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わがこえ わがねがいを



 時刻は17時。


 辺りはすっかり闇に沈んで隣に立っている大八さんの顔も良く見ないと判別できないくらいだ。

 それでも太陽の残した光が西の端の方で空を僅かにすみれ色に染めている。

 東側はすっかり藍色から闇色へと変わっていて、澄んだ空気の中でチカリと星が瞬いたように見えた。


「始まったぞ」


 少し掠れた大八さんの声を合図にしたかのように白く細い輝きが東の空を切り裂いた。


 光の尾を引いて吸い込まれるように高く飛ぶのは宗明さんの放った矢だ。

 彼のように迷いなく真っ直ぐに進んでいく。


 次は南の空を伸びやかに隆宗さんの矢が射抜いた。

 紫がかった光を帯びて。


 西の方へ朗々と歌うように楽しげにぎゅんっと途中で跳ね上がった矢を射たのは隆宗さんの弟さんである達真さんのもの。


 西に放った矢の余韻が消える前に北の空を少し逸って、でも堂々と素早く射抜いたのは宗春さんの矢。


 そして私たちの背後にある千秋寺の方から正面にある龍神池へと天音さまの決意の矢が引かれた。


 龍神池を中央に据えて射られた五本の矢は結界となって、多少激しく暴れても商店街への影響を減らしてくれるらしい。


 結界の儀式は済んだということはいつでも乗り込んでいいってことだ。


 少し早足で大八さんと商店街へと向かい、本来なら人がたくさんいるはずの静かな通りを横切って居酒屋狛井の脇にある小さな路地にひっそりと建つ鳥居の前に立つ。


 今まで何度も来ていたのにそこに鳥居があるなんて初めて知った。

 住民以外には見えないように目隠しの術がかけられていたそうなので気づかなくて当然なんだけど。


 私は目の前にある石づくりの鳥居を前にごくりと喉を鳴らす。


 苔生こけむした石の鳥居にかけられている額に微かに浮かび上がる龍神池という文字を見上げてぎゅっと奥歯を噛みしめた。


「大丈夫だ。紬はおれが護る。あの犬っころより役に立つってことをやっと証明できるチャンスだからな。任せておけ」


 背中を大きな手でぽんっと叩かれて私の足は自然と前へと出る。

 足を揃えてもう一度鳥居を見上げ、そして正面を向いてゆっくりとお辞儀をした。


「お邪魔します」


 姿勢を正して大きく息を吸い先が暗くて見えない鳥居を潜った。


 足元はアスファルトじゃなくて踏み固められたような地面が続いていて、商店街の灯りも届かないのか歩くのも不安になるほど暗い。

 振り返れば街灯に黒く切り抜かれたかのように鳥居の影がくっきりと見えるのに。


 明らかに不思議を通り過ぎている事象に普通の人なら震えあがって商店街へと回れ右するレベルだ。


「もう少し行けば灯篭に火が入っちゃいるが、紬は夜目が効かねえから不便だろう」


 そういって大八さんが頬を膨らませてふうっと吐きだすと、勢いよく炎が唇から飛び出しクルンと丸まって火の玉になった。


「わっ!すごい」


 さすが火車の妖怪だ。


 ふよふよと空中を漂うそれは赤くなったりオレンジ色になったり。

 一定の大きさと明るさと距離を保ったまま私たちが歩く先を照らしてくれる。


「便利ですね」

「さっそく役に立ててなによりだ」


 白い歯を見せて笑う大八さんはどことなく嬉しそうだ。

 その笑顔に私の心も軽くなって自然と笑えた。


 二人並んで歩くにはちょっと狭い路地なので私の前を大八さんが歩いて、その後ろをついて行く感じなんだけど、両端の板塀がいつのまにか竹でできた柵になっていて、ねっとりと纏わりつくような湿気が土の香りをぷんっと強く感じさせてくる。


