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可愛いは正義 眩しいのは誰?




「おう小宮山ちゃん久しぶりだな!」

「ひどい風邪引いてたって聞いたけどインフルか?」

「あ、いや。インフルでは無かったですが……。ご心配おかけしました」


 従業員のおじさんたちがゾロゾロと出勤してくると、私の姿を見て驚いた顔をしつつ口々に「もう大丈夫なのか」とか「思ったより元気そうじゃねぇか」と声をかけてくれる。

 現場で身体を使って働く人たちだから見た目は日に焼けてごついけど、みんな気さくで明るいいい人たちばっかりだ。


「小宮山ちゃんがいない間あかりが機嫌悪くて怖いったらなかったぜ」

「悪かったわね!怖くて」

「いや、それは私の分の仕事までやらなきゃいけないから高橋先輩が苛々するのも仕方なくってですね」


 事務関係はどうしても月末や月初めが忙しいのに、私はその月末時期にお休みさせていただいたので本当に高橋先輩には頭が上がらないんですけど。


「お前少し痩せたんじゃないか?一週間も休んだから相当きつかったんだろうなぁ」

「えっと」


 痩せたのはきっと断食と規則正しい生活と適度な運動をしたからだと思います――とはいえないのが辛い所。

 仕方がないのであははと笑って誤魔化しておく。


「無理すんなよ?病み上がりってのが一番危ないんだからな」

「はい。ありがとうございます」


 丁度話が切れた所で社長がやってきて今日の現場での予定と注意事項を伝えるための朝礼が始まった。

 私と高橋先輩も後ろの方に並んでそれを聞き、安全のための標語を一緒に読み上げる。


 その後おじさんたちはそれぞれ喋りながら――雑談だったり、仕事の確認だったり――事務所を出て行った。

 みんな会社の車に乗り換えて現場へと向かうから、騒がしさが消えてちょっと寂しいくらいになる。


「仕事する前にちょっとコーヒーでも飲もうか」

「あ、じゃあ私淹れてきます!」

「いいから座ってなさい。紬は休んでたぶん今日の仕事の段取りを確認しといて」

「……すみません」


 高橋先輩は小さな流し台と一口しかないガスコンロが置いてある給湯室へと消える。


 その後ろ姿を興味深そうに見ているハクの頭に手を伸ばして触れると柔らかい毛がとても心地いい。


 癒される。

 こんな素敵な妖がこれからはいつも傍にいてくれるなんて私はやっぱり幸せ者だ。


 みんな心配してくれて、一週間も休んだ私を責める人は誰もいなくて。

 恵まれてる。

 職場にも人にも、妖にも。


「感謝しなきゃね……」

「小宮山ちゃん」

「ふひゃっ!?」


 突然呼びかけられて飛び上がるほど驚いたけど、そうだった社長もまだ事務所にいたんだった。


 そんな中で人には見えない白の頭を撫でるなんて!

 失敗した。


 変に思われてないかな?


 ゆっくりと顔を向けると社長は人の好さそうな顔に笑みを浮かべている。


 うん。

 恐ろしく普通だ。

 平常通り。


 ということは別に不自然なようには見えてなかったこと……だよね?


