天才と私 (3)
真っ直ぐすぎる彼女の言葉は例えそれが何者であろうと屈しない強さがある。
ただそれを受け入れるか受け入れないかは私たち次第。
「悠理、さっきの話聞いてた?」
「想像できますから大丈夫です」
「そう、なら私は退出しようかな。これから先一緒にいる仲間だから仲良くね?」
そういうとスキップして出て行った。
この空気をどうしろと?
「ま、まぁ仲間だし、自己紹介でもしようか」
「必要ないですよ。噂ぐらいは聞いていますから」
そういうと出て行こうとする天才。
“他人は他人、私は私”主義の私は追いかけないけどどうやらこの2人は許さないみたいだ。
要ちゃんのほうは彼女を知っているらしく関与しないという顔。
「悠理!!!!明日から付きまとうから」
そう宣言する優希ちゃん。それ、立派なストーカー宣言よ。
「そうだそうだ、嫌って言っても付きまとってやるんだから」
便乗する華音ちゃん。楽しそうな玩具見つけたっていう顔しないの。ばれるわよ。
頭の中で2人の宣言を隅でつっこんでる私はフルに頭を回転させて彼女にどう接しようか考えていた。
確かにその場限りだが6年も付き合う人間。
ある程度話せる関係のほうがいいか。
「澪ちゃんも、麻由子ちゃんもなんか言ったら?」
「へっ?」
「私は、別に・・・・・・・・・・・・・・・・」
そう言って視線を下げる要ちゃん。過去に彼女と何か合った感じだ。
私はゆっくりと彼女に近づいた。
「はじめまして。名前は知ってると思うけど、野澤澪です」
そういう私をじっと見つめる、彼女。
そんなに凝視するような場面ではないはずだけど。
それから視線を外さずそのまま彼女は口を開いた。
「私はあなたが嫌いです」
私を含めその場にいた全員が凍りついた瞬間だった。