 足の裏の感触も固いものから濡れた柔らかい土を踏んでいるようなものに変わった。


「これが第二の鳥居」


 大八さんが足を止めて見えやすいようにと体を横に向けてくれる。


 そこには木でできた黒っぽい鳥居が立っていて、入口の小さな石の鳥居と比べたら相当大きい。

 柱は私が抱きついて漸く指先が触れるくらいの太さがあるし、暗い中で見上げる鳥居はすごく高く押し潰されそうだ。


 鳥居から先は不揃いだけど石が敷かれ神社の境内って感じがするし、奥に階段があってその登り口の所に石灯篭がゆらゆらと火を揺らしながら灯されている。

 炎が風で動くたびに影が濃くなったり、黒味を帯びた紅色に石段がじわじわと染まったり。


 怪しくも美しいその光景は後戻りするならば今の内だぞっていう最終警告のようだ。


 私は深呼吸をして再び鳥居を潜る。

 進むためにここまで来たんだから。


 階段までは五十四歩。

 そして急な階段がなんと三百段。

 千秋寺の階段や山道で鍛えられてなかったらきっと途中で音を上げていたかもしれない。


 それでも息が上がっていて、じわりと全身に滲む汗が気持ち悪く感じる。

 登りきったところで呼吸を整えながら周囲へと視線を動かしてみた。


 石灯籠はポツリポツリと必要な場所へと誘うように設置されていて、まずは左手にある手水舎の方へ、そして次に右側の拝殿へと誘導されるようになっている。


 私たちは作法通り手水舎の方へ行ってみたけどそこは空っぽだったので清めることは諦めて拝殿へと進む。


 十段ほどの階段を上って少し開けた場所にある拝殿の屋根は茅葺でどっしりとした木造の社殿は小さいながらもとっても立派だ。


 下がった古びた鈴も飴色になった賽銭箱も。

 どれも歴史を感じさせながらもちゃんと手入れされ、格子になった板戸も回り廊下も埃ひとつなかった。


 感動しつつも誰が管理しているんだろうって考えた所で拝殿の左横から声をかけられる。


「あまりにも遅いので怖気つかれたかと」

「あ、いえ。すみません。遅くなって」


 慌てて謝罪しながらそちらを向くと白い着物に水色の袴を着た男の人が立っていた。

 少し厳つくて無愛想ながら口角だけはくっと上がっているその顔はどこかで見たような気がして私は首を傾げる。


「紬は色んなもんが見えるったって人間だぞ?あんな真っ暗な中を歩いて来させておいて遅いはないだろうが」

「おや?そのために主がいたのでは?」

「そりゃそうだが、足元が不確かな中急がせて怪我させちまったら意味がないだろ」


 いちいち嫌な言い方しやがってと舌打ちする大八さんを険しい眼差しのまま受け流して男の人は仕草だけでついてくるようにと示して歩き出す。


「神域を守るいぬは使命重視で頭が固くていけねぇ」

「神域を守る狗?」

「ああ。神社に必ずいるだろ?狛犬・獅子ってやつが」


 うん?

 ということは前を行く男性はその狛犬・獅子という神獣ってこと?


「おっと。もう一匹もおでましだ」

「え?でももう一匹って、あれは」


 男性が拝殿をぐるっと迂回したのに続いて曲がるとそこには池があって、拝殿裏から舞台がせり出すように作られている。

 その拝殿と舞台の境にある篝火の傍に小柄な巫女さんが待っていた。


 丸顔で大きな目の可愛らしいその女の子は居酒屋狛井の看板娘百花ちゃんで、驚くとともに男の人をどおりで見たことがあるはずだと納得する。


 大将は調理場で料理を作っていることが多かったけど、百花ちゃんがお客さんの注文を聞いて出来上がった料理が運べない時には裏から出てきていたのでカウンターに座っていた私の前を通ったことも一度や二度あったから。


