戦いの幕開け
450,000PV突破しました!!!ありがとうございます♪
「ちょっと、どこに行くの!?アルフさん!?」
「借りを返しに行くのよぉーッ!もう、元気になったって言ったじゃないぃぃぃ。」
「もう少しで元気になるって言ったの!勝手に言葉を変えたないでくれるかなっ!?」
『もう少しで元気になるよ!』
そうリュリエスに言われた瞬間に私はバッとベッドから出てドアへと走っていく。
そこを彼は私にしがみついて止めたのだ。
そして、今しがみつかれた状態で討論を繰り広げていた。
転移魔法を使えば出れるジャン!って人もいるかもしれないケド今回は使えない。
いや、使わない。
彼女は城の中にいるのだから歩いて探さなければいけない。
部屋を出るだけのために魔力は消費したくない。
ポンポン出てくると思っているでしょう?残念ながらそう言うことじゃないのだ。
確かに私は魔王の娘で魔力量も普通の人の何千、何万倍もある。
だからこそ、単唱で転移魔法が使えるのだ。
しかし、ソレは膨大な魔力を消費するため一度でとは言わないが短時間で2,3度使えば魔王の娘である私と言えど魔力が不足して倒れてしまうだろう。
この世界において魔力が不足するということはつまり・・・命を危険に晒すと言っても過言ではない。
「もう少しも完治も変わんないでしょーが。」
「変わんなくないよっ!お願いだからおとなしく寝ててよぉ〜。」
リュリエスが半泣きで私に言う。
私は行かなきゃ行けないんだよぉー!
お願いだから分かってぇー!
グイッ!
誰かが私を引っ張り抱えながらベッドへと連れて行く。
「おとなしく寝ていてくれ。このまま出て行かれては、俺が困る。」
ソレはジェイドだった。
また、ディズに何かを言われたのだろうか。
いつになく真剣な表情で彼は私を見つめる。
「お願い、私は行かなくちゃいけないの。行って、彼女を止めないといけないの。」
そう訴えるが彼の視線は全く揺らがない。
「・・・仮にも婚約者の友人であるお前の頼みであったとしても、俺はこの仕事はまっとうする。」
何が彼をこんなにも決意で固めているのだろうか。
いつもなら、頼めば大体どうにかしてくれるし、拒まれたことはない。
ソレは、確かにライアの友であるということもあるかもしれないが
それ以前に私とジェイドが友であるからでもあった。
「友達・・・だった人との約束なの。」
東吾くんに頼まれた、そして私は口に出してはいないが約束はした。
自分の中でソレは義務だった。
彼女を救うという義務。
彼女に借りを返してやるという義務。
「お前は、俺の大事な友人なんだ。その友人も一度ならぬ二度までも危険に晒した者の元へとみすみす行かせるほど俺は落ちぶれてはいない。それに、またお前が死にかける様を見るのは耐えられない。
仲間が死ぬのとはまた違う悲しみに襲われた。あんな経験もうしたくはない。」
ジェイドが悲しそうな顔をする。
私はジェイドの気持ちがわからないワケではない。
むしろ、とても良くわかる。
だけど、私だって半端な気持ちで決意したわけじゃないんだ。
約1週間の間、ベッドの上でずっと考えていた。
「お願い、お願い・・・ジェイド・・・。」
私はうつむきながら彼に訴えると
「じゃあ、僕が一緒に行く。それでいいよね?」
と、ジェイドとは異なる人物の声が聞こえた。
「ディズ・・・。」
声の主はディズ。
ジェイドに命令したのはジェイドじゃないの・・・?
「ジェイドが独断でこんなことするなんて、そうそう無いことだからね。
気になって来て見たんだ。」
ジェイドは、小さく舌打ちをしてガシガシと頭をかく。
ディズはいつもと同じく無表情だった。
「お前への対策を忘れてた・・・。」
「ね、ジェイド。僕がついて行くのなら良いよね?もし、アルに危険が迫ったら僕が守る。
前とは違ってちゃんとそばにいるんだ、大丈夫。
それにロジェくんだって少なからず見張れるくらいの距離にはいるんだろうし。」
『ね、別にいいでしょ?』そうとでも言うようにディズは首を傾ける。
ニコリと笑顔を浮かべて。
ジェイドはうっと嫌な顔をしてからギリッと歯軋りを鳴らす。
「だぁー!もう、わかったよ!
