食べていなかったからなのか、色々と頼み始めた。料理がどんどんと運ばれ、見ただけでも3人分はあった。


「そんなに食べるのか…………」

「えぇ、私はある理由からお腹が空きやすいの。18歳と若いのもあるけど」

「空きやすい? 体質……いや、スキル関係か?」

「当たり。良くわかったわね?」

「そりゃ、スキルには様々な能力があるから魔力以外に別のエネルギーを使う可能性もあると思ったからな」

「そう。私は食事関係から得たエネルギーを使うスキルがあるわ。それよりも、本当に1週間しか経っていないの?」

「ほい、登録した日がギルドカードに書いてあるだろ?」

「…………本当に1週間も経っていなかったわ。今は何処まで?」

「地下11階までは行っている。今日は地下12、13階ぐらいは行こうと思っている」

「…………1週間で地下11階は速すぎる。そして、『特殊探索者』も書いてあった。何か秘密がある? 気になるわね…………」


 進んだ階層を教えると玲奈は考え込んだ。そしたら、笑みを浮かび始めた。何を考えて笑みを浮かべたんだと思っていたら…………




「圭、私としばらくパーティを組まないかしら?」




 なんと、Aランクである彼女からパーティを組まないかと誘いがあった。しかし、パーティを組んでもお互いに利益がないのはわかっていた。玲奈もわかっている筈だ。


「理由は?」

「そうね。ギルドカードに『特殊探索者』もあったから話しても大丈夫ね。もうすぐで転換期があるから、それまではここを拠点に潜っているの」


 玲奈も『特殊探索者』であり、転換期のことは知っていた。


「ギルドからの依頼で?」

「それはもう終わったけど、また変異種が出たら依頼が来るから他のダンジョンへ行くと面倒なのよ。依頼がない時は暇なのよ」

「それが俺とパーティを組むことに繋がる?」

「貴方のことが気になるから。それに、転換期の時にもしかしたらパーティを組むかもしれないし。その練習だと思えばいいわ」

「練習って……それにAランクとEランクが組むことはないだろうが…………」


 圭はまだパーティを組んだことがない。練習をしてみるなら圭にとっては経験になるかもしれないが玲奈には利益がない。

 玲奈にしたら気になるから組みたいだけだから、玲奈の利益は気にしなくてもいいが…………


(うーん、スキルとかはどうせ転換期の時にバレるから気にしなくてもいい。しかし、練習でも実力に差がありすぎると経験にはなるか怪しいな…………)


 しばらく考えて、出した結果はーーーー


「わかった。取り敢えず、今日は一緒に潜ってもいいが明日からは今日の結果から考えさせて欲しい」

「お、それならいいわよ。潜る階層は貴方に合わせるけど、貴方の強さから地下12、13階では話にならなそうよね」

「む? そうなのか?」

「うん、私の『竜眼』で圭の力が見えるの」


 玲奈が持つスキルの1つ、『竜眼』は相手の放つオーラによって強さの基準がわかる。


「私の判断だけど、地下15階までは余裕で行けると思うわ」

「ふむ…………昨日の手応えなら玲奈の言う通りかもしれないが、俺は魔物との戦闘経験が欲しいから出来るだけ初見の魔物とは戦うようにしたい」

「戦闘経験ね、いいわよ。1体ずつでもいいよね?」

「あぁ、それで構わない」


 圭はAランクの探索者、玲奈とパーティを組むことになった。パーティを組むことで経験になるとわかったら明日以降も組むことになる。階層はこちらに合わせてくれるので、地図を地下20階まで纏めて貰っておく。






「地下11階以降にいる魔物は硬い魔物が多くなるけど、その対策は問題ない?」

「対策と言うか…………見て貰った方が早いな」

「そう? メタルタートルとの戦いで見せて貰うわ」


 最初の戦いはメタルタートル。圭は強いといえ、硬い甲羅を何とかするのは無理だと玲奈は思っていた。




「いた。これが俺の武器だ『赫燐刀』と『碧峰刀』!」

「えっ!?」


 玲奈は『鋼蜥蜴の篭手』やギルドの時で見た動きから、圭は格闘技で戦うタイプだと思っていた。しかし、手から双刀を出すとこを見て驚いていた。


「それって、魔剣……いえ、魔双刀じゃない!?」

「たまたま魔物通路にあった宝箱から手に入れた。ほいっと」


 既に『歩の基盤』を発動しており、メタルの甲羅をスライスするように3枚へ卸した。メタルタートルは耐えられる訳もなく、煙になって消え去った。


「まさか、貴方も持っていたのね」

「ん? もしかして……」

「私も魔刀を持っているのよ」


 前に見た太刀が玲奈の手に現れた。


「私の魔刀『鬼桜刀』。私の相棒よ」


 綺麗なピンク色をした波紋が映えており、綺麗だった。名前は物騒だが、手に入れた魔双刀と違い鍛えられた魔刀から驚異なオーラを感じた。


「魔双刀を持っていたなら、ここの地下15階どころか地下20階も余裕で突破出来るわ。切れ味だけでも初心者のダンジョンにいる魔物は簡単に斬れるもの」

「やっぱり、桁が違う訳だな。でも、使い手は素人だから勘違いしないでくれよ」

「そう? 充分に動けているから問題はないと思うけど」

「あー、それはスキルのお陰でな」

「やっぱり、幾つかスキルを持っていそうね。…………色々と1週間にしては早過ぎるけど」


 圭の戦い方がわかった所でホワイトタイガーは戦う理由がないので、2人は地下12階へ向かうことにしたーーーー









次は明日の7時に投稿します!

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