 でも、そうか。

 菊乃さんとお喋りした後お店の前にいた百花ちゃんのあの態度。


 当然だよね。


 大切な龍姫さまを窮地に追いやった私のこと憎くて仕方がないはず。

 分かっていてもあの愛らしい笑顔を向けられることはないんだっていう事実は胸の奥に重しが沈むような心地がする。


 玉砂利を踏みしめて百花ちゃんが足を踏み出しこっちへと向かってきた。


 白い着物に緋色の袴が良く似合っていて、ふっくらとした頬やぽってりとした唇に影が落ちてなんとも神秘的だ。


「神楽舞はすでに始まっています。どうぞお役目を果たしてください」


 百花ちゃんの硬い声は耳の奥でツキンと小さな痛みを残す。


 ぐずぐずしていたつもりはないけど、急いできたかと聞かれるとごめんなさいって謝るしかないので頷いて更に奥へと向かう。


 一歩、一歩進むたびにゆったりと打つ太鼓の音や涼やかに鳴る鈴の音、そして鋭く高い笛の音が聞こえてくる。


 等間隔で並んでいる篝火に周りを囲まれて舞台の上は赤く照らされていた。

 その上で巫女装束の上に薄い布を纏った花屋のお姉さんと多恵さんが優雅な動きで舞い、手にした金色の鈴を時々奏でては息の合った踊りを披露している。


「二人とも綺麗」


 ゆったりとした動作は激しさなんか少しも感じさせないのに、凛とした眼差しと姿勢が見る人全ての心を動かし、手首を返して鈴が震える音は緩みそうになる空気を打ち据えて厳粛な流れにしていく。