俺は、仕事があっていけねぇ・・・だからお前がしっかり守ってやれよ。」
「言われなくても、ちゃんとわかってる。」
そう言ってからディズはジェイドの横を通って私の元へくる。
私の手をキュッと握ってクイっと立たせる。
「リュリエス、何かあったときのためにお前も付いていけ。」
「えぇぇぇぇぇ、僕もぉ!?僕だって暇じゃないんだけどッ!!!
・・・行くけどさぁ!ちゃんと僕のことも考えて欲しいものだね!」
リュリエスはジェイドの言葉に怒りながらも了承をする。
それから、小さくため息をついてドアのそばへと歩いていった。
「ロジェ、どこにいるかわからねぇが、お前も頼んだぞ。」
「当たり前だよ、アホ。」
どこから聞こえたのか、ロジェの声がする。
流石は元暗殺者、というところか。
「いいか、無茶はするなよ。危なくなったら周りを頼れ、逃げてもいい。」
ジェイドはぐしゃぐしゃっと私の頭をなでてニッと笑う。
それは、さながら兄のようだった。
「無事に帰ってこいよ、怪我すんじゃねーぞ。」
私はその言葉に首が千切れるかってくらいに頷いた。
その様子は見てジェイドは少しだけ笑って、行って来いと私の背中を押す。
ディズに手を引かれながら扉を出る。
その直前に振り向くと、少し不安気な顔をしたジェイドが手を振っていた。
------------------------------------------------------------------------------
「どこにいるのか、知ってるの?」
そうディズに問うと彼はコクリと頷いた。
「中庭に、いつもいる。少し騒ぎになったら周りに見られるかもしれない・・・。
それでもいいの?それでも、アルは耐えられる?」
無表情の中に心配しているような表情が見える。
耐えられるか?耐えなきゃいけない。
耐えない、なんて選択肢はどこにも無いんだ。
私が、コクリと頷くとディズは『そっか』と一言呟いて黙って私の手を引いた。
別に手なんか引かなくても歩けるのに。
そう思うケド私は拒まなかった。
拒む気にならなかった。
今は、これが安心できた。
「まぁ、このお花綺麗ね!」
彼女の・・・コーネリアの元気そうな声音が聞こえる。
その声が全然似てないというのに、優奈ちゃんと重なった。
しだいに声が近くなって、その姿が見える。
彼女はこちらを向くと私には目もくれずにディズだけを見る。
「ディ、ディズ!こんなところでどうしたのですか?」
ニコリと彼女は笑う。
本当に前世の彼女とは似ていない。
似ていないのに、私には優奈ちゃんに見えて仕方が無い。
「うん、話があるんだ。」
その言葉に彼女はパーッと顔を明るくする。
「アルがね。」
そういって、ディズは私の手を離して脇へ寄る。
ディズの背に隠れるようにいたために、彼女に私は見えなかった。
彼女は私の姿を見た瞬間、一瞬驚いた表情を浮かべ
そして怒りと憎悪に満ちた顔で、眼差しで私を見る。
「あら、なんですの?」
声音はとても低く、威圧感がとてもある。
しかし、その声に圧倒されてはいけないのだ。
さて、戦いの幕開けだ。
約束を果たすために、彼女を止めるために。
借りを返すために、昔の怒りをぶつけるために。
今の世界で死ぬ危険が少なくなるために。
最も、ディズを、手放さないために。
さて、コーネリア(優奈)との直接対決のはじまりです!
前書きにもありますが、450,000PVを突破しました!
書き始めた頃はまさかこんなにいくとは思っていなかったもので。
凄く嬉しいです!最後までお付き合いして頂けると嬉しいです(*´ェ`*)




