新たなる来訪者、串焼きあはは娘の再来
(* ̄∇ ̄)ノ 串焼き食べて、あはは、と笑った深都の空中組、家出人捜索隊の一人が、再びローグシーへと。
夕日のようなオレンジ色の髪、くりくりとした黒目の女性が頭に大きなかごを乗せてやって来る。
「ララッちー、持ってきたよー」
「でかしたルティ!」
ララティがぴょいと跳び、かごの中を覗き込む。かごの中には様々な、鮮やかな原色の果実がごろごろと入っている。ウィラーイン領で見かけることの無いその果実は、南方、多島海原産のもの。
「流石ルティだぴょん! よっ、天を舞う食の伝道者! 空飛ぶ食の探求者!」
「あはははは! ララッち、褒めすぎー」
「おー、どれも美味しそうだぴょん」
「でも完熟してるのばっかりだから、はやく食べないとすぐ腐っちゃうよー」
「では、急いで子供達に持ってくぴょん」
「飛べないと急いで持ってくるのは、無理かー。クインみたいに早く飛べないんだけどなー」
「ルティのおかげで助かるぴょん。子供達は南国の果物はドライフルーツしかしらないぴょん」
「日持ちしないから、人が運ぶの無理だもんねー。でも、子供達、喜んでくれるかな?」
「大丈夫ぴょん。あの子達、好き嫌いはあんまり無いぴょん。ドライフルーツになる前の完熟南国果実、きっと喜んで食べるぴょん」
「楽しみー、あはははは!」
深都の住人、日を落とす大蝙蝠のルティールレウトは、陽気に笑いながら果実いっぱいのかごを運ぶ。ララティと並んでスキップしながら、子供達に南国の果実を運ぶ。
ウィラーイン領では、日持ちするように加工したドライフルーツか、酒に浸けたものでしか手に入らない南国の果実。その独特の甘い香りがあたりに漂う。
「ぴょ、匂いだけでよだれが出てくるぴょん!」
「あはははは! このルビーマンゴーなんて枝から落ちる寸前の完熟のじゅくだよ!」
「よく鳥に食べられずに成ってたものだぴょん」
「頑張った! がんばって追い払ってた!」
「さすがルティだぴょん! 完熟の守護者だぴょん!」
「フルライプガーディアンだね! あはははは!」
仲良く笑いながらスキップする二人の行く手を遮るように、アイジスが現れる。
「おい、ララティ、ルティ……」
「「げげげのげ! 見つかったー?」ぴょ?」
「人が持ってこれないものを持ち込むなと! あれほど注意しただろうが!」
「あ、あはは、アイジスねえ様? これは南国の果実で、魔獣深森のものじゃないよ?」
「ぴょ! セーフ! セーフだぴょん!」
「ウィラーイン領が輸入できないものもダメだ! あの子達がまた欲しいと言ったらどうするんだ!?」
「えーと、また、取りに行ってもいいけど?」
「大コウモリ姿で何回往復するつもりだ! 人に姿を見られないようにしろ!」
「あ、じゃあ、見つからなければいいんだ!」
「そういう問題じゃ無い!」
「あはは! ダイジョブだよアイジスねえ様。ちゃんと人のこと勉強してきたんだから」
「ほんとか? ルティ、お前は、いや、お前もよくやらかすから心配なんだ」
「でも、ララティがダイジョブならボクもダイジョブだよ、たぶん。あはははは!」
「それは欠片もダイジョブじゃ無いっ!」
「ぴょー、でもアイジスねえ様、せっかく取ってきたんだし、今回くらいは」
「ララティ、お前がルティに吹き込んだのか?」
「それは、あの子達にドライフルーツになる前の状態を知って欲しかったんだぴょん。これはあの子達の教育にいいと思うぴょん」
「あはは! そう、食育だよ、食育!」
「う、む。教育にいい、のか? ほんとか?」
「ぴょ! ドライフルーツの状態で木になってると勘違いするよりは、実物を見せて味わってもらう体験が大事ぴょん」
「あはは、体験に勝る経験は無いよね」
「そ、そうなのか? ちょっとルブセィラとルミリアに聞いてくる」
ララティと並ぶ美味しいもの大好きルティ。楽しいことが大好きな力持ちのコウモリ娘。彼女とララティともう一人が一緒になると、何かが起きると呼ばれている。あと一人の三人が揃って、深都のトラブルアトラクタートリオと呼ばれている。
「ほーい、みんなー。南国の果実だよー。甘いの酸っぱいのいろいろあるよー」
「「わぁい♪」」
大コウモリ娘、ルティールレウトはこの日から、子供たちに『南国のくだもののお姉さん』と呼ばれるようになる。
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
m(_ _)m ありがとうございます
_ φ( ̄▽ ̄ ; K
・南洋の多島海(ジャスパルの辺境)の出身。現地の自然や言葉に詳しく、使えるわけではないが精霊魔術のことも知っている。
・反面、国の政治や経済、最近の風俗の知識はあやしい。話せるのは南の田舎の方のこと、暮らした当時のこと。
・視覚と臭覚が鋭く魔獣化すると目が大きい。
・軽い口調と見かけによらず、人化してもたいへんな力もち。あっさり大石を担ぎ上げてしまう。また、嚙みつきの力は、軽くヤシの実の堅い皮を噛み千切るほど。
◎ルティと人間の関わり。
〉フルーツバットを瑞兆とあがめる珍しい島があり、そこで拾われた仔獣が、神職の家で飼われることに。
〉あがめられる理由は、フルーツバット(野生動物)が花を受粉したり、遠くから果物の種を運んで森を豊かにしていること。
〉さすがに魔獣のフルーツバットを保護するのは滅多にないことで、独り暮らしの老神官と仔獣のもとには、呑気な魔獣を追い払おうと孫の青年が通ってくる……
(* ̄∇ ̄)ノ K様、ありがとうございます。採用させてもらいます。
( ̄▽ ̄;) 串焼き食べてアイジスを困らせた、一回ネタの娘がいきなり現れた。