「な、なんでしょうか?」

「うん。休んでた分の有給の申請書はあかりちゃんに忘れずに渡しておいて。じゃないと有給扱いにできないから」

「あ、はい。ありがとうございます。すみません。一週間もお休みいただいて。あ、そうだこれ!」


 慌てて用意してもらった菓子折りを差し出すと社長は「気を遣わなくてもよかったのに」と恐縮しながらも受け取ってくれた。

 そこに高橋先輩が戻ってきて「あ!そこのすごく美味しいんですよ!」と目をキラキラさせて包み紙を見つめる。


「じゃあ、これ好きなように分けて食べていいから」

「ありがとうございます!」


 私の目の前で菓子折りは社長の手から高橋先輩の手に渡る。

 もちろん先輩が全部独り占めするわけじゃない。

 一番に開けることで好きなものを自由に選べる権利が貰えるだけなんだけどね。


「小宮山ちゃんほんと、無理しないでいいから。辛かったら早退しても構わないんだからね」

「はい」


 社長は少しだけ心配そうな疑わしそうな感じで私の顔や様子を見て、高橋先輩にチラリと目配せしてから「営業行ってくるからよろしく」と言い残して出て行った。


 なんかもうね。

 体調不良で休んでいたわけじゃないから本当に申し訳ないんだけど、その分ちゃんと働くことで恩返しするしかない。


 しかし罪悪感がすごすぎる。


 立ったまま項垂れていると先に席に着いた高橋先輩が「座ったら?」とすすめてくれたので自分の席に座った。


 あ。

 なんか久しぶり。

 でもやっぱり落ち着く。


 じわじわと戻ってきたんだという感覚が沁みてきて、悶々としていたあれこれが少しずつ薄れていった。


「あの、先輩」

「なに?」

「メールも電話もありがとうございました。返せなくてすみません」


 宗春さんから返してもらった携帯には毎日高橋先輩からの安否を確認するメールや留守電が入っていた。


 たくさんの私を思って綴られた文字や言葉は優しくて温かくて。


 なのにそれを無視し続けた――取り上げられてたから仕方ないんだけど――私をこうして前と変わらず接してくれる先輩は強くて大人だ。


「具合が悪い相手に返事しなかったからって怒るのって理不尽でしょ。そりゃ心配したけど、紬は実家暮らしだからちゃんと家族が傍に着いててくれるから」


 高橋先輩は独り暮らしだから体調崩した時はご飯や薬を飲むのも大変だって常々言ってたからなぁ。


 病気の時はただでさえ心細くて不安だし。

 今度先輩が調子悪い時は私が駆けつけてなにか手助けできたらいいな。


「それより仕事の話」


 コーヒーを飲みながら高橋先輩がここ一週間の出来事や私が受け持っていた分の仕事を代わりにやってくれたことの報告をしてくれる。


 私が来るまで先輩がひとりで全部やってたし、それを少しずつ様子見ながら任せてくれるようになった仕事だから大変だっただろうけど何事も無く終わらせてくれていた。


 逆に小さなミスや勘違いを指摘され、ここはこうした方がいいっていうアドバイスをいただいたくらいで。


 いやはや。

 本当にありがたいです。

 できる先輩に感謝。


 それから通常業務に戻って集中してたらあっという間にお昼の時間になった。

 高橋先輩はいつものようにコンビニに向かったので私はお茶の準備をする。

 午前中に一度顔を見せた専務の真琴さんも大丈夫そうだと思ったのか、家事をしてから三時頃に戻ってくるからといって帰って行った。


ハクは大丈夫?お腹空いてない?」


 お湯が沸くのを待ちながら横でお座りして見上げている白銀の狼に確認すると、鼻先を横に振って尻尾をわさわさと揺らす。


「じゃあ小人さんたちにはこれ」


 真琴さんが来た時に三人で開けた菓子折りの中から三つ選んだクッキーの袋を開けて少しずつだけど食べてもらう。


 バタバタしててなにも用意できなかったから、帰りにスーパーかコンビニに寄ってなにか小人さんたち用に買って帰ろうかな。


「家に牛乳くらいはあると思うけど、お菓子は無いと思うし」


 ごめんねと謝ると小人さんたちはきょとんとした顔で首を傾げて。

 その後で「べつにいいよ~」と言わんばかりににこにこ笑ってくれる。


 うう。

 可愛い。


「ただいま。紬?」

「あ、ここです!お茶淹れようと思って」


 帰ってきた先輩が姿の見えない私を心配してくれたようなので、直ぐに返事をして顔を見せるとほっとしたように笑って「デザート買ってきた」と袋を掲げた。


「シュークリーム。一緒に食べよ」

「いいんですか?」

「もちろん。いくら私でも二つも同じの食べたくない」

「じゃあいただきます。先にご飯食べててください」


 湯気を吹き上げ始めた薬缶の火を止めて、用意していた湯呑に湯を入れて少し冷まし急須の中へと入れる。

 それから湯呑に交互に注ぎ分けて出し切り、お盆に乗せて席に戻ると先輩はおいなりさんと巻きずしが入ったお弁当を美味しそうに食べていた。


「どうぞ」

「ありがと」


 う~ん。

 ちょっとそのおいなりさんは油が多くてギトギトしてるなぁ。

 コン汰さんが作った方が断然美味しそうだ。


 まぁコンビニのお弁当だからコン汰さんのおいなりさんと比べるのはかわいそうか。


 私もお母さんが用意してくれてたお弁当を机の上に出して蓋を開ける。

 そこには俵型のおにぎりが三つ。

 海苔とゆかりとわかめは私が好きな取り合わせで。


 いつもは入っているはずのからあげやウィンナーは入ってなくて、卵焼きと里芋の煮物、ブロッコリーというなんともシンプルで優しいおかずだったから、もしかしたら宗春さんに聞いてたのかもしれない。


