5/72
見合い(4)
思い出していた。あの日のことを。
あの日、私は彼女に会ってすぐはっきりと言われた。
『私はあなたが嫌いです』
それは私を変えた出会いだった。
彼の思っていることとは違う意味でのきょとんはもっと彼を怒らせたらしい。
「チッ。やっぱりな。あいつだと思ってやがる。どいつもこいつもうちの会社を取り込もうと必死なんだな。
2時間遅れても何一つ言わずいるなんてよっぽどなんだな、お前のとこ。俺は関係ねぇけど。
つーかそのキモい笑顔やめてくんね?こっちが胸糞悪くなる。
ついでにその赤い口紅もお世辞にも似合わねぇ。
お前は関西のおばちゃんか」
や、やばい・・・・・・
目の前の彼が言っている言葉が笑えて・・・・・・・・
「泣いてんのか、お前。
うぜぇ。恨むんならお前のお父様とお母様にしな」
も、もう・・・・・だめ。
「ぷっ。はははは」
やばい、本当に爆笑もの。
完全にこの人面白いんだけど。
今度は彼がきょとんとする番だった。ついでに変な人を見る目はやめて。
もっと笑っちゃうから。




