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不良と私  作者: 秋元愛羅
本編
61/72

不良と元当主





それから澪といる事が居づらくて澪を避けていた。


もちろんその様子に気づいている人がちらほらと感じたが何も言われなかった。


澪も、多分避けている理由を知っているから悲しそうな顔をしても見て見ぬ振りをされた。


それが今の俺には心地よかった。




「はぁぁぁぁ」


以前澪の祖父である源次郎さんに俺がスパイになれと言われた場所にいる。


やっぱりここが一番落ち着くのだ。


今の俺の気持ちに似ていて。


ギーギー


誰かが近づいてくる音が聞こえて顔を上げると、


「おや、君は・・・・」






「へぇ。君もここが好きなの。


凛香もここが好きでね、お気に入りの場所だったから久しぶりにここに来たんだ」


にこりと笑う栄治さん。


凛香・・・さんは澪の母親だろう。


そういえば澪のことあまり知らないことに気づいた。


澪のお母さんが死んだということは聞いているけれどどんな人かとかは知らない。


ただ澪が小さいときから忙しく働いていたみたいだし。


「懐かしいな。凛香もねぇ逃げるのは早かったしね」


えっと、何が早かったんですか?


「君、澪のこと好きですよね」


・・・すみません、疑問に聞こえないんですけど。


ついでに後ろにある黒いものをしまっていただけると嬉しいのですが。


このとき澪は母親にだと思っていたが性格は父親にだと確信した。


この父親怒らせないようにしておこう。






「振られたのか」


「はい」


親の気持ちとして分かるけれど俺の前で意気揚々と嬉しそうにしないでください。


俺だって凹みますから。


「なんだかねぇ・・・やっぱり凛香の血を受け継いでんだねぇ」


遠い目をしながら思い出すように言う栄治さん。


そこには悲しみも入っているような気がするのは気のせいだろうか?


「凛香にね付き合う前に言われた言葉そっくり。


凛香の中の定義は“愛されている家庭に育てられた人間がが愛し、愛される価値がある”だっだんだよ。


まぁそれを直してくれた人たちのおかげで結婚できたんだろうけど、ただ最初っから人は愛し方を知っているわけじゃないことに気がついてほしいね。


君は澪の愛し方を知っているか?」


「いえ、まず人の愛し方さえ知りません」


俺だって凛香さんの定義だったら愛される価値も愛す価値も無い。


でも俺は澪に愛したいと思うし愛されたいとも思う。


それはいけないことだろうか、いや違うと思う。


そういう気持ちは誰でも持っているものだし、まず価値ってなんだ?


そう思ってしまう。


そうしたいならば俺はそうするといいと思う。


ただそれが行き過ぎると問題にはなるが。





「だろう?人はさ、初めて好きだと感じた人と一緒にいることで愛し方を暗中模索してくんだよ」


「そうですね」


なんとなくだけれど光が見えてきた気がする。


もう一回、もう一回澪の言った言葉を撤回させ澪が本当は俺のことどう思うっているか聞こう。


それでも見込みが無かったら諦める。


でも可能性があるならば・・・突っ走ってやる。





もうすぐ本編が終わります!!!

やった!!


さて、庄吾は澪の壁を突破できるのでしょうか?

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