 見惚れている場合じゃないのに足を止めて見入ってしまう。


 お姉さんと多恵さんが向かい合って鈴を天に掲げた所で、笛が低いとこから高いところまで急に音を跳ね上げてはっと我に返る。


 反射的に音の方へと視線がそちらへ移動し、舞台の端で横笛を演奏しているお腹がふっくらと出たおじいさんと目があった。

 おじいさんっていっても肌艶が良くて目も黒くて力があったから、一般的なおじいさんとはちょっと印象が違う。


 笑ってくれればきっと気のいい優しそうなおじいさんなんだろうけど、白目が見えるくらいに大きく目を見開いて見下ろされては足が震えてしまうほど怖かった。


「あれは商店街の妖の中で一番の古老」


 大八さんがそっと耳打ちして教えてくれて、その“古老”という響きに宗春さんの言葉が蘇る。


「確か反対していた妖の」

「そうだ。そして隣にいる太鼓を打ってる奴がパチンコ屋の守銭奴の狸だ」


 うう。

 どっちも反対してた妖の方たちだ。


 太鼓を叩いている男性の大きな顔には無精ひげが覆い、少し寄り目の目尻が垂れていてちょっと愛嬌がある。

 おじいさんとは違ってこちらに興味がないのか一心にお姉さんと多恵さんを見つめていた。


 そのことにほっとしながら大八さんに無言で促されて舞台から顔を背ける。


 じゃりしゃりじゃりって音を立てながら舞台のせり出している先にある池へ。

 篝火は舞台の周囲にしかないからまた大八さんが火の玉を出してくれる。


 今度は二つ。


 先導するように少し前を照らすのと歩きやすいように足元を照らす火の玉。


 こうして歩いていると池は結構な大きさがあって、背の高い木々が水面に濃い影を落とし、夜空を映したとっぷりと水が表面を風で撫でられ柔らかな波紋を刻んでいる。

 池の中央の島に小さなお社と赤い鳥居があって、舞台の正面とぴたりと向き合っているからあのお社が龍姫さまをお祀りしている本殿なのかな。


 そこだけは真っ暗な中でも青白く浮かび上がっている。


 池が見える場所にいればどこからでも視界に入るし、見失うことはないからここでもいいかなと立ち止まった。


 正面にお社の横側が見えて右の視界の端に舞台が入る位置。


 横側だけど一応少しお社の入口の扉が見えなくもない。

 問題はそこじゃないからね。


 龍姫さまが私と繋がってくれるかどうか。


 そこが一番不安な所だ。


「じゃあ、行きます」


 大きく息を吸って意識してゆっくりと吐き出す。


 目を閉じて。

 いち、に、さん、し、ご。


 瞼の裏に龍姫さまのお社と鳥居を映し出して。

 いち、に、さん、し、ご。


 水の音。

 緑と土の濃い匂い。

 太鼓と笛、そして鈴の音と舞う二人の足を運ぶ衣擦れと微かな呼吸まで聞こえる。


 しずまりたまえ

 しずまりたまえ


 わがこえ わがねがいを

 ききとげたまえ


 舞と楽だけの歌無き願いが一打ちごと、一音色ごと、一舞ごとに零れ落ち、無垢な祈りは大気に融けて池の水へと降り注ぐ。


 龍姫さま。

 龍姫さま。


 どうかもう一度私にチャンスをください。


 きっとお怒りでしょう。

 それでもどうか。


 お願いします。


 龍姫さま――。


 一瞬の浮遊感というか酩酊感というか。


 ぐいっと意識を引っ張られて気づいた時には体温を奪っていく真っ暗な水の中にいた。

 正面にある闇が凝ったような淀みから金色に輝く一対の眼がこちらを睨んでいて、ギラギラと瞬くたびに深い黒色が膨らんだり縮んだりする。


 水槽の手入れを怠った時のような、生き物が腐ったような匂いがして胸が悪くなるのを必死で堪えて呼びかけた。


「龍姫さま、ですか?」


 その大きさは人のそれを超えていて、瞳の色さえかつての姿とは違っているのに目の前にいるのは間違いなく龍姫さまだと感じた。


 影は痛みと苦しみを堪えるためにか獣のような唸り声をあげて、抱えた怒りと恨みを垂れ流すために大きな口を開く。


 口中は血の色の深紅。

 ずらりと並ぶ真っ白で鋭い牙。


『なにしに来よった。せっかくよしみを結び良好な関係を築かんと思っておったものを』


 よりによって裏切るとは。


『あな憎し』


 ズルリ、ズルリと長いものを引きずるような音が響いて地面が揺れる。


『あな恐ろし』


 塊だった闇がゆっくりと解けて細く長くなり、金の瞳が右側へと回り込みながら私の背後を通って左後ろ側からじっとりと顔を覗くように近づいてきた。


 手足の先から冷たさが沁み込み、骨の髄まで凍りつきそうだ。

 膝の震えが止められなくて泣きそうになる。


 だめだ。

 しっかりしなくちゃ。


「どうか、私の話を、聞いてください」

『言い訳か?謝罪か?悔恨の情にかられ、その身を捧げに来たのであれば聞かぬでもないが』


 違うのだろう?