 想像つかないけど。


 大体宗春さんがお父さんやお母さんに挨拶したっていうのも信じられないんだけど、よくよく考えたら愛想良いしお喋りも上手だから社交性が皆無ってわけじゃないんだよね。


 笑ってても目の奥が笑ってないこと多いけどさ。


「大丈夫?食欲ない?」

「え?あ、すみません。考え事してて。大丈夫です。食べます」


 慌てて「いただきます」してから久しぶりのお母さんのお弁当に手を着ける。

 程よい塩加減や握り具合のおにぎり、ちょっと甘めの卵焼き、しいたけだしの里芋の煮物はもっちりとしてて――やっぱり好きだ。


 ブロッコリーの絶妙な茹で時間すらお母さんを感じて。


「おいしい……」


 泣きそうになって慌ててお茶を飲みながら天井を見上げる。


 ああもう。

 最近ちょっと涙腺緩すぎだ。


 こんなに感激屋じゃなかったと思うんだけど。


「先輩?どうしました?」


 視線を感じて横を向くと高橋先輩がニコニコと機嫌よく笑っている。

 コンビニのサラダを攻略しながら。


「え?だってひとりで食べるご飯って家で食べるのと変わらないじゃない?紬がいてくれて嬉しいっていうか、楽しいっていうか」

「あ」


 真琴さんは基本的に、お昼は自宅で食べる。

 お得意様とのお付き合いとかもあるから社長は外で食べてくるし。

 私が休んでいる間ずっと先輩はひとりでご飯を食べるしかない。


 毎日コンビニで買ったご飯だとしても、誰かと食べるのとひとりで食べるのでは味も変わってくる。


「謝るのはなしね」

「う」


 先回りした高橋先輩が釘をさすので、開いた口をそのまま閉じるしかない。

 三年も一緒に仕事をしているとさすがに私の性格も見抜かれている。


「私もお弁当作ろうかな」


 「毎日は無理だけど」と付け足して先輩は可愛らしく笑った。

 私は手元のお弁当を見下ろし、そして顔を上げて。


「じゃあ私も作ります」

「え?」

「お母さんから料理教えてもらってるところなんで丁度いいかなって」


 千秋寺に毎朝通わなくてよくなったのならその浮いた時間を使ってお弁当を作るのはありかもしれない。


「あら、花嫁修業?」


 冗談めかした先輩の言葉に私は苦笑い。


「その予定は全然ないですけど、美味しい料理が作れる女性って魅力的じゃないですか?女の目から見ても」

「確かにね」


 なら。


「私もできるだけ毎日作るようにするわ。そして見せっこして、味見し合わない?その方がやりがいもあるし、上達も早そう」

「いいですね」

「決まり!」


 こうやって少しずつできることが増えていって、楽しみも大きくなっていけば、いつか自信もついていくかもしれないな。


 高橋先輩だってコンビニのご飯食べるより手作りのお弁当の方が体にいいんだし。


 ゆっくりと噛みしめながらお母さんのお弁当を食べ終えて、ありがたくクリームたっぷりのシュークリームをご馳走になった。


 お腹もいっぱいになったし、糖分も摂取したことで午後のお仕事も集中して終えることができたのでほっと一安心。


 定時になったのを確認してから高橋先輩と二人で立ち上がり、午後から事務所にいた真琴さんにご挨拶して更衣室へと入る。

 小さな事務所だから二畳ほどの部屋にロッカーが三つあるだけだけど、今の所二人だけしか使わないから問題はない。


 紺色の地味なカーディガンを脱ぎ、ベストのボタンを外していると視線を感じて顔を上げると高橋先輩がじぃっと私を見ていた。


「先輩……どうしました?」

「……いや。ほんと痩せたなぁって思って」


 羨ましそうな声の向こうにどこか残念そうな響きがあるのを敢えてスルーする。


 改めて自分の身体を見下ろせば、確かに窮屈だったベストやタイトスカートにほんの少しだけ隙間があるような気がした。


「前が太り過ぎだったんです。もう少し痩せたいくらいですけど」

「いいの!これ以上痩せたら紬の良いとこ半減しちゃう」

「半分も減るんですか!?」


 ただでさえ良い所少ないのに、ちょっと痩せたくらいで半減とは!

 あんまりではないですか?


「紬はこう触ったら柔らかそうな胸や二の腕とか太腿が良いのよ。癒されるって言うか、ぎゅってハグしたくなるって言うか」

「えあ、いや。ハグは、ちょっと」


 つい先日露草に怒られたことを思い出してなんだか急に落ち込む。

 ハクが尻尾を軽く振ってふんふんと匂いを嗅いでくる。


 ん?

