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不良と私  作者: 秋元愛羅
本編
70/72

不良と私



『はぁ?吐かせられなかった?


あほじゃないのあんた』


澪に振られたと言う報告をすると罵られ、


『いいわ。なら私が吐かせてやる』


と何を企んでるのか分からない笑顔で進んでいくので止めようとついていくと澪が庭を鑑賞中だった。


胸元には昨日俺があげた指輪。


どう捉えたらよいのか悩んでいると遥さんからここにいるように指示され盗み聞きするように澪の会話を聞いていた。



これは期待していいのだろうか?


本当は、本当は俺と同じ気持ちで。


でも澪にとっては立場があるからというわけで振っていて。


それで・・・・





「庄吾・・・どうしてここにいるの?」


「あのですね」


遥さんが去って言った後俺が盗み聞きをしたことに腹を立てているのか正座され逆に俺がはかされている状態だ。


「殴るだけじゃ気がすまないから今度会ったら妨害してやろ」


「何を妨害するのか知りませんが傷害事件は起こさないでください」


「無理」


ううっ・・・今現在めちゃくちゃ怖いんですけど。






「・・・ねぇ庄吾。当主である私と一緒にいると言うことはどういうことか分かる?」


落ち着きを取り戻した澪に聞かれたのは思いもよらない質問だった。


「えっと・・・」


「当主はねすべてを背負うの。会社の負債から他人の憎悪まで。


それをまだ当主一人に向けられるのはいい。でも実際はその家族に向けられるの。


特に庄吾はこの一件で注目を集めすぎている。


まだ真相を知っている人なら良いけど知らない人からは過度に期待される。


そして勝手に裏切られたと思って誹謗中傷される。


こんな汚い世界見せたくないの。


ね?おとなしく私の言うこと聞いて?」


傷ついてい苦しそうな顔をして俺の顔を見つめている澪。


多分大人っぽいのはここから来ているのだろう。


他人の過度の期待に答えるために見えないところで一生懸命努力してきたのだろう。


そして同じ境遇にさせないために境界線を張ってきた。今回のように。


そういうのやっぱり澪らしいというか、なんというか・・・


「俺ってそんなに頼りない?」


「え?」


「俺だっていろんな汚い世界を見てきた。


確かにつらかったけれど・・・


今は澪がいるだろ?大丈夫だよ」


うん、大丈夫。そう思えてくるんだ。


だって俺は今はもう一人じゃないみたいだし。




俺の言葉のせいなのかポロポロッと泣いているのが見えた。


声をかけようとして立ち上がろうとしたらしびれて動けなかったた。


「庄吾って馬鹿でしょ」


「まあ馬鹿ですね」


「庄吾って考えなしでしょ」


「うん、まぁ・・・これからは考えて行動します」


「庄吾・・・・好き」


「うん、俺も」


「恋愛的意味の好きだからね」


「俺も同じ意味の好きだよ」


好き、泣いているのか笑っているのかどっちか分からないような顔で言われてちょと複雑な気持ちだったがそれでも嬉しかった。


ようやく彼女と気持ちがひとつになったから。




「それから・・・」


「それから?」


「あとでサンドバックになって」


「え゛?」


「盗み聞きした罰とハルちゃんの分もこめて」


「盗み聞きしたのは悪いと思ってるけど後半の部分は俺関係ないよね?」


「10発以上殴るから覚悟してね」







後から酷い仕打ちが待っていたもののハッピーエンドになったから良いかなぁって思っている俺は多分かなり重症だと思う。




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