不良と大切な人(4)
走って、走って、行き着いたのは校門。
でもその前には車が止まっていた。
降りてきたのは・・・・・澪。
大丈夫なのか。
怖い思いをしてないか。
いろんな思いがうずいているのにうまく言葉が出ない。
声に出せ。
思っているものすべてを。
そして、澪に対する謝罪を。
でも俺は動けなかった。
だって、たとえ俺が関わっていないとしても一般的に見れば同罪。
だってそういう計画は知っていなかったとしても恋愛をゲームとして澪を遊ぼうとしていたことは知っていたのだから。
あの時意地でも止めておけばよかった。
かっこ悪くても、馬鹿にされても、止めておけばよかったんだ。
俺は・・・・・・・澪を売ってしまったことには変わりないのだから。
「庄吾、どうしたの?」
突っ立っている俺に気づいた澪は無邪気な目をして俺を見ている。
「澪・・・」
「あ、ニュース見たのね。大丈夫。その話は後でするけれど別に庄吾が出て行くとかそういう事は無いから。
お金のこととかも心配しないで。
時間はかかるけれど対策は練ってあるから」
俺が会社がなくなったことを気にしていると思っているのかそう話をする。
そうじゃない。
俺にとって会社なんてどうでもいい。
家族のことは気になるけれどこの約半年澪を見てきたから悪いようにはしていないと思う。
今俺が気になっているのは・・・・・
「どうしたの?庄吾」
目の前にいる元婚約者で、俺の一番愛しい人。
「ごめん」
「え?」
「ごめん」
グイッと俺の方へ引っ張った。
すっぽりと抱きしめやすい大きさの澪。
近づいてこんなにも小さかったのかと実感する。
ごめん、怖い思いさせて。
ごめん、守れなくて。
ごめん、こんな臆病者の俺で。
ごめん、こんな小さな体で大きな傷を背負わせてしまって。