 これはお腹空いているのか、慰めてくれているのかいまいち分かり辛いんだけど。

 タイミング的に寄り添おうとしてくれているのだと思いたい。


 小人さんたちはもっと分かりやすくみんなで目を潤ませて見上げてくる。


 いいなぁ。

 癒される。


 そうだよ。

 癒されるってこういうことだよね。

 私の胸や二の腕なんかで癒されるっておかしいよ。


 まったく。


「なによ。ニコニコして。思い出し笑い?まさか!思い出すだけで紬にそんな幸せそうな顔させるような男ができたの!?」

「え?なんですか?」

「だから!男でもできたのかっていってんの!」

「は!?なんで、できませんよ!」


 ずっとお寺で修行とお勉強してたのに。

 それにお休みは体調不良が理由のはず。

 なのにそこに飛躍する高橋先輩の思考が意味不明なんだけど。


「ほんと?」

「本当ですってばっ」


 なんかモタモタしてるといつまでも絡んできそうだ。

 急いで着替えてしまおうと先輩の追及は適当に否定して、亜紗美さんからもらったお洋服にチェンジすると何故か更にジト目で私を見てくるからもうどうしていいやら。


「先輩。帰らないんですか?」

「帰る。帰るわよ。でもさ。服だってすっかり可愛いの着るようになっちゃって、これで男ができてないはずがないじゃないの」

「違いますってば。これは最近仲良くなった雑貨屋さんの可愛い店員さんが着なくなったからってたくさんいただいたんです。深い意味はありませんから」


 唇を尖らせなんだかよく分からない愚痴を零しながら高橋先輩はパパッと制服を脱ぎ捨て、ロッカーの中から細いジーンズと黒色のざっくりニットに着替えていく。

 スタイルがいいから本当によく似合って、シンプルだけど美人の高橋先輩の魅力を更に引き立ててくれる。


 自分の長所がよく分かっている人のファッションだなぁ。

 格好いい。


「ほら行きますよ」

「だってぇ。紬、あたしの知らない所で随分と磨かれてるみたいだしさ。なんか寂しいのよ」


 磨かれているのは外見じゃなくて別物ですけどね。


「もう!先輩が変わりたいって思ってるんならちゃんと努力しなさいっていったんですからね?」

「そ、そりゃ……いったけどさ」


 なら文句ないでしょうに。


 時々こうして拗ねる時があるんだけど、いつもはしっかりしている先輩だけに私としてはどう対応していいか分からなくなる。


「帰らないなら私先に帰りますね。お疲れさまでした」

「え!?ちょ、置いてかないでよ!」


 面倒くさくなっている高橋先輩を残して更衣室を出ると慌てた様子で先輩もついてくる。

 帰る前にもう一度真琴さんに声をかけようと事務所の中を見渡して。


「――――!?ちょ……まぶ、し」


 来客用の応接セットの方が異常にキラキラと輝いていて目を開けているのが少し辛いくらいだった。

 新しい灯りかなにかかと思ったけど、これは人工的な灯りの輝きじゃない。


 黄色というか金色というか。

 どちらかというとプラスのエネルギーが力強く溢れているというか。


 ってなんだそりゃ!


