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#58 競技決めは盛り上がるものである。

 それから、真斗が男子たちを集めてオーダーを決めている間に、女子の競技決めが進行していた。


「まずテニス出たい人いるかしら?」


「はい!」


 大田さんが手を挙げたことに、女子たちは納得の様子だった。『結菜なら納得』とか『県大会出てたし』とか言われていたので、相当な実力者なのだろう。


 他に挙げている人も何人かいたが、まだ埋まりそうではなかった。すると、駒田さんが手を挙げた。


「それなら、私が出てもいいかしら?」


 駒田さんは運動神経がいい。林間学校のドッジボールでも活躍していたし、体育の授業でも、少し覗いたら、基本彼女か莉果が中心になっていたくらいに。


「駒田さん。バスケに出ると思ってたから意外」


 クラスの女子生徒がそんな発言をしたが、別に駒田さんにバスケのイメージはないし、俺はその発言に疑問を持った。


「ちょっと、大田さんとダブルスを組んでみたかっただけよ」


 駒田さんは、大田さんに対して対抗意識を燃やしているようだった。まあ、この前のテスト結果が発表された時の対応で、なんとなくは分かったものの、どうしてそんなに敵対心があるのだろうか。


 まあ、この敵対心には陰湿な意図はなさそうだったので、無視しておこう。


「よろしくね駒田さん。一緒にがんばろ!」


 対する大田さんは何も気にしていなさそうであった。本当に彼女は穏やかで親しみやすい性格をしている。


「じゃあ次バスケに立候補したい人いるかしら?」


 するとクラスの体育会系女子たちが手をあげ始めた。もちろんバスケ部の莉果も手を挙げている。


「いいなー俺もバスケやりてえよ」


 そう横山が嘆いていた。まあ彼は実際体育の授業でバスケが相当上手いからな。技術だけなら真斗や鈴木でも敵わないくらいに。


「横山君、部員は何人まで入れるのかしら?」


「えっと、確か三人までだった気がする」


「じゃあ野村さん達は確定ね」


「やったわ!」


 莉果はその後、俺に向かってピースをしてきた。その笑顔に少し俺は見惚れてしまったのは誰にも気づかれていないといいが。


 それから、残りの人たちでじゃんけんをしているのを見ていると、真斗に話しかけられた。


「もちろん、お前は一番センターでいいよな?」


「だからなんでだよ。真斗一番でいいじゃん」


「オレはエースで四番だぞ」


 そうだった。でもソフトボールだから真斗を投手で使うのも勿体ない気がするんだが……。


「因みに、六番までは決まってるぞ」


「誰いるの?」


「一番センターお前、二番サード石井、三番ショート鈴木、四番ピッチャーオレ、五番ファースト横山、六番セカンド一輝」


 さっきよりはまあいい布陣かもしれない。俺がセンターでなんとかすればいいし、ソフトボールならキャッチャーもそこまでは重要じゃないし。


「横山勝手に決められてるし……」


「あいつはバスケ上手いし、野球もそこそこできるだろ」


 そうとは限らないと思うが、横山は真斗や鈴木ほどではないものの、運動できるので、大丈夫だろう。


 そしてじゃんけんの状況を見てみると、関根さんと柴田さんが勝っているのが見えた。彼女達がバスケ上手いのかは知らないが、まあそこそこ自信があるからバスケに立候補したのだろう。


「じゃあ次は卓球だけど……」


「……はい」


 伊藤さんが手を挙げていた。まあ彼女は卓球が無難だろう。団体競技は苦手と言っていたし。しかし、クラスの文化部で運動苦手な人がこぞって立候補してしまったので、じゃんけんになってしまっていた。


 俺は心の中で伊藤さんが勝てるように祈っていたが、すぐに席に戻った彼女を見て察した。


「で、石井はバント要員な」


「なんでだよ。俺もホームラン打ちてえよ」


「お前じゃ無理だよ絶対」


「因みに五十嵐はベンチな」


「はあ?」


 本当に俺の周りで騒がないで欲しいんだが……。周りの女子も結構引いてるぞ……。俺は無関係のフリしとこ。


 結局伊藤さんはテニスになっていたが、大田さんが優しく教えてあげると言っていた。俺も大学でテニスやってみたいし教えてもらおうかなと思った。

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