不良と大切な人(3)
「で、なんでお前はここにいるんだよ」
一番疑問である言葉を投げかけた。
「可奈ちゃんが教えてくれました。澪先輩の隣にいる人が水遣りをしているって」
「そう」
この学校の女王悠理は異常なまでの運動神経の持ち主のためか、残酷なほど率直に考えなしに言ってしまう性格のせいか――――――――俺は後方のせいだと思うが―――――――――人に好かれることがない。
実際9年ほど在住しているくせに親友と呼べる友はあまりいないという話を聞いた。
しかも彼女と同じように“異能”と言われる存在の人間。
その中でダイヤの原石と呼ばれるほど未発達な天才の一人が彼女の後輩である灯聖可奈。
俺は初対面で彼女に嫌われたみたいで、内心名前を呼ばれないほど嫌われているらしい。
「そんなことより、澪先輩どうしたんですか?」
「それがどこにいったのかわかんねぇんだよ」
「え?」
一瞬トーンが低くなったのは気のせいだろうか?
「朝、慌しく出てったんだ」
「まさか・・・・」
「どうした」
悠理の顔色が悪くなっていくのが見える。
もしかして俺はとんでもないことをしてしまったかもしれない。
俺は知らなかった真実をして走り出した。
まさか俺が知らないところでこんなことになっているなんて。
澪がそんなことに巻き込まれそうになっているなんて知らなかった。
『芽を摘みにいったんだと思います』
なにを?
『澪先輩に対する凶器にもなりうる芽を』
芽?
『あの弟・・・・・澪先輩を襲わせようと、していたみたい、なんです』
え゛・・・・・・・
『もちろん、大きな芽はとりましたが小さな芽は取り除き切れていないので元凶そのものを取りに行ったんだと思います』




