不良と告白(1)
動揺して何も言えない俺にホローなのか話を変えるためなのか和真の口が開いたとき、大きな、泣き声が外から聞こえた。
「呼んでおりますわね」
「父親であるあなたが行くべくなんだろうけれど意味がないものね。
ちょうどいいし、ここで休憩にしましょうか。
もうすぐお昼の支度が出来ますしね」
もうそんな時間なのか。
時間を見ると2時間ほど経っている。
・・・どうりで豊が騒ぐわけだ。
昼が過ぎ夕方。
話し合いの再開もしたいが当事者である澪の小父さん夫婦が帰ってしまったので今日はこれで解散となった。
ん、で今俺は・・・・
「庄吾?何言っちゃってくれてんの?」
外の風よりも冷たい空気に曝されております。
怖ぇ・・・・
久しぶりに本気で怒てるところ見た。
というか素がもろ出てますよ澪さん。
「いや、さっき言ったとおりにですね・・・」
「なぁにそれ?今からさっさと終わらせてくれる?
庄吾がしないんだったら意地でも終わらせてやるからね」
やめてください。俺のやることです。
というかどうして怒ってんだよ。
俺怒るようなことは何もしてないよ!!
扉がスッと開いたと思ったら和真が出てきた。
あれ?お前帰ったんじゃなかったんだっけ?
澪の顔色を見て何が分かったのか俺の方に視線を向けた。
「俺たちは今保護されている状態なんですよ」
「え?」
保護されてる?
「考えてみてよ。
あのヒステリックの母親と堕落した男がここに乗り込んでこない時点でおかしいと思いませんか?」
「まぁ、俺のことはいいとして母親だったら意地でもお前を取り戻そうとするし、父親だって会社を経営できた頭もあるんだから俺を引き取って稼がせるっていうてもかんがる事ができるけれど・・・」
「この人が無理やりにでも誓約書を書かせたんですよ。
あんたたちの生活が安定するまで俺らを預かるって、ね。
だから俺たちは親権はあの母親たちにあるものの干渉できないという状態にある。
しかもあの母親は弁護士立てて誓約書を無効にするつもりみたいだし。
だから一刻も早く養子縁組しないと取り消されてしまうわけ」
「それで・・・」
それで澪怒ってたのか・・・・
「言わなくていいことをぺらぺらしゃべるお口ね」
「言わなきゃいけないことを言わないのはそっちでしょうが。
どうして変わりに俺が言わなきゃいけないんだ」
俺だって言いたくねぇよ、そう言ってさっとまた出て行った。
最近のあいつの行動が見えなくなってきているのは俺だけだろうか?
「ま、そういうわけだから、早めにしてね。
相手が父親だったらまだいいんだけれど母親だから親権に関しては強いのよ。
この虚構の鉄壁が崩れるのも時間の問題なの」
そうなったら守れないじゃない。
ぼそっと聞こえた澪の本音に胸が熱くなる。
ああ、どんなことがあっても傷つけようとしないようにするところは澪なんだなぁっと感じてしまう。
俺はそういう澪が、
「好きだ」
・・・・・・・俺、声出してなかったか?
うん、ぽつんと言ったね、好きと。
それって・・・ヤバくね?
恐る恐る澪の顔を見るとポカーンとしてる。
「は?」
今、俺はとんでもないことをしてしまったようです。




