不良と新しい人たちと
「私はあなたの母親なのよ。豊だっているし・・・・
それなのに私を出て行かせるの?」
本当はこんな小娘に頭を下げたくは無いが今は一大事だからしょうがない。
もしこの小娘の支持を得ないとこの先が無い。
そんな表情が見て取れる。
私はいつもなら貼り付けた笑みで言葉をつなぐのだが今日はもうその必要は無いから素を出したままで行く。
これが私の最初で最後のこの人に対する復讐だ。
「豊は私たちのほうで引き取らせていただきます。
もちろん、何不自由なく育てさせていただきます。
ご心配なく。
それから・・・あなたは私のことを娘と思っていないくせにこんなときに限って母親ずらしようとしないでください。
もちろん有印私文書偽造として被害届けもだしますし、その損害賠償も覚悟してくださいね」
彼女はまさかこうなってるとは思っていなかったのだろう。
厚化粧でも青ざめているのが分かる。
まぁ、この人のおかげで3年かかると思っていた計画が一気に動き出したのだが。
それでも野澤財閥の損失のことを考えたら償ってもらわなければならない。
「相変わらず・・・俺は豊のおもちゃなんだな」
澪の古い親戚であるある人との対面とお礼等々を言うため久しぶりにやってきたと思ったら豊に遊ばれています。
「当たり前じゃない。豊、あれ以来から庄吾のこと気にってるんだから」
「豊君も上に立つものはそうやって動かすんですよ。
よかったね、兄さん。豊君の下僕第一号だよ」
「二人して何のんきなこと言ってんだよ。
って、和真、俺のこと・・・・」
「豊アタ~~~ック」
あっけに取られていたら豊の蹴りが命中。
イッテ~~~
「参ったか、怪獣」
「俺は怪獣じゃねぇ!!」
「豊ガンバレ~~」
「怪獣じゃなくて珍獣でしょうかね」
怪獣ごっこという名の一方的な攻撃を受ける俺を尻目に和やかに過ごす2人を見て俺は思うのだった。
類は友を呼ぶというのはこういうことかと・・・。
なぜ俺の周りにはこんなやつしかいないんだ。