『小癪な坊主どもの入れ知恵で人の身に余る力をふるおうとするから過ちを犯すのだとなぜ分からぬ』


 愚かなり。


『それともあの坊主には私がお前を喰らうことも想定の内なのかもしれぬな』

「憎しみのまま私を食べれば、龍姫さまは戻れなくなります。そんなことは望んでいません」


 堕ちかけていても龍姫さまはまだ神性さを失ってはいないはずだ。

 完全に理性を失くしているのなら天音さまは動くから。

 それにお姉さんや多恵さんも舞台で龍姫さまへの祈りを舞ってくれている。


 だからまだ大丈夫。


「どうか私の話を聞いてください」


 再度の懇願。


 それに龍姫さまは『あな醜し』と忍び笑いを漏らして、ズルリズルリと正面の位置へ。

 金の眼を細め赤い舌をちらりと覗かせ上唇を舐める仕草は艶やかで怪しい。


『お前は私の愛しい語り部でもなければ住民でもない。なれば図々しい頼みや鬱陶しい語りなど聞く道理はないの』


 ニタリと笑う頬に乱れた髪がはらりと落ちて龍姫さまの顔を隠し、私の周りにある水にぐっと圧力がかかった。


 やばい。

 追い出される。


 浮こうとする足元をなんとか踏ん張って必死で抵抗しても身体全体を持ち上げるように押されては難しくて。


「まっ、待って!龍姫さま!話というのはその語り部のことです!会いたくはないですか!?時を止めて欲しいと願って戦場へ行った幸広さんと!」


 ジタバタと手足を激しく動かしながら叫んだ内容に龍姫さまは興味をそそられたのか。

 上向きの力が弱まって、少し浮かんだままの状態で止まる。


『私がどれほど呼びかけても戻らなんだのにお主にできると?』

「――はい」


 緊張のあまり声が上擦っていたけどちゃんといえてほっとした。

 自信がないとか、できないとか、そんなこと考えちゃいけない。


 宗春さんは勝てない賭けには絶対に乗らない人だ。

 勝機がある、少なくともやる価値があるから私を送り出したんだと信じて。


 やる。


「龍姫さまが池にお籠りしたのに力が戻らず、千秋寺の水が枯れたってことはまだ商店街の時間の流れを止めるために力を使っているってことですよね?」


 人間でも使った体力や気力は眠ったり休んだりすれば回復する。


 池の底に籠って出て来なくなったってことは恐らく龍姫さまにとっては睡眠や休息に値する行為だと思う。

 余計な力を使わずにじっとしていれば妖だって回復するはずだから。


 なのに力が戻るどころかどんどん弱っていく。

 それはつまり時に干渉することを続けているってこと。


『死地へと赴く語り部を送り出すしかならなかった我が無力。我が悲しみ。我が痛み』


 その命を救えぬのならばせめて望みを叶えてやりたい。


『それがたとえ禁忌といえど』


 語り部の願いは叶えねばならぬ。

 語り部の呼びかけには必ず応え、でき得る限りの加護を与えねばならぬ。


『古より彼らと結んだ約定であるからな』

「つまり誓願を立てた語り部にしか破棄することはできないってことですよね?」

『そうだ』


 むっつりとした声のする方へ上半身を折り曲げるようにして顔を向ける。

 上手く笑えているかどうか分からないけど頬を持ち上げて龍姫さまを見つめた。


「じゃあやっぱり幸広さんに来てもらわなくちゃ。龍姫さまも商店街の人たちも天音さまも救われませんしね」


 不敬だと怒られてもおかしくないけど、私はやっぱり龍姫さまが道を外れて妖魔化するのはイヤだし、温かい商店街の人が変わってしまうのもイヤだったし、優しい天音さまが姉である龍姫さまと戦うことになって傷つくのもイヤだから。


 私と白が幸広さんと龍姫さまを会わせられればほとんどの問題は解決する。


「どうです?会いたいですか?」


金の瞳を血走らせ喉の奥からシュウシュウという音を出しては悩み、考えている龍姫さまは結局決めきれずに苦しそうに問う。


『なにが望みだ?』

「そうですね」


 疑っている龍姫さまに私は眉を下げて小さく笑う。


「龍姫さまと天音さまが争わなくてすむこと、ですかね」


 本心からの言葉なのに『それは真のことか?』なんて邪推されてしまった。

 だってさ。

 姉妹喧嘩の原因になった身としては、できれば話し合いで済むならその方が良いわけで。


「私にも妹がいて、つい最近まで反抗期の妹とは上手くいっていなかったので龍姫さまと天音さまには仲の良い姉妹でいて欲しいんです」


 信じてもらえたのかどうか微妙だけど、不安定な体勢だった状態からふわりと固い場所へと足を落ち着けることができた。


 そして。


『よかろう』


 と龍姫さまが重々しく呟いた。

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