 なんか異常事態かもと焦って白を見たけど、彼もまた眩しそうに目を細めて鼻を上向かせている。


 耳を少し倒し気味にしているからちょっと戸惑っている感じ?


 鬼気迫っている様子ではないようなので大丈夫なんだろう。

 きっと。


 安心しているとそのキラキラが何故かこっちへと向かって流れてきて、しかも声をかけられた。


「あ!小宮山さん。一週間休んでたそうですが、もう大丈夫なんですか?」

「ふぇ……!?」


 あれ?

 この声は。

 中山土木がお世話になっている地元銀行の。


さかきさん?」

「はい。お久しぶりです」


 え?

 ちょっと待って。


 月初めと月末は中山土木担当の銀行員の榊さんはしょっちゅういらっしゃるから、何度も話したり顔を見たりしたことはあるけど。


 こんなに眩しい人でしたっけ!?


 気さくな性格で爽やかな好青年ではあったけど、こんなアイドル並みのキラキラを発していたことはなかったはず。


「えと、どうかしましたか?目にゴミでも?」

「あ、いや。眩しくて」


 あなたが。

 とはいえませんが。


「やだ、眩しいって。眩暈じゃないの?やっぱり小宮山ちゃん、病み上がりで頑張り過ぎたのかもしれない」

「いえいえ!違います。元気ですから」

「ちょっと、正吾しょうごくん、家まで車で送ってやってくれない?」

「真琴さーん!だいじょうぶですからっ!」


 何故か心配しすぎる真琴さんが榊さんに家まで送って欲しいとか言い出した!


 やだ。

 本当に、そんなんじゃないのに。

 全力で元気なんですけどぉ!


「小宮山ちゃん、すぐ無理するから。お願い、正吾くん」


 中山土木の息子さんと榊さんは同級生で仲良しだから、本当に気安く真琴さんは頼みごとしちゃうんだけど。


「いいですよ。そう遠くないし、あんまり早く帰ると仕事してないって思われるからちょうどいいし」


 それを気軽に受け入れちゃう榊さんどんだけ良い人なの!?

 仕事があるからって断っちゃえばいいのに。


「いやいや!ほんっと大丈夫ですから。榊さん」

「あら!ならあたしも送ってってよ。少し遠回りだけど、いいでしょ?」


 必死で固辞している私の横から高橋先輩がカットインしてきた。

 銀行員になった榊さんが中山土木の担当になった時すでに高橋先輩はここにいたからこの二人も随分と仲が良い。


 ああ、この流れはまずい。


「じゃあかりさんを先に降ろして、それから小宮山さんを下ろして戻ればいいかな」


 ほらぁ。

 送ってもらうの決定になっちゃった。

 帰りにスーパーかコンビニによる計画が。


 とほほ。


 でも心配してくれている気持ちはありがたいので、もう抵抗せずにおとなしく送られておこう。


「すみません。よろしくお願いします」

「いいえ。気にしないでください。じゃあ車回してきますから」


 榊さんが立ち上がって出て行くとあの綺麗な輝きも一緒に動いていたからやっぱりあれは。


 彼のなんだろうなぁ